ニュースリリース

第70回マーケティングサロンレポート「コーポレートブランドマネジメントの実践 ― パナソニックの事例から ―」

第70回 マーケティングサロン(東京)
「コーポレートブランドマネジメントの実践 ― パナソニックの事例から ―」
日程:2018年2月6日(火)19:00-21:00
場所:中央大学 後楽園キャンパス
ゲスト:岡本 一志 氏(パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 コーポレートブランドプランニング部 ブランド推進室 マネジメント課 課長)
サロン委員:香川 勇介・金子 大介・吉澤 歩美・伊藤 蘭香
 
【サロンレポート】
 今回のサロンでは、パナソニック株式会社ブランドコミュニケーション本部コーポレートブランドプランニング部ブランド推進室長の岡本一志氏をお迎えして、パナソニック株式会社のブランド歴史を振り返り、パナソニック株式会社にて推進されているブランドの使用管理、価値評価、教育についてディスカッションしました。

 
【概要】
社名変更・ブランド統一
 パナソニック株式会社の社名変更・ブランド統一の動きは2008年に動き始めました。また翌年の2009年位は三洋電機との経営統合もあり、SANYOブランド事業もPanasonicに統一する必要性があったのです。旧ブランド体系では、誰もが耳にしたことがある、あるいは見たことがある代表として、「松下電器産業株式会社」や「National」が挙げられます。ブランドには①企業そのものを表示、②商品サービスへの表示、③企業姿勢を知らしめる際の表示として表現されるため、これら個々のブランドを全て、新ブランド体系では統一を実現したのです。またその歴史は非常に感慨深いものであり、Panasonicブランドの目指す姿、そしてB2B事業の見える化に向けて事業ブランドを展開することで、認知度を大きく向上させました。
  
ブランドマネジメントの推進体制
 パナソニック株式会社のブランドコミュニケーション本部の役割は「社内外のグローバルなステークホルダーに対して、総合的なコミュニケーション活動を通じて、当社の企業価値向上と事業加速に貢献する」とあります。実際にカンパニー・事業部単体では実現できないコミュニケーション戦略の役割を岡本氏は担いました。具体的な取組として、①全社ブランド戦略・施策の検討、②重要なブランド課題の検討、③ブランドに関する決定事項の周知徹底を部門横断的に取り組まれました。
 
ブランドマネジメント活動の概要
 ブランドに対する現場の声は非常に厳しいものがありました。例えば「B2B事業にブランドは関係ない」、「ブランドのルールがあることを知らなかった」、「ルールを守れないのはお客様の要望だから仕方がない」と、現場が既に難しいと感じてしまっているブランドをしっかりとマネジメントしていくための具体的な詳細を岡本様よりお話頂きました。その詳細は多岐に渡りますが、ブランドの戦略策定から、具体的なオペレーションを一つずつ丁寧な活動を実践されてきたとのことです。
 
ブランドのルールと使用管理
 岡本氏の取り組んだパナソニック株式会社のブランド関連全社規定の体系化は、そのひとつひとつが木目細かいルールに基づいています。そのために大事なブランド使用管理の視点には3つあるとされ、①独自性、②適法性、③視認性に重きを置いているとのことでした。しかしながら、実際に現場においては、勝手にロゴを変形・加工するといった事例や、あるいは他社ブランドとの併記を行う事例があるとのことで、企業グループの表示から、商品・サービス、宣伝・販売促進など、Panasonicブランド表示の基本原則を掲げ、ブランド表示のガイドラインを明確に設定されました。
 
ブランドの価値評価
 ブランド戦略や事業戦略の策定を目的にContinuousにPanasonicのブランド調査を実践し、Panasonicブランドのポジションがその位置にあるか、経年変化を確認し、同時に競合対する課題把握とアクションプランの策定にご尽力されました。その取組の結果、Panasonicブランドは、SONYらに負けないブランド認知度を確立し、ブランドイメージも素晴らしい評価を得るに至っています。
  
【サロンを終えて】
 岡本氏のお話をうかがい、Panasonicというブランドは非常に信頼できるブランドであると感じました。1918年に松下幸之助が創業してNationalのブランドを誕生させてから一貫して「技術力」のイメージが強いなか、その伝統を重んじながら新たに「Panasonic」としてブランドを統一させたその取組は、ただブランドを統一させることで、商標管理の問題や、個々のブランドでは世界的に通用しない課題を解決するためだけに行われたのではなく、「Panasonic」のブランド価値が、パナソニック株式会社ファンの記憶の中に確実に形成していくための、強い拘りであるように感じました。 
 
集合写真(前列写真中央が岡本氏)
集合写真(前列写真中央が岡本氏)
 
(文責:香川勇介)

 
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