ニュースリリース

第170回マーケティングサロンレポート「パーパス経営とマーケティングの役割」

#いまマーケティングができること

第170回マーケティングサロン:オンライン
テーマ:パーパス経営とマーケティングの役割
 
日 程:2023年3月1日(水)19:00-20:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
ゲスト:アイディール・リーダーズ株式会社 代表取締役CEO 永井 恒男 氏
サロン委員:今井 紀夫、嶋尾 かの子、深澤 了
 
【ゲストプロフィール】
永井 恒男 氏永井 恒男 氏
アイディール・リーダーズ株式会社 代表取締役CEO
Midwestern State UniversityにてMBA取得後、株式会社野村総合研究所に入社。経営コンサルタントとして活動後、2005年に社内ベンチャー制度を活用し、エグゼクティブ・コーチングと戦略コンサルティングを融合した新規事業IDELEA(イデリア)を立ち上げる。以後10年間事業を推進。2015年4月、アイディール・リーダーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業の社長・取締役に対して、経営者本人や企業のPurposeを再構築するプロジェクトを多く手がける。専門は経営者の意思決定支援とイノベーション。アステナホールディングス株式会社(東証一部上場)社外取締役。平和構築活動をグローバルに推進する特定非営利活動法人Reach Alternatives(REALs)理事。2019年にビジョン経営に関する書籍『会社の問題発見、課題設定、問題解決』、2022年にパーパス経営に関する書籍『パーパス・ドリブンな組織のつくり方 発見・共鳴・実装で会社を変える』を出版。
 
【サロンレポート】
 SDGsやESG経営の注目度の高まりから、経営におけるパーパスの重要性は、ますます高まりを見せています。今、多くの企業がパーパスを策定し、その浸透に力を入れています。
 
 今回は、日本においてパーパスの重要性をいち早く指摘し、数多くの企業のパーパス再構築を手掛けるアイディール・リーダーズ株式会社代表取締役CEOの永井恒男氏をお招きし、「パーパス経営とマーケティングの役割」をテーマにお話いただきました。
 

 
 永井氏はパーパスは存在意義であると定義します。何のために存在しているのか?というのがパーパス。しかしビジョンや理念などにそれがすでに明示されている企業もあり、「社内での呼び名がビジョンでも、理念もまったくかまわない」と言います。松下幸之助も存在意義の重要性を語っており、パーパスという言葉が「流行り言葉」ではなくもともと経営において存在しているもの、と言います。
 

 
 次に、パーパス・マネジメントについての話題に移りました。まずさまざまな企業のパーパス事例をみながらビジョンとパーパスの違いなどについて解説を加えます。パーパス策定が増えている背景として「社会へ貢献しない企業は支持を得られなくなった」ことがあると言います。社会の要請がパーパス策定の流れを牽引しているのですが、それよりも重要なのはパーパスを創るだけでなく「パーパス経営」を実践すること。
 

 
 パーパス経営がなされない状態は、各部署がバラバラ。企業としての方向性が不明確な状態です。しかしパーパス経営がされていることで、統一感が生まれ、同じ方向を組織が向くことができます。永井氏はパーパス経営のメリットを下記のように指摘しますが、本来はメリットを議論すること自体がナンセンスであると言います。それは例えれば、「人生の目的を持つと何がいいですか」を議論することと同じことなわけです。
 
パーパス経営のメリット
1. 働き手から選ばれる会社になる
2. 顧客から選ばれる会社になる
3. イノベーションを生み出す
4. 好業績を生み出す
 

 
 永井氏はこれらの一つひとつについて、データを用いながら、細かな解説を加えていきます。しかし「そもそもパーパス自体はたとえ明文化されていなくても、企業内にかならずあるもの」。だからこそ再発見し、明文化することで、その取り組みを進めていく必要があります。
 
 パーパス経営の取り組みについては、発見、共鳴、実装の3フェーズがあります。まずは策定する発見期。そして個人のパーパスと企業のパーパスが重なり合う共鳴期。そして組織内へ昇華させる実装期となります。ここでは6領域(文化、構造・システム、社外との共創、経営のリーダーシップ、事業・プロダクト・サービス、人・組織)を定義しています。
 

 
 永井氏はパーパス策定に関して「より多くのメンバーが策定に参加することが大事」と言います。ステークホルダーをわくわくさせるためと考えると、限られたメンバーでの策定よりはいろんな人を巻き込んだほうがいいそう。そうなると、策定まで時間がかかるもの。企業によっては2−3ヶ月で策定する場合もあるが、手直しなどさまざまな手間や、策定後の共鳴期のことなども考えると、じっくりとさまざなま人を巻き込んで策定したほうがあとあとのフェーズがスムーズに進みます。個人と組織のパーパスの重なり合いが重要であり、重なり度合いは個人で差はあっても、少しでも重なり合うことが理想です。
 
 個人のパーパスをどのように策定していくのかや、実装期の6つの領域でどのような変化を組織に生むのか、について事例を細かく用いながら解説してくださいました。また、パーパスに沿ったマーケティング事例について挙げ、そのポイントについて「行動で示すこと」が大切であると指摘します。パーパス経営も、パーパス・ドリブン・マーケティングもいずれも、企業自身の「経営哲学が問われている」と指摘します。
 
 その後は、発表をもとに活発な質問が出されました。永井氏から非常に具体的な事例を用いての回答があり、濃密なディスカッションが行われました。
 

 
【サロンを終えて】
 SDGsやESG経営が叫ばれて久しいですが、その大きな流れからの必然のパーパス経営の潮流を永井氏の発表から感じました。もはや売上や利益のみを追求していても、企業に人やお金は集まりません。「何のために存在しているのか」を定義し、それを従業員と共有し、共鳴している状態をつくることは、組織づくりという言葉では小さすぎると思いました。やはり「経営そのものである」という言葉がフィットします。企業内でパーパスを議論していくことは、閉塞感のある組織の大きな突破口になり、永井氏の言うイノベーションを起こす起点になると改めて感じました。長く生き残る企業になる秘訣こそ、パーパス経営なのだと思います。
 
(文責:深澤 了)

 
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