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第6回女性マーケティング研究報告会（春のリサプロ祭り）レポート「女性を切り口としたマーケティングの可能性」 |
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テーマ：女性を切り口としたマーケティングの可能性
日 程：2017年3月18日（土） 16:30-18:00
場 所：中央大学後楽園キャンパス
【報告会レポート】
第1部 これまでの研究会の振り返り
本庄加代子（東洋学園大学）
（1）研究会の振り返り：本研究会の 2年間の活動成果として、これまでご登壇いただいた方とその報告内容を振り返った。
第1回（株）感性リサーチ 代表取締役社長 黒川伊保子氏
「女性脳とマーケティング」
第2回（株）ビースタイル代表取締役会長 三原邦彦氏
「女性を活かすマネジメント～女性営業の活用事例をもとに～」
第3回 東京大学名誉教授・WAN理事長 上野千鶴子氏
「女性活躍社会の条件」
第4回 和平フレイズ（株）専務取締役 林田雅彦氏・Jマーケティング戦略室 松岡真希氏
「女性による女性のための、マーケティングとその組織マネジメントの可能性」
第5回 kay me株式会社 代表取締役社長 毛見純子氏
「キャリア女性のための仕事服ブランドkay me（ケイミー）～女性活躍が生み出す成長マーケット～ 」
（2）「女性と組織の生産性についての仮説的検討」
昨今、女性プロジェクトチームの組成が盛んである。先行研究では不確実性の高い環境下では変革啓蒙型のリーダーシップが組織の成果・部下の満足度を上げ、特に女性のリーダーはその資質を備えるという研究もある。そこで、女性マーケターに対する小サンプルのパイロット調査を行い、売上・成果目標・コミュニケーション・離職の抑止・効率性・働きやすさに関して、「女性の上司」「女性の同僚」「女性の部下」「女性の組織全体（チーム・部署全体）」といった形態ごとに分析した。その結果「女性の上司」あるいは「女性組織」であることが、必ずしも売上や成果、離職抑止に貢献する傾向は見出せなかった。一方で「メンバー同志の共感や協力」、「マーケティング力の発揮」という点において「女性組織」であることを評価する傾向にあった。
（文責：本庄加代子）
第2部 女性を切り口としたマーケティングの可能性～女性の視点とは何なのか～
高橋 千枝子（三菱UFJリサーチ&コンサルティング）
女の時代と言われ、女性達は様々な場面で「女性の視点」を求められている。先行研究より「女性の視点」はフェミニズムをはじめ多様にとらえられてきたが、男性と異なる女性ならではのものの見方があり、それは脳の性差に起因するものであることを指摘した。脳の性差を前提としたマーケティング研究を整理するとともに、女性的資質が組織マネジメントにも有効だという先行研究にも言及した。事例として第1回研究報告会内容（黒川伊保子氏による「女性脳とマーケティング」）を紹介した。
続いて女性の動態変化とマーケティング研究と新市場の創造について言及し、女性活躍推進で生まれたキャリアウーマン向けビジネス事例として第5回研究報告会内容(kayme株式会社代表取締役社長 毛見純子氏による「キャリア女性のための仕事服ブランド kayme」)を紹介した。
（文責：高橋 千枝子）
第3部 有識者講演「タスカジの可能性」
和田 幸子 氏（株式会社タスカジ 代表取締役）
女性の社会進出に伴う家事負担を軽減させる家事代行マッチングサービス・「タスカジ」を起業された和田幸子氏。和田氏は、元大手企業のシステムエンジニア。MBAを取得し第一子を出産した後、フルタイム勤務で復職され、2013年自身の課題でもあった共働き家庭の「新しいライフスタイル」実現に必要な社会インフラを「ITを活用して作る」べく、ブランニュウスタイル株式会社（現：（株）タスカジ）を設立した。そのビジネスモデルは、主に忙しく働くフルタイムの女性と家事が得意な主婦や外国人の労働時間を効率的にマッチングするシェアリングエコノミーであり、従来の家政婦派遣業や家事代行業とは一線を画すことで低価格を実現した。安倍ノミクスの女性活躍推進の諸政策も追い風となり、ユーザー数は順調に推移。設立1年半目には、早くも家事代行サービスランキングにおいて第3位となるなど消費者の支持を得ている（日経DUAL 2016年調査）。また日本政府が推進する「一億総活躍社会」を実現する会社としての注目度も高い。和田氏いわく、「他社を凌駕する圧倒的な競争優位性は、自身が働く女性であることだ」と言い切っている。本事例は「女性の視点」を具体的なビジネスへと落とし込んだ好例であり、その実現プロセスの一端と今後の課題を報告頂いた。
（文責：本庄加代子）
