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研究報告会レポート

第10回女性マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り)レポート「働く女性のリソース(ヒト・カネ・時間)とその活用-潜在ニーズから市場を創造する-」

第10回 女性マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:働く女性のリソース(ヒト・カネ・時間)とその活用-潜在ニーズから市場を創造する-
モデレーター:本庄 加代子(東洋学園大学)
日 程:2018年3月17日(土) 16:30-18:00
場 所:中央大学後楽園キャンパス

 

【報告会レポート】
(1)研究報告「ライフコース視点からみた女性消費」
乳井 瑞代 氏(学習院大学 経済学部経営学科 非常勤講師 *講演当時)

 学習院大学の女性のライフコース研究会では、民間企業と共同研究を行い「女性の就業と消費意識に関するパネル調査」を10年に亘り実施してきた。本セッションでは、その調査データからの発見を中心に、ライフコース別の消費行動比較についての報告を受けた。
 共働き社会が到来し、所得の格差が拡大する中で、企業は様々な商機を狙う。しかし、「働く女性」や「ワーキング・マザー」を安易に一括りにし、マーケティング戦略を策定するだけでは不十分ではないか、というのが、乳井氏の指摘である。乳井氏らが行なった調査研究では、ライフコース別に「経済」「時間」「関係性」の3つの生活資源や担う役割が明確に異なり、それに伴って生活行動や消費行動の実態が異なっていることが明らかとなった。
 具体的には、同じワーキング・マザーでも、「時間資源」はないが「経済資源」や「関係性資源」が潤沢な「継続就業マザー層(結婚や出産後も継続就業している女性)」と、「時間資源」はあるが「経済資源」は必ずしも潤沢ではなく、家事協力を得られる「関係性(家族)資源」にも乏しい「復職層(リターナ)」では、家事の外部化や省力化の度合い、利用チャネルやブランド選択等の購買行動に明らかな違いが見えたという。とりわけLC別の違いが顕著だったのは、「家族団欒時間」であり、忙しい日常の中で家族団欒を重視し僅かな時間でも積極的に捻出しているのは、意外にも「離職層(専業主婦)」等ではなく「継続就業マザー層」であることが明らかになったそうだ。これは、量的には限られた時間資源であっても、一日の内で複数の役割を明確に切り替えることで生じる消費ニーズひいては消費機会の証左であり、ライフコ-ス視点ならではの発見と言える。
 時間の都合で今回の報告は、研究成果の一部に留まったが、その内容を垣間見ても、従来マーケティングの現場で活用されてきた年代別やライフスタイル別のセグメント軸を超えて、女性の「ライフコース」に着眼することが、企業のマーケティング戦略においては益々有用であろうことが確認された。
(文責:本庄 加代子)
 
(2)有識者講演「新たな時代の働き方を創る(株)Warisの挑戦 ~女性がもっと自由に、もっと多様に働く社会に向けて~
米倉 史夏 氏(株式会社Waris 代表取締役 / 共同創業者)

 Warisは優秀な女性と企業のお仕事マッチングを行う人材サービス企業。大卒・総合職経験を持つ文系女性のフリーランス人材に特化し、広報・マーケティング等のコア業務を人材派遣や正社員ではなく、主に業務委託契約の形でマッチングしている。それもフルタイム常駐型ではなく、週3日やリモートワークでの柔軟な働き方を実現している。それが仕事もやりたいが、子育てもしっかりやりたい女性達の支持を得て、5000名もの優秀な女性が登録している。
 Waris創業の契機になったのは共同創業者である米倉氏の経験である。米倉氏はハードな仕事と子育ての両立に悩み、退職後、仕事と子育てのベストバランスを模索する中で、フルタイム常駐型ではない業務委託契約を見出した。
 Warisは志を同じくする三名の共同経営者によって運営されており、現在2人が育休中(うち1人は地方在住)だが、リモートで連絡をとりあいながら運営している。また同社社員は勤務時間や勤務場所が自由、時短勤務、副業OKなど、非常にフレキシブルな働き方をしている。よって特に人材紹介会社などに依頼しなくとも、優秀な人材が集まるという。Warisが目指すのは単なる女性に特化した人材ビジネスではなく、しなやかに自律できる人を増やすことであり、昨今のベストセラーであるLynda Gratton著「ワーク・シフト」を体現したビジネスである。女性活躍、働き方改革、副業・兼業と、我々の働き方のパラダイムシフトに合致した事例である。またビジネス内容だけではなく、ビジネスを提供する側自体がワーク・シフトを実現していることが注目すべき点である。
(文責:高橋 千枝子)

 
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