ニュースリリース

第132回マーケティングサロンレポート
「2025年のマーケティング・アジェンダ」

#いまマーケティングができること

第132回マーケティングサロン:オンライン
テーマ:2025年のマーケティング・アジェンダ
 
日程:2021年5月24日(月)19:00-20:30
場所:Zoom使用によるオンライン開催
ゲスト:早稲田大学 商学学術院 教授 内田 和成 氏
    中央大学大学院 戦略経営研究科 教授 田中 洋 氏
サロン委員:小野 和美・副田 治・山口 夕妃子
 
【サロンレポート】
 デジタルディスラプション、ニューノーマル、アフターコロナ、DXに続いて、IoB(Internet of Behavior), Total Experience、コンポーザブルビジネス…あらたなバズワードがつぎつぎと産まれては消えています。そのような中、2020年代という長期的な視野に立って、現在のマーケティングのアジェンダとは何かをあらためて考えていこうと“2025年のマーケティング・アジェンダ”について内田和成氏と田中 洋氏に語っていただきました。
 
内田 和成 氏
 ネットが普及して企業・社会が変わってくると、企業は、ヒエラルキーで管理型であった組織がジョブ型組織や外部組織を使う組織に変ってくると言われながら、あまり組織自体は変わっていないのではないか。2025年のマーケティング・アジェンダとして不確実性への対応を考える必要がある。
 未来を予測するよりは、何ができるのかを考えることが大切である。その見方として①自分の肌感覚(ミクロ、観察)、俯瞰する(マクロで見る、データで見る)、ドリルダウン(掘り下げていく、So What)3つが大事である。不確実性が増している時に②③を実行するということも大事であるが、①自分の肌感覚を磨いて、直観で感じたものをデータ・数字・ファクトを用いてロジックで補強することが大切である。
 

 
田中 洋 氏
 マーケティング・アジェンダとはマーケティングにとって何が重要なのか、何について議論しなければいけないのかを考えることが望ましいのかということである。マーケティングは様々なバズワードがでてくるが、多くは次の4つの象限に収まるのではないか。すなわち、1. 顧客志向、2. 収益志向、3. 戦略志向、4. 社会志向の4つの象限である。顧客志向と戦略思考と対立し、収益志向と社会志向は対立する。コトラーの唱えるマーケティングトレンドとこの4つの志向をみていくと、マーケティング1.0は収益志向であり、マーケティング2.0は顧客志向であり、マーケティング3.0は社会志向であり、マーケティング4.0は戦略志向であると言えるだろう。この指摘は、マーケティングはこれまで4つの志向を循環してきたことを意味しているのではないかと考える。この循環を打破するためには、交換/相互作用志向が有効に動くのではないか。つまり交換/相互作用志向を4つの入れて考えることが、新しいマーケティングを見出すことになるのではないかと考える。
 

 
 対談では、「変革ができる」、「ものの見方を変える」という視点からみると、リーダーの役割は「今日うまくやれる」ということではなく、「明日をつくる」「新しい価値観を形成する」ことができることであるという指摘や、その一方で新しい価値観をもっているリーダーは周りから受け入れられないことも多く、新しい取組をどのように理解されるようにするのかということも重要であるなど2025年のマーケティング・アジェンダについて内田氏・田中氏で意見が交換され、その後フロアーからも質問も受け付け、活発な質疑応答が展開された。
 
【サロンを終えて】
 本サロンは、当初、ハイブリッド開催(福岡会場のリアルとオンライン)を考えていましたが、コロナ禍の状況を鑑み、オンライン開催のみとなりました。今回は九州サロンで久々のリアル開催の予定で、学会員外の方の申し込みを受け付けし、多くの方に参加していただく機会となりました。外部の方も含め234名の方が申し込みをされ、関心の高さが示されていました。
 
 内田先生と田中先生のご講演はもとより、お二人のディスカッションを通じて将来のマーケティング領域の考え方や行動において示唆に富んだご指摘を頂き、理解を深めることができました。
 

 
(文責:山口 夕妃子)

 
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