第60回マーケティングサロンレポート「メルカリが実践するオンライン・オフライン横断型マーケティング戦略とは」 |
第60回 マーケティングサロン
「メルカリが実践するオンライン・オフライン横断型マーケティング戦略とは」
日程:2017年5月30日(火)19:00-21:00
場所:法政大学 ボアソナードタワー 25階 イノベーションマネジメント研究所 会議室5
ゲスト:株式会社メルカリ シニアマーケティングスペシャリスト 鋤柄直哉(すきがら なおや)氏
サロン委員:清原 康毅・白井 明子・川崎 孝臣・田中 祥子
【ゲストプロフィール】
株式会社ボルテージで広告出稿を担当。アプリグループ設立のタイミングで、プロモーション担当としてオンライン広告出稿とインナープロモーションの立ち上げを経験し、2014年3月に株式会社メルカリに入社。日本市場をメインとしたマーケティング業務全般を担当。オンラインプロモーション・TVCM・リアルイベントの3本を軸にマーケティング活動を展開中。
【サロンレポート】
「日本最大のフリマアプリ」メルカリ、2013年7月にアプリがリリースされ、以降順調にダウンロード数を伸ばし、現在では4000万ダウンロードを突破しています。
この急成長の背景には何があるのか、そこには「オフラインで認知を広め、デジタル(オンライン)で刈り取る」と言った明確な戦略がありました。
今回のマーケティングサロンでは、戦略実行の立役者である株式会社メルカリの鋤柄直哉氏を迎え、認知拡大の為のTVCMの工夫や、著名なYouTuberを活用したインフルエンサーマーケティングの取り組みなど、大ヒットアプリを生み出す、オフライン&オンラインでのマーケティング施策について語って頂きました。
【メルカリの会社概要】
最初に、鋤柄様の自己紹介並びにメルカリの会社概要について説明頂きました。メルカリは日本、米国、英国でサービスローンチを行っており、日本では東京、仙台、福岡にオフィスがあります。従業員は約400名で半数以上はカスタマーサポート業務に従事しているとの事です。
メルカリのミッションは「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」、バリューは「Go Bold 大胆にやろう」、「All for One 全ては成功のために」、「Be Professional プロフェッショナルであれ」です。
【メルカリのサービスについて】
メルカリは、「1.日本最大のフリマアプリ」、「2.3分で簡単出品」、「3.安心安全の決済」を特徴としています。また現在、フリマアプリ利用者の約9割がメルカリを利用しており、売れた商品のうち約50%が24時間以内に取引を成立させているとの事です。
【マーケティング手法の紹介】
メルカリのマーケティングチームはオンライン、オフライン担当の他に、デザイナー、データアナリスト、エンジニアなどのメンバーで構成されているそうです。
サービスローンチから現在に至るまで、サービスフェーズに分けたマーケティング施策を実行しており、各々のフェーズ(フェーズ①~フェーズ⑤)での施策を語って頂きました。
フェーズ①:テストマーケ
デジタル広告を展開。この時期はターゲットを女性(特にF1、ママ層)に絞っていた。
フェーズ②:マーケティング拡大
TVCM、PRイベント等の施策を開始。TVCMは、新規インストールを促進する為、女性(特にF1層)をターゲットに放送開始。デジタル広告はfacebook、アドネットワークやTwitterを中心に展開。
その他にも、フリマイベント「メルカリフリマ」やママタレントを呼んだ「PRイベント」も実施した。
フェーズ③:ターゲット拡大
ターゲットを男性にも拡大。 デジタル広告でも、男性への広告出稿を本格化。LINEへの出稿を開始。このフェーズから、コンテンツマーケティングにも着手。メルカリ一社でテレビ番組を制作。番組の中でメルカリを使ってもらい、出品の流れの簡単さなどを理解して貰うのが狙い。
フェーズ④:メジャー感醸成
このフェーズでは、Youtuberを使ったインフルエンサ―マーケティングに挑戦。獲得効率も、アプリダウンロード後のアクションも良く、高効率の施策になったそう。
フェーズ⑤:ターゲット拡大
新たなブランドイメージ「①男性も使っている」、「②オシャレな人も使っている」を浸透させる為の各種施策を実施。 デジタル広告では「認知&サービス理解」を目的とした動画広告をテスト出稿。
最後に今後のマーケティングプランについて触れていただきました。「今後もまだまだサービス拡大」、「新規獲得だけでなくGMV(Gross Merchandise Value:総流通額)影響のある施策」を実行されるそうで、マーケチームでは「MAU(Monthly Active Users)をどう増やすか」がミッションとなるとの事でした。
【質疑応答】
最後に質疑応答では、「TVCMに多くの資金を投入したと思うが迷いはなかったか?」、「一番効果のあった施策は何か?」といった質問や、「CMの効果測定の方法は?」といった多くの質問がされました。サロン終了後にもゲストとの名刺交換時に質問を行う参加者が多く、参加者の関心の高さを感じられました。
【サロンを終えて】
今回のサロンでは鋤柄様に「メルカリ」の認知拡大、ユーザー獲得の為の様々な施策について語って頂きました。その中で、印象的だったのは、「短期間かつ少人数で実行する施策の多さ(=資金量)」もさることながら、「ROASやCPIなどの評価基準を持ってしっかり運用している」という事でした。この事から、大胆かつ緻密に“超高速PDCA”を回す仕組みが、「メルカリ」成長のエンジンであると言えるのではないでしょうか。若いながらも、多くのマーケティング施策を実行し、仕事のやりがいに満ち溢れる鋤柄様のお話に、ただただ感心し続けたサロンとなりました。
ゲストをお引き受けいただきました鋤柄様、そしてご参加いただきました皆様に、あらためて感謝申し上げます。
写真左より、鋤柄様講演の様子、集合写真(前列左から4人目が鋤柄様)
(サロン委員:清原康毅)