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第34回マーケティングサロンレポート「“Choi Labo”in KANSAI ―明日は、ビジョンで拓かれる:―長期経営計画とマーケティング―」

第34回 マーケティングサロン:大阪
「“Choi Labo”in KANSAI ―明日は、ビジョンで拓かれる:―長期経営計画とマーケティング―」
日程:2015年8月6日(木)19:00-20:30
場所:アサヒラボ・ガーデン
ゲスト:石井 淳蔵 氏(日本マーケティング学会 会長・流通科学大学学長)
    栗木 契 氏(神戸大学大学院 経営学研究科 教授)
    清水 信年 氏(流通科学大学 商学部 教授)
サロン委員:廣田 章光・吉田 満梨
 
【セミナー内容】
 年に一度、日本マーケティング学会会員・非会員の垣根を越えて、マーケティングに関心を持つ人々が集まるイベントである、「Choi Labo in KANSAI」を今年も開催しました。当日は、非学会員の方13名を含む約60名が参加しました。
 ゲストには、今年2月に発刊された『明日はビジョンで拓かれる』(碩学舎)の編集・執筆にかかわった、日本マーケティング学会会長/流通科学大学学長の石井淳蔵氏、神戸大学大学院経営学研究科教授の栗木契氏、流通科学大学商学部教授の清水信年氏をお招きしました。
 飲み物を片手に語らうサロンらしい和やかな雰囲気の中、はじめに3人の執筆者の先生方から、企業経営におけるビジョンの役割、ビジョンのつくり方・活かし方について、具体的な企業事例を交えたお話を頂きました。その後、ゲストと参加者との意見交換、参加者同士の自由な歓談を通じて、さらなるマーケティングの研究者・実践者のネットワークを広げる機会となりました。
 
【概要】
「あなたは、なにによって人に憶えられたいか?」


石井氏によるお話

 石井氏は、ピーター・ドラッカー教授がその晩年の著作の中で投げかけた、「生きる上での焦点はなにか」を問う上記の質問によって、企業経営におけるビジョンの重要性を説明されました。すなわちビジョンとは、「わたしたちの会社は、なにによって人に覚えられたいか」という会社の生きる焦点に妥当するものであり、そのビジョンによって戦略や組織といった生き方の一貫性を保つことができるようになる、といいます。会社はビジョンを得て始めて、市場で利益を稼ぐだけの機構から、社会において生きる意味をもった存在となり、従業員にとっては給料を得るだけの場所ではなく、会社を通じて自分の思いを実現する場所となります。石井氏は、このことをエーザイ株式会社の「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのベネフィットの向上を第一義とする」というビジョンが、どのような経緯で作られ、同社の戦略や組織づくりに対して、どのような影響を及ぼしているのか、という事例にもとづいてわかりやすくお話くださいました。
 
リクルート「受験サプリ」の事業開発に活かされたビジョン


栗木氏によるお話

 続いて栗木氏からは、利益と金銭的報酬を事業にもたらす道筋を示す「ビジネスモデル」と、事業を通じて実現しようとしている製品やサービスや組織の理想を描き出す「ビジョン」との関係性についてお話をいただきました。ビジネスモデルとビジョンの2つはいずれも、目先の利益を超えて事業を未来へと方向づけるものですが、ビジネスモデルはそのときどきの状況の中でダイナミックな栄枯盛衰を繰り返し、かつての支配的なビジネスモデルはいずれかの時点で転換を迫られます。しかし、新しいビジネスモデルを構想するだけでは、現実に収益を稼ぎだしている既存のビジネスモデルを否定することは困難であり、それを可能にするのが、利益や金銭的報酬とは異なる求心力となるストーリーとしてのビジョンだといます。さらに、リクルートが2012年に始めたオンライン予備校「受験サプリ」の事業化プロセスに触れ、様々な予想外の困難に直面する中で、ビジョンがいかに新たなビジネスモデル確立の推進力となったか、を具体的にご説明いただきました。
 
イオン・グループを支えてきたビジョン


清水氏によるお話

 清水氏からは、国内最大の小売業グループであるイオン株式会社の事例をもとに、企業成長を支えるビジョンの重要性についてお話をいただきました。イオンは、1969年に二木株式会社、株式会社岡田屋、株式会社シロの3社の共同出資により設立された本部機構、ジャスコ株式会社がその前身となっています。ジャスコの誕生とその後のイオン・グループへの名称変更を含む経営革新には、商家であった岡田家の2つの家訓「大黒柱に車をつけよ」「上げに儲けるな 下げに儲けよ」が影響を与えていると、清水氏は指摘します。「大黒柱に車をつけよ」は、店の立地を機動的に移転させることだけではなく、継続的な企業革新の重要性を教えるものであり、多くの企業との合併・提携を含むイオンの継続的な革新の指針となってきました。また景気の下降局面に儲けてこそ真の商人であるという「上げに儲けるな 下げに儲けよ」の言葉によって、デフレにいち早く対応することができたといいます。これらの教えは実際にはイオンのグループビジョンの形で共有され、激しい環境変化の中で新たな業態を開発する企業と広く連帯しながら、さらなる成長を実現する企業活動の支柱となっていることをご説明いただきました。
 
【サロンを終えて】
 3年目を迎えるChoi Labo in Kansaiは、過年度にもゲストとしてお越しいただいた学会長をはじめ3名の執筆者の方々からそれぞれお話を頂く、大変贅沢なサロンとなりました。各先生方からは、非常に短い講演時間の制約にもかかわらず、具体的な企業事例を盛り込んだお話をいただき、ビジネスモデルの変革を伴う長期経営計画において、ビジョンが果たす役割を大変わかりやすく語っていただき、充実した学びの場となりました。歓談の時間には、書籍を同時購入された参加者の方が著者にサインを求めたり、講演内容について質問をしたりする姿もありました。飲み物や軽食とともに座談会形式で進行するサロンでは、同じテーブルに相席をした他の会員の方々とも打ち解けた雰囲気で会が進行し、関西のマーケティング関係者の輪がますます広がると同時に、「理論と実践とを融合する」という日本マーケティング学会の意義を再認識できた夜となりました。
 また素敵な会場をご提供いただきましたアサヒラボ・ガーデン様に、この場を借りて御礼を申し上げます。
 

写真左より、アサヒグループホールディングス(株)の藤澤氏より、アサヒラボ・ガーデンのご説明、会場の様子
 

恒例の集合写真
 
(サロン委員:廣田 章光・吉田 満梨)

 
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