ニュースリリース

第24回マーケティングサロンレポート
「最新デジタル・コミュニケーションの傾向と対策」

第24回 マーケティングサロン
「最新デジタル・コミュニケーションの傾向と対策」

日程:2014年12月19日(金)19:00~21:00
場所:法政大学 ボアソナードタワー25階 イノベーションマネジメント研究センター セミナー室
ゲスト:株式会社ローソン マーケティング本部 デジタルコミュニケーションプロジェクト リーダー 白井 明子 氏
サロン委員:清原康毅、原仁史

 

【サロンレポート】
・開催の背景
 インターネットのニュースサイトや、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNS)を普段から無料で利用する消費者や顧客と、企業はどのようにコミュニケーションをとることが可能なのだろうか。また無料メディア消費の裏側では、現在何が起こっているのだろうか。日々変化するデジタル・マーケティングの世界について学ぶ機会をいただきました。
 

サロン風景 サロン風景
サロン風景
 

・デジタル・コミュニケーションの環境
 2014年度、消費者の1日あたりのメディア接触時間において、デジタル関連への接触時間がテレビを上回った。徐々にではあるが高齢者もSNSを利用し、性別や世代を超えた普及が認められる。インターネットのコミュニケーションでは、朝共有された話題が夕方には過去のものとなって陳腐化するなど、従来メディアの情報入手と共有とは大きく様変わりしており、特に情報の鮮度はますます短命になる傾向がある。
 一方無料のインターネット・サービスを仕掛けるIT企業は成熟し、GoogleやFacebookといった主要なプレーヤーは、マネタイズ・フェーズ(無料サービスから収益をあげる段階)移行し、マーケティング効果にはある程度積極的な投資を行う必要がある。この投資を最適化するために、アドテクノロジーや分析手法が日々進化している。
 

・問題意識
 デジタル・メディアで競合するプレーヤーは同業他社に限らず、消費者もあらゆるメディアを器用に渡り歩く。その消費者の動線は多様であり、情報伝達をしかける企業にとって、従来メディアのコミュニケーション方法論や分析手法の実践では、有限のマーケティング予算で広告効果をあげることが難しくなってきた。社内でもマーケティング効果のROIについて説明責任が求められている。これは、個々の投資効果の説明にとどまらず、個々の投資効果が最大化されること、個々の投資が相乗的効果を有することといった、より効率的かつ効果的な観点で評価が行われるようになってきた。
 このため、自社が持つ消費者や顧客とのチャネルを組み合わせて、どの接点でどのようなコミュニケーションを仕掛け、最終的に店舗における購買行動につなげ、購入した商品の消費行動における経験価値を、どのように他の消費者に広げていくのかといった全体の流れを、総合的に考えていく必要があることと、その分析や検証方法の確立が必要である。
 

・SNS情報発信キャラクター「ローソンクルー♪あきこちゃん」誕生秘話
 ローソンクルー♪あきこちゃんは、白井氏がローソンの店長時代、実在する店員をモチーフにキャラクター化したものです。当時の議論として、企業のシンボルマークを使うよりも白井氏は、コミュニケーション力が高いキャラクターに注目し、社内で複数回に渡って提案し、採用されたそうです。実は、白井氏自身アニメやサブカルチャーが好きと語っていらっしゃいました。
 

・勝利の方程式=仮説
 ローソンクルー♪あきこちゃんには、さまざまな企業からのコラボレーション企画が舞い込むようになった。デジタル・コミュニケーションや他企業とのコラボレーションを続けていくうちに、消費者がどこで情報に出会い、それをどのように拡散し、どのメディアがそれを拾ってさらに拡散するのか、という消費者とメディアのコミュニケーションの図式が見えてくるようになった。
 しかしそのコミュニケーションの動線は企画ごとに異なって多様であり、一概に規定できるものとはならなかった。そこで多様でありながらもある薄い層があることに着目し、その層と層を紡いだ結果、コミュニケーションを成立に導く過程(=勝利の方程式)にたどり着いた。
 

・勝利の方程式の実践=仮説検証
 あるマーケティング企画を考えた時、複数のメディアや消費者を介して、最終的に重要と考える層にどう響くかという動線と連鎖を検討し、実践において検証を行っている。実践を通じて明らかになったことは、勝利の方程式の補強につなげている。
 

・勝利の方程式の進化
 デジタル・コミュニケーションは成長過程であり、環境変化がとても早くて大きい。
情報浸透のメディアは絶えず変化し、情報も短命である。現在の打ち手として、企業はコミュニケーションできるメディアを増やし、上手に組み合わせていく必要がある。勝利の方程式は、一つの過程を明らかにしたが、継続的に手を加えていかなければ、環境変化に置いて行かれる。
 

・今後の課題
 現在、企画ごとに投資は一過性の域を脱していない。今後は、個々の投資が相乗的な効果を有するのみならず、ひとつひとつの企画が積層して次の企画の反応効果を上げるような取組を行う必要がある。
 

・法政大学大学院木村純子教授より
 白井氏の指導教官であった木村教授からは、修士論文指導時において、修論テーマのユニークな着眼点、インタビューを通じて本質を引き出す力、調査結果をまとめて洞察する力、そして出張先や提出ぎりぎりまで教授を巻き込む熱意が修論研究の重要成功要因であったと振り返られました。
 白井氏からは、木村先生の指導のもと定性調査を繰り返した経験は、現在の業務においても躊躇なく「分からなければ、まず聞く」こととして身についており、課題解決の重要なカギであると補足されました。
 

・サロン委員のあとがき
 口コミが具体的にどのメディアを通じて、誰から誰にどのように広がるのかといった洞察に裏付けられた今回のご発表は、大変迫力のあるものでした。
 白井氏の問題意識の深さ、既成概念の枠を超えて仮説を発想・提起する力、なにより仮説の検証に真摯に向かい合って試行錯誤しつつ、さらに仮説を進化させていく実践の力に、ただただ感心して聞き入ってしまいました。しかしこの仮説検証の過程は、法政大学MBAのOBである今回のサロン委員二人にとっては、大学院で学び、修論で苦労した経験そのものであり、修了当時の思いを新たにする機会ともなりました。

 

集合写真(2列目中央 ゲストの白井明子氏)
 

(サロン委員:清原康毅、原仁史)

 
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