リサーチプロジェクト
研究報告会レポート

第1回マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会レポート
「市場環境分析、特に知財情報解析を活用した3C/ 5forcesベースの実践事例紹介」

第1回 マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会
テーマ:「市場環境分析、特に知財情報解析を活用した3C/ 5forcesベースの実践事例紹介」
報告者:山内 明 氏((株)三井物産戦略研究所 技術・イノベーション情報部 知的財産室室長/弁理士、AIPE認定知的財産アナリスト)
日 程:2015年7月23日(木)18:30-20:00
場 所:金沢工業大学大学院 虎ノ門キャンパス

 

【報告会レポート】
 記念すべき第1回の研究報告会は、メーカーでの開発業務、特許事務所での特許出願権利化業務、IPベンチャーでの事業支援業務等を経て、(株)三井物産戦略研究所にて知的財産室長として、三井物産グループ向け知財コンサル部門を統括し、自らもコンサルタントとしてご活躍中の山内明氏をお迎えして、3Cや5forcesをベースに、知財情報解析を活用した分析の実践事例を通して、マーケティングへの知的財産の活用についてご紹介いただきました。
 
 情報セキュリティなど機密情報の取り扱いが厳しくなり、他社の動向情報の入手が難しくなった昨今、特許情報は無償で公開されている大変有用なツールです。権利化された特許情報が掲載されている特許公報だけでなく、出願から1年半後に公開される公開公報では、他者が申請した比較的新鮮な研究開発動向を把握することができます。山内先生は、これらをマーケティングに活用するための様々な手法について実例を交えながら熱く解説してくださいました。参加者の中には、知財になじみのない方も少なくなかったのですが、具体的な社名や技術情報についてわかりやすく丁寧に解説してくださったので、概念については理解を深めていただけたと思います。
 
 東京国際大学の上野博先生からは、2000年頃からマーケティングにおいても特許が使えるといわれてきたけれど、未だにあまり活用はされていないとのことで、特許とマーケティングとの関係についてご質問をいただきました。特許とマーケティングとの関係というと、これまではMOTやテクノロジーマーケティングなど、技術をどう売るかという技術ありきの戦略あるいは特許権をどう活用するかの戦略などが中心でしたが、従来の通常の製品のマーケティングにおける環境分析の中でも、特許情報はもっと活用できるのではないかというのが、この研究会の趣旨であることを、プロジェクトリーダーの杉光一成先生がご説明くださいました。
 
 また、スマホや電気自動車、エマルジョン燃料装置などの機械から、カーボンナノチューブなどの素材、化粧品まで、山内先生が分析で取り上げた事例が実に幅広かった点に関する質問もいくつか頂きました。知財業界の中でも山内先生は特別な存在ですが、どのような分野の案件でもこなしてしまう秘訣は、自ら編み出した方法論により最短で行くこと、必ずやり遂げるという自信と志だそうです。さらに、そこに自ら1件50時間までしかかけないというハードルを課すことでトレーニングされているとのことでした。特許情報は、特許庁のサイトで無償で閲覧可能ですが、分析のためにはトムソンやPatBase、Orbitなどの有料ツールが必要です。山内先生はOrbitの分析ツールオプションを利用されているそうですが、道具が素晴らしくても、分析においてはセオリーや信念が重要とのことでした。

 
山内明先生 会場の様子
写真左から、山内明先生、​会場の様子
 

【報告会を終えて】
 本リサーチプロジェクトの最初の回であったが、参加者の反応を見る限り、これから色々な進展がありそうだという期待感が高まった。
初回に参加された方は引き続き参加頂ける感触を得れたが、初回に参加できなかった方も2回目以降、是非ご参加頂きたい。
 
(プロジェクトリーダー:杉光一成)

 
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