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第56回マーケティングサロンレポート「クラウドソーシングの価値:群衆の知恵の活かし方」

第56回 マーケティングサロン
「クラウドソーシングの価値:群衆の知恵の活かし方」

日程:2016年12月21日(水)19:00-20:45
場所:法政大学 ボアソナードタワー 25階 イノベーションマネジメント研究所 会議室5
ゲスト:西川 英彦 氏(法政大学 法政大学経営学部 兼 大学院経営学研究科 教授)

サロン委員:清原 康毅

 

 今回のサロンではユーザー・イノベーションの代表的研究者である西川教授に、群衆の知恵によるイノベーションである「クラウドソーシング」が、どのような価値があるのか、最新の研究も交え、語って頂きました。
 
【サロンレポート】
1. はじめに
 西川先生は、ムジ・ネットに以前勤務していました。ムジ・ネットは無印良品を展開する株式会社良品計画のウェブ事業を担当する会社で、無印良品のコミュニティサイトを運営しています。このコミュニティサイトでは、日用品だけでなく、住宅や車までクラウドソーシングにて商品開発を行っていました。日用品では、空想生活の仕組みを利用し、家具家電や体にフィットするソファなどのヒット商品を生み出されました。
 
2. 今回の報告内容
 今回のサロンでは、商品の販売実績で検証した「自然実験」の結果及び、実店舗やオンラインサーベイなどの4つの実験の検証結果報告を頂きました。そこで明らかになったクラウドソーシングの価値が①創造性効果と②ラベリング効果となります。
 
3. クラウドソーシングの価値(①創造性効果)
 まずは、無印良品の商品の販売実績でクラウドソーシングの価値を検証(自然実験)した結果を説明頂きました。アイデア創造だけが異なり(クラウド or 専門家)選択方法、同じ開発者が担当し、評価の差もない2つの商品(クラウド製品と専門家開発製品)の売上、収益、生存率を比較されました。対象は、ヘルス&ビューティーカテゴリーとしています。その結果、明らかになった事は下記の通りです。
・クラウドソーシング製品が3倍程度売れている 
・粗利益もクラウドソーシング製品の方が高い
・クラウドソーシング製品の方が、高い生存率である
先行文献及び上記結果から、クラウドソーシングの一つ目の価値は、クラウドソーシングによる商品開発によって商品の新規性・便益・売上・収益・生存率などを向上させる効果「①創造性効果」があると言えます。
 
4. クラウドソーシングの価値(②ラベリング効果)
 次に、無印良品のタグツール防犯ブザー、新製品であるプレッツェルを対象として、POPを使った店舗での実売実験や、オンラインでの実験などの4つの実験を行い、クラウドソーシングで開発されたという「商品表示」に効果がある事を、明らかにされました。明らかになった事は下記の通りです。
・POPでの「クラウド表示」(ユーザーによるアイデア)の方が、「表示なし」と比べ132%売れている
・クラウド製品は、専門家(内部MD)製品に比べ1.55倍売れる
・POPでの「専門家表示」(専門家によるアイデア)では、売上はアップしない(専門家表示は効果なし)
・POPでの「クラウド表示」がある事で、品質推測(品質が良いものである)が効き、クラウド製品が選択されている(ラベリング効果)
 
5. まとめ
 以上の実験結果をまとめると、クラウドソーシングには2つの価値、①創造性効果と②ラベリング効果があると言えます。
①創造性効果とは、クラウドソーシングによる商品開発によって商品の新規性・便益・売上・収益・生存率などを向上させる効果
②ラベリング効果とは、「クラウドソーシングにより開発された商品」というラベルを貼る事により、品質推測が効き、クラウド製品が選択されるという効果です。

*研究内容は右記URLも参考になります。http://nlab.ws.hosei.ac.jp/post-2259/
 
6. 所感
 今回のサロンは、サロン委員の忘年会を兼ねていた為、参加者同士が顔見知りの方が多く、和みのある雰囲気で開始しました。とはいえ、マーケティングのプロフェッショナルの先生方が多く出席されている会、質疑応答が白熱し予定終了時刻を大幅に超える結果になりました。西川先生が「飲みながら発表するんじゃなかった」とおっしゃられたのが非常に印象的でした。
 サロン後は懇志会兼忘年会を開催し17名の方に参加して頂きました。そこでは、サロンの反省、サロン委員のボヤキ、ご自身の出版物(今回の出席者には本を出版されている方が多数おられたのです)の話など多種多様な話題で大いに盛り上がりました。
 最後になりましたが、ゲストをお引き受けいただきました西川先生、そしてご参加いただきました皆様に、あらためて感謝申し上げます。

 
西川先生講演 集合写真
写真左より、西川先生講演、集合写真(前列左から3番目が西川先生)
 
(文責:清原康毅)

 
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