ニュースリリース

第38回マーケティングサロンレポート
「お客様と社員を幸せにしていますか」~Think globally,Act locally~

第38回 マーケティングサロン
「お客様と社員を幸せにしていますか」~Think globally,Act locally~

日程:2015年10月29日(木)19:00-21:00
場所:中京大学名古屋キャンパス 0604教室(名古屋開催)
ゲスト:スギホールディングス株式会社 代表取締役副社長 杉浦 昭子 氏
サロン委員:原 仁史、清原 康毅

 

【サロンレポート】
 今回のサロンでは、東海地方を中心に約970店舗のスギ薬局を展開されている、スギホールディングス株式会社 代表取締役副社長 杉浦 昭子 氏をスピーカーにお迎えして、スギ薬局の戦略、創業時から現在に至るまでの成長秘話、高齢化社会に向けた取り組みなど、お話し頂きました。以降今回のサロンでお話頂いた内容となります。
 
ドラッグストア業界について
 最初にドラッグストア業界について説明します。ドラッグストアの定義は「医薬品と化粧品を取り扱うお店」です。ドラッグストア市場は成長し(現在の市場規模は6兆円規模)、店舗数も増加していますが、企業数は減少傾向にあります。ただ、まだ一寡占化された市場ではなく、付加価値の差が企業価値の差となり、今後は、一部の企業に寡占化が進むのではないかと思われます。
 
スギ薬局の戦略について
 このような市場の中、スギ薬局ではお客様の「かかりつけ薬局」になるように注力しています。通常、薬は病気を診療してくれた病院の近所の薬局で貰うと思いますが、結果として、病気の都度、異なる薬局で薬を処方して貰う事になります。この場合、薬の重複使用や飲み合わせによる副作用などがチェックできません。スギ薬局では、お客様の家の近所にあり薬をチェックする機能である「かかりつけ薬局」になりたいと考え、調剤機能を店舗に併設しています。
 またスギ薬局では、気軽に病気などを相談できる場である「コミュニティスペース」の設置や、「在宅医療」機能の設置など、店舗を地域医療の拠点とすべく新しい挑戦をしています。
 
スギ薬局の成長について
 スギ薬局は、1976年に旦那様(現スギホールディングス会長 杉浦広一氏)との夫婦二人で、愛知県西尾市に「スギ薬局」を開設しました。現在では、店舗数969店舗、年商3800億円を超える企業に成長しています。
 社内設備への投資も積極的に導入してきました。1991年にPOSレジを導入しました。会社が20店舗超えた頃には、テレビ会議システムを導入しました。これは20店舗を超えると全ての店舗回りができなくなった為です。このテレビ会議システムを使って朝礼を実施していました。会長が新しいもの好きだからこそ設備投資に積極的だったと思います。
 ドラッグストアにおける化粧品のセルフ販売はスギ薬局が先駆けです。昔は、化粧品は百貨店で買う物でしたが、今ではドラッグストアがチャネルシェアでトップとなっています。百貨店での化粧品購入は対面販売よるものでした。これをスギ薬局では、テスターを商品棚の全面に設置する事で、セルフ販売を実現させたのです。これは私(副社長)の努力の賜物と言えます。今では、他のドラッグストアでも採用されています。
 
従業員が安心して働ける仕組み作り
 ドラッグストアは薬剤師や管理栄養士などのスペシャリスト集団で構成されています。これらの職種は、女性が多い傾向にあります。したがって、将来的に結婚、出産、育児を迎える社員が多いことから、長く安心して働き続けることのできる職場を目指して、ワーク・ライフ・バランスに関する取組をスタートさせています。例えば、育休100%取得、短時間勤務(6時間)等の制度を整備し、産休、育休が取れる為のバックアップ体制を充実させています。
 またスギ薬局のお客様相談室では、社員からの相談にも対応しています。これは、社員の経験が浅い場合、お客様からの症状や薬に関する質問に対し、的確なアドバイスができない」という不安を持っています。この為、わからない事などあればお客様相談室へ相談できるようにしています。今ではお客様相談室の約8割の相談が社員からの相談となっています。
 
高齢化社会に向けた取り組み
 今後の日本は高齢化社会になるのが明白であり、都市部でのベッド数が不足すると予想されています。そのような社会では、在宅医療へのニーズが高まると予想し、スギ薬局では高齢化社会に向け、「介護施設と連携した薬剤管理」や「在宅医療拠点(訪問看護ステーションやクリーンルームを設置した店舗)の展開」などの取り組みを行っています。
 高齢者の方が生き生きと生活するためには、「高齢者にとって、教育(今日行く)と教養(今日用がある)」が重要と考えています。今後は、店舗に健康増進に役立つ様々な測定器を置くなどにより、高齢者が「今日行く」、「今日用がある」場所にしたいと考えています。
 
集合写真
集合写真
 
【サロンを終えて】
 杉浦副社長のお話と質疑応答はサロンの2時間だけでは足りず、更に懇親会も終電間際まで続き、大変盛り上がりました(杉浦副社長にも最後までお付き合い頂きました)。創業者の副社長と身近で、じっくり話すことができたのは、マーケティングサロンの醍醐味であると感じました。
 今回のサロンでは杉浦副社長に2つの魅力を感じました。①経営者として、社員が安心して働く環境を用意してあげる“やさしさ”的魅力、②「毎日店頭に立つ」、「毎日一万歩を歩く」など決めた事を必ず実行する“強さ”的魅力です。この「やさしさ」と「強さ」を兼ね備えた、母のような存在が、スギ薬局の成長の源泉の一つではないかと感じさせられました。
 最後になりますが、ゲストスピーカーをお引き受け頂きました杉浦副社長、会場設営にご協力頂きました中京大学の坂田教授、ゼミ生の皆様、ご参加の皆様に改めて感謝申し上げます。
 
(サロン委員:清原康毅)

 
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