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日本マーケティング学会 共催
2014年6月度 嶋口・内田研究会レポート
「統計学が最強の学問である」

日本マーケティング学会 共催 2014年6月度 嶋口・内田研究会レポート
「統計学が最強の学問である」
 
日程:2014年6月24日(火)19:00~20:30
場所:社団法人日本マーケティング協会
講師:統計家 西内 啓 氏
共催:日本マーケティング学会

 

【レポート】
西内 啓 氏 従来、統計学やデータ分析は難しい数式やデータを扱う専門的なものと思われてきました。しかし近年、ビジネスの現場やマネジメントの立場でもこの分野の基礎理解とスキルが大きなビジネスチャンスに繋がるようになっています。多くの企業において顧客や従業員の行動履歴や特性を示すデータは日々集積され、これを適切に活かせばより有利な経営判断や施策、事業創出につなげることができるはずです。
 しかしながら、残念なことに「どう分析するか」についての統計学の専門書は数多存在していても「何を分析するか」「分析結果をどう活かすか」という点についての知識はまだまだ日本に普及していません。
 2014年6月度の嶋口内田研究会は、統計家・西内啓氏に日本のビジネスマンのために、統計学の基礎とデータ分析のノウハウ、実践事例をご紹介いただきました。

  

【概要】
医学部に統計学が必要な理由、そしてビジネスの世界への応用
 私は、東京大学医学部を卒業していますが、医者になるためのトレーニングを受けているわけではありません。専門は生物統計学です。医学の世界では、投薬の効果について、統計学を用いて分析するなど、その有用性が認められています。
 そして、この統計学という学問は、ビジネスの世界にもとても有用です。品質管理の分野で著名なデミング賞で知られるウィリアム・エドワーズ・デミングは、統計の手法を活用し、カイゼンに象徴される日本の工業の発展に寄与してきました。しかし、デミング的統計学にも限界があります。それは、利益を生み出す要因について知りたいとき、品質という単一の要因では説明しきれない、ということです。消費者行動や物流コストなど、捨象されたその他の要因についてまで、分析することが必要です。

 

よくある誤解
 分析に必要なのは仮説を考えるセンスだ!という誤解があります。膨大なデータがあるときには、一部の因果関係のみを検証し、その他の因果関係を見落とす、ということを招きかねません。かつてはデータを集める、分析をすることが容易ではなかったため、効率的でしたが、現在はデータを集めることも分析をすることも容易になってきています。

 

分析で大事な3つのポイント
 現代において、仮説ではなく、「問い」をまず立てることが重要ではないでしょうか。
「どうすればもっと儲かるのか」という問いを立てたとすると、次に、「(解析単位)の(アウトカム)に影響しそうなものにはどんな(説明変数)があるのか」を考えましょう。

 

アウトカム:「望ましさ」を具体的に定義
解析単位:「望ましさ」を比べる単位
説明変数:「望ましさ」を左右しうる特徴

 

 「何かよい仮説を立てる」のではなく、「解析単位の特徴を可能な限りデータで定義する」ことを心掛けるとよいでしょう。
 そして、多変量解析を行うことで、売上などのアウトカムに影響を与える説明変数を明らかにすることが出来ます。

 

分析結果からアクションへ
 これからのマーケターは、統計学を用いた分析結果からアクションを導いてこそ、意味があります。例えば、「商品の購買」というアウトカムに対して、影響を与える説明変数には様々なものがあります。心理要因や広告接触などの「動かしうる説明変数」と、性別や年代などの「動かせない説明変数」。これらの説明変数が明らかになった際には、「動かしうる説明変数」は“動かす”、そして「動かせない説明変数」は“ずらす”といったアクションを取ることが出来るでしょう。

 

【研究会を終えて】
 本レポートではお伝えしきることができませんが、当日は「マーケターのための統計学の使い方」という視点で、豊富な例示を交えて、とてもわかりやすくご講演をいただきました。100名を超える来場者は、研究者、実務家双方から多数お越しいただきました。マーケティング領域における統計学は、研究者の研究活動に、実務家の事業活動に、とても有益なものであることを再認識することが出来ました。

 

(文責:嶋口・内田研究会事務局 早稲田大学ビジネススクール内田ゼミM2 尾崎文則・山谷あすか)

 
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