第156回マーケティングサロンレポート「内田和成氏新著「イノベーションの競争戦略」を読み解く-行動変容を実現するためには、何が重要なのか?-」 |
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第156回マーケティングサロン(嶋口内田研究会):オンライン
テーマ:内田和成氏新著「イノベーションの競争戦略」を読み解く-行動変容を実現するためには、何が重要なのか?-
日 程:2022年6月29日(水)19:00-20:40
場所:Zoomによるオンライン開催
ゲスト:内田 和成 氏
小川 貴昭 氏(株式会社ロッテ)
木村 淳之介 氏(株式会社プレイド)
武藤 美穂 氏(ライオン株式会社)
水沼 秀幸 氏(東京海上日動火災保険株式会社)
伊藤 宏祐 氏
サロン委員:佐藤 圭一・芦田 裕・金 泰元・尾崎 文則・八尾 あすか
【ゲストプロフィール】
内田 和成(うちだ かずなり)氏
東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営学修士(MBA)。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表。2006年には「世界の有力コンサルタント25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出された。2006年より2022年3月まで早稲田大学教授。
<実務者ゲスト>
小川 貴昭 氏
早稲田大学ビジネススクール(MBA)修了 / 株式会社ロッテ 経営戦略部 事業開発課 課長
2007年に(株)ロッテ入社。中部統括支店にて菓子の営業に携わる。その後、本社営業企画部門で消費者の購買行動について研究。2017年よりガム・キャンディのマーケティング業務に従事。2019年よりキシリトールブランドのブランドマネージャーを務める。2022年4月より現職にて、新規事業の探索と具現化に取り組んでいる。
木村 淳之介 氏
早稲田大学ビジネススクール(MBA)修了 / 株式会社プレイド Executive Producer
武藤 美穂 氏
早稲田大学ビジネススクール(MBA)修了 / ライオン株式会社 オーラルケア事業部
水沼 秀幸 氏
早稲田大学 商学部 卒業 / 東京海上日動火災保険株式会社
伊藤 宏祐 氏
早稲田大学 商学部 卒業
【サロンレポート】
第1部では、技術革新に依りすぎていた従来のイノベーション論から脱却し、内田和成氏のご経験と早稲田大学商学部・早稲田大学ビジネススクールのゼミ卒業生とのイノベーション研究会での2年にわたる事例研究の結果導き出された「内田流イノベーションの新定義」の下記の4つのポイントに絞り、内田和成氏と共著者に豊富な事例を交えて解説いただきました。
① イノベーションを起こすにはイノベーションのトライアングル-社会構造、心理変化、技術革新といった環境変化の何がドライバーになるのか見立てる必要がある
② イノベーションにおいて人々に行動変容を起こすこと、そして不可逆な状態に持っていくことが重要である
③ 行動変容を起こすのは、必ずしも価値創造を実現したプレイヤーと同じでなくても良い
④ 新しいイノベーションが連続して起こるには、「同一の顧客に展開するパターン」「別の顧客に展開するパターン」「他人が起こしたイノベーションを利用するパターン」がある
第2部では、パネルディスカッションにて、日頃「顧客の行動」と向き合っているマーケティング・新規事業の実務家の視点で、具体事例をもとに「行動変容を実現するためには、何が重要なのか」を掘り下げていただきました。先行企業が保守本流以外の市場に気づいても取り組めないジレンマや、態度変容に働きかけることで行動変容を促した事例、日本企業がイノベーションの横取りに肯定的になるヒントや、横取りされた企業が再び主導権を握った事例など、どれも実務担当者には示唆に溢れる内容でした。
また質疑応答では予定時間を超過するほど沢山の質問をいただき、大変盛況のうちに終了いたしました。
【サロンを終えて】
「イノベーションの競争戦略」の執筆にあたり、研究会では1,000を超す事例を収集・分析されたそうです。それだけの事例を実務と並行して研究されたことに頭が下がる思いがしました。また事例のみならず、研究会メンバーが実務で経験されてこられた成功体験やジレンマが、本書の提言に盛り込まれていることをパネルディスカッションや質疑応答から垣間見ることができ、大変共感を覚えると共に、実践的な一冊だと感じました。
イノベーションに取り組むマーケター・新規事業担当者の皆様はぜひご一読ください。
講演・パネルディスカッションを賜りました内田様、小川様、木村様、武藤様、水沼様、伊藤様、ご参加いただいた皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
(文責:八尾 あすか)