ニュースリリース

第32回マーケティングサロンレポート
「日本でマーケターは育つのか?」

第32回 マーケティングサロン
「日本でマーケターは育つのか?」

日程:2015年6月23日(火)19:00~21:00
場所:日本マーケティング協会 東京本部
ゲスト:コンサルタント / 青山学院大学 経営学部 マーケティング学科 講師 山本 直人 氏
サロン委員:佐藤 圭一

 

【サロンレポート】
 今回のサロンでは、マーケティング企画、ブランドコンサルティング、人事・人材育成などの分野でご活躍中のコンサルタント、山本直人様をゲストスピーカーに迎えて、「日本でマーケターは育つのか?」というテーマで語っていただきました。
 山本様は、広告会社にいた時代にクリエイティブ、リサーチ、ブランドコンサルティング、人事・人材開発と多様な職種を経験され、独立後の現在は「企業におけるマーケティング人材の開発」を仕事の中核とされています。
 戦後の日本企業の競争環境や、採用・育成といった組織の特徴について、その背景を分析しながら、これからのマーケター育成に関するお話をいただき、その後参加者の質問に基づいて意見交換が行われました。

 

<ゲストプロフィール>
山本直人氏山本直人氏
コンサルタント / 青山学院大学経営学部マーケティング学科 講師
1986年慶應義塾大学法学部卒業。同年博報堂入社。制作局コピーライター、研究開発局主席研究員(兼)ブランドコンサルティングコンサルタントを経て人事局人材開発担当ディレクター。2004年8月独立。独立後は、マーケティングスキル、営業能力開発、スキル開発、若年層モチベーション向上等を中心とした人材育成コンサルティング/トレーニング、および商品開発、ブランディング、経営理念開発を中心としたコンサルティング/ファシリテーションをおこなう。著書に『グッドキャリア』『マーケティング企画技術』『コラボレーション・プロフェッショナル』(東洋経済新報社)、『売れないのは誰のせい?』『ネコ型社員の時代』(新潮新書)、『「買う気」の法則』(アスキー新書)など多数。

 

【概要】
● 経歴と問題意識
 コピーライターからスタートし、広告クリエイティブ、研究開発、コンサルティング、そして人材開発へと歩んでこられた山本様の経歴と、マーケターをめぐる直観的な疑問として「企業内にマーケターのキャリア・パスはあるのか」、「広告会社はマーケティングの仕事をしていると言えるのか」、「経営者はマーケターをどのくらい理解・重視しているのか」などの問題意識を提起されることからお話が始まりました。
 

● 日本におけるマーケティングを取り巻く環境を振り返る
 続いて、戦後の日本企業の歴史を紐解いていきました。「つくれば売れる」高度成長期や「みんな一緒」の護送船団方式のなかではマーケティングは必要とされていなかったこと、顧客の声より開発現場の声が優先された強力なプロダクトアウトの状況であったこと、マーケティングはバリューチェーンにおける「営業」を支援するだけという認識が蔓延していたことなど、戦後の日本におけるマーケティングを取り巻く環境を振り返りました。そして、現在へ向かってマーケターが求められる時代背景を、「バブル崩壊から金融危機における、作れば終わる時代の終焉」、「少子高齢化から人口減少」、「インターネットの発達」、「構造改革と規制緩和」などの視点からお話しされました。
 

● 現状を整理し、マーケターのこれからを考える
 そして、インターネットの普及や流通業の根拠なき店舗拡大(オーバーストア)、M&A志向の経営戦略、グローバルがもたらす新基準などの点から現状を整理したうえで、「組織」「個人」「社会」という3つの点からマーケター育成のこれからについて考えていきました。「組織でマーケターを育てる」ということについては、グローバル時代のマーケティングスキルとして、バリューチェーンの全体を見渡せる人材を育成していく必要であること、また人事・経理やエンジニアと、マーケターとの交流がより重要になってくることなどが挙げられました。「個人でマーケターをめざす」という点では、大学生・高校生への社会教育を通じてマーケティング概念を浸透させていくことや、マーケティング界の縦割りを崩すことの必要性などを述べられました。「社会がマーケターを活かす」という点では、マーケティングの知恵をもっとあらゆる場へ展開していくべきだと提言されました。そして将来、マーケティングの知恵やマーケターの活躍場面はより重要になっていくだろうという言葉で締めくくられました。
 
会場の様子 会場の様子
会場の様子
 

● 参加者とのディスカッション
 山本様のお話の後、参加者同士でディスカッションを行い、その後テーブルごとに参加者から山本様へ、質問や感想を述べていただきました。参加者からは「マーケター育成には、どこから手をつければ良いのか」、「マーケター育成におけるBtoB企業、BtoC企業の違い」、「営業部門とマーケティング部門との溝」、「マーケティング人材の流動化について」などのテーマが挙げられ、活発な意見交換を行いました。
 
集合写真(前列中央が山本直人氏)
集合写真(前列中央が山本直人氏)
 

【サロンを終えて】
 今回は、「日本でマーケターは育つのか?どうすれば育つのか?」という明確な答えの出しづらい難しいテーマに関して、山本様にはざっくばらんに、楽しくお話していただきました。サロン終了後の懇親会においても活発な議論で盛り上がりました。
 私自身、気づきが多かったですが、参加者にとっても有意義なサロンになったのではないでしょうか。ゲストをお引き受けいただきました山本様、そしてご参加いただきました皆様に、あらためて感謝申し上げます。

 

(サロン委員:佐藤圭一)

 
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