ニュースリリース

第4回　マーケティングサロン「戦略とは何かを話しましょう」

プレゼンター：元・カルビー代表取締役社長　中田康雄氏 （株式会社中田康雄事務所 代表取締役）
日程：2013年4月17日（水）19:00～21:00
場所：日本マーケティング協会 東京本部
サロン委員：小川亮・佐藤桂

【サロンレポート】

和やかな雰囲気で始まった第4回のサロンですが、今回はカルビーの社長を務められた中田康雄様にご登壇いただき、戦略についてお話いただきました。楠木 建先生（一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授）の『ストーリーとしての競争戦略：優れた戦略の条件』（2010、東洋経済新報社）をベースに、戦略ストーリーの概念をご紹介いただき、続いて青山フラワーマーケットのケーススタディを通じての戦略理解、そしてカルビーの戦略ストーリーのお話と、企業の戦略を理解する贅沢な2時間でした。

質疑応答では、徹底して練られた戦略をカルビーのトップとして実際に実行してきた中田様だからこその、実践的な解説もいただくことができ、「戦略とは何かを話しましょう」というテーマをじっくりと議論・理解できたマーケティングサロンとなりました。

中田康雄氏

【概要】
● 戦略ストーリーの構成要素の理解
戦略ストーリーの概念を、その構成要素と関係性という視点から、解説していただきました。サッカーのゲーム展開でとらえた楠木先生の概念を、スターバックスの成功事例を使いご紹介いただきました。様々な戦略の構成要素の中でも、もっとも業界の非常識とも捉えられる重要なキーアクションをクリティカルパス（キラーパス）とし、そこから戦略ストーリーを開始します。その後戦略は、キラーパスから展開される様々な構成要素（パス）を通じて、コンセプト（誰に、何を、どのように、そしてなぜ提供するのか）を達成し、顧客がお金を払いたいと思わせる競争優位性（シュート）につなげ、安定的な長期的利益（ゴール）を実現するという理想的な戦略ストーリーの成功の流れを解説いただきました。

● ケース「青山フラワー・マーケット」を通じてのディスカッション
青山フラワー・マーケットのショートケースをご用意いただき、参加者全員で討議しました。通常のフラワーショップでは、考えにくい非常識なアクションを１つ１つ吟味し、キラーパス、パス、コンセプトといった構成要素に割り当て、ゴールまでのプロセスを整理することによって、参加した皆様は、戦略ストーリーを俯瞰して、理解することができたのではないでしょうか。

● カルビーの戦略ストーリー
参加者の戦略ストーリーの理解が深まったところで、いよいよカルビーの戦略ストーリーをご紹介いただきました。商品に日付表示をするという、当時では考えられない戦略を実行し、それを実現する様々な商品の鮮度管理を徹底して行うことで、お客様の満足度を実現してきたカルビーの戦略ストーリーをお話いただきました。

また、製品戦略や原料戦略に関わる戦略ストーリーについても触れ、成長を続けるカルビーの多面的で一貫性のある戦略を参加者の多くの方がご理解いただけたと思います。最後に21世紀型のカルビーの戦略ストーリーとして、中田先生の考える今後のカルビーの戦略ストーリーの一例をご紹介いただきました。

● 質疑応答
質疑応答では、参加者の思い出のカルビー商品に関するご質問や、戦略の実現性に関する疑問など、率直な質問が次々と上げられました。4年にわたってカルビー全社の戦略を実行されていた中田様だからこその、ご回答をいただき大変盛り上がりました。

写真左から、集合写真（前列中央 中田康雄氏）、会場の様子

【サロンを終えて】

様々な戦略論がある中で、戦略を要素に分けてゴールに向けた1連のストーリーとして組み立てる考え方を（1）解説・（2）ケースディスカッション・（3）ご自身で実行されたストーリーと質疑応答という3段階でお話いただくことにより、参加された皆様もより理解を深めることができたのではないかと思います。自分のビジネスを戦略ストーリーにて語ることができ、携わっているスタッフ全員が、そして社員全員が語れるようになることで、そのビジネスの実現力が格段に増大するというお話を頂戴しましたが、早速実行せねばと思われた参加者も多かったことと思います。

中田先生のお人柄もあり、高度なテーマであるにも関わらず、大変和やかで話しやすい雰囲気をお作りいただき、まさにマーケティングサロンが目指す時間を過ごすことができたと思います。この場を借りて、ゲストスピーカーをお引き受けいただきました中田様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

尚、今回のマーケティングサロンの内容につきましては、ご紹介できる内容に限りがあるため、概要のご報告とさせていただいております。ご了承いただければ幸いです。

（サロン委員：小川亮）