ニュースリリース

第151回マーケティングサロンレポート「吉原・遊郭、現在と未来 ― 地域マーケティングと赤線時代の歴史的建造物保存を考える ―」

#いまマーケティングができること

第151回マーケティングサロン:オンライン
テーマ:吉原・遊郭、現在と未来 ― 地域マーケティングと赤線時代の歴史的建造物保存を考える ―
 
日程:2022年3月29日(火)19:00-21:00
場所:Zoomによるオンライン開催
講演者:株式会社カストリ出版 代表取締役社長 渡辺 豪 氏
サロン委員:藪原 和雄、中谷 淳一
 
【サロンレポート】
 第151回マーケティング・サロンは、これまで遊廓を始めとする全国の娼街跡500箇所以上を取材し、2016年に遊廓専門出版社カストリ出版創業され遊郭・赤線文化の保存伝承に携わられてきた株式会社カストリ出版代表取締役社長の渡辺豪様をお招きして開催いたしました。今回のサロンは、初の試みとして事前に「吉原・歴史街歩き」を開催し、渡辺様に実際に今も残る遊郭・赤線時代の歴史跡を案内いただきました。
 
【概要】
 サロンでは、渡邊様から、遊郭から戦後の赤線にいたるまでの歴史経緯や10年にわたる全国600か所の遊郭跡や赤線・青線の現地調査内容について学びました。
 渡辺様は、赤線時代の建造物に歴史的価値が認められず取り壊されている現状を危惧し、遊郭・赤線にかかわる文献や各地に残る郷土史家の書物を次の世代へ残すことと、赤線時代の建造物に歴史的な価値を認め次世代に残すためには、専門出版社を設立することが最善の策と考えられ、カストリ書房を開設したのこと。現在は、全国の研究者や学生たちが遊郭や赤線時代の書籍を求めカストリ書房に訪れているという。
 赤線のあった事実が負の歴史とされる傾向が強く、赤線時代の建造物を歴史的な観光資源にする意向を自治体や地域住民が持ちにくく、また建物も戦後の資源の乏しい時代の建物で建造物としての価値も低く、保存に向けた方策が見いだせていない状況にあるとのこと。
 
<第151回マーケティング・サロン特別企画「吉原・歴史街歩き」開催レポート>
 2022年3月27日(日)にマーケティング・サロンに先立ち、渡辺様のガイドを受け江戸時代から残る吉原の歴史を実際に現地で学びました。街歩き目的および注意事項の説明を受けた後、約1時間半、吉原地区の歴史街歩きを行いました。
 
歴史街歩きは「見返り柳」からスタート 吉原大門があった場所を確認
写真左より、歴史街歩きは「見返り柳」からスタート、吉原大門があった場所を確認
 
吉原弁財天 吉原地区に残る赤線時代の建物
写真左より、吉原弁財天、吉原地区に残る赤線時代の建物
 
【サロンを終えて】
 人気アニメ作品で舞台にもされた吉原遊廓、今回のサロンでは、「遊郭」をいかにして地域ブランドとし地域マーケティングに活かしていくかに関心を持ち、企画しました。遊郭に詳しい講演者を探した結果、渡邊様に行き着いたのですが、企画段階では知り得なかった実情を渡邊様より教授いただき、遊郭(そして赤線地区)を地域ブランドや地域マーケティングといった文脈で活用することの難しさを知ることになりました。
 遊郭や赤線時代には負の側面があることは事実ですが、渡邊様の「残さなくて良い歴史は無い」という思いから、現場にとどまり現場で活動し続ける姿勢に、強い信念を持った在野の研究者としての在り方も学ぶ機会となりました。
 
(文責:藪原 和雄、中谷 淳一)

 
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