ニュースリリース

第168回マーケティングサロンレポート「「日本マーケティング本大賞2022」受賞記念マーケティングサロン『The Art of Marketing マーケティングの技法:パーセプションフロー・モデル全解説』 」

#いまマーケティングができること

第168回マーケティングサロン:リアル・オンライン併用開催
テーマ:「日本マーケティング本大賞2022」受賞記念マーケティングサロン『The Art of Marketing マーケティングの技法:パーセプションフロー・モデル全解説』
 
日 程:2023年2月10日(金)19:00-20:30
場 所:株式会社 宣伝会議およびZoom使用によるオンライン開催
ゲスト:株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役 音部 大輔 氏
サロン委員:清原 康毅、岡田 庄生
 
【ゲストプロフィール】
音部 大輔 氏音部 大輔(おとべ だいすけ) 氏
株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役
17年間の日米P&Gを経て、欧州系消費財メーカーや資生堂などで、マーケティング組織強化やビジネスの回復・伸長を、マーケティング担当副社長やCMOとして主導。2018年より独立し、現職。消費財や化粧品をはじめ、輸送機器、家電、放送局、電力、D2C、医薬品、IP、BtoBなど、国内外の多様なクライアントのマーケティング組織強化やブランド戦略を支援。博士(経営学・神戸大学)。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)、『The Art of Marketingマーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説』(宣伝会議)、『ガンダムでわかる現代ビジネス』(SBクリエイティブ・共著)がある。
 
【サロンレポート】
講演の様子 今回のサロンでは、まず音部様がパーセプションフロー・モデルの解説を行い、次に三井住友カードの増尾様、濵野様からパーセプションフロー・モデルの活用事例紹介、音部様とのセッション、そして最後に質疑応答の流れとなりました。
 
音部様からの解説
 まずは組織成長の話から始まりました。成長とは何か? 「昨日できなかったことが今日できる。知らなかったやり方が今日できる」。つまりはナレッジマネジメントで、各々が得た知識を組織に共有していく事が重要である。そして知識を伝播させる為に必要なのが共通言語ということです。
 パーセプションフロー・モデルはマーケティング活動の全体設計図です。これはオーケストラにおける楽譜のようなもので、作曲家が思い描いた曲を演奏家が演奏できるのと同様に、ブランドチームが描いたブランド体験を代理店や関係部署でも提供できるようにするものです。全体設計図があると消費者中心の活動ができ、共通言語として共有しやすくなり組織としての成長ができるのです。このモデルはP&G時代に開発し、転職を繰り返す中で試行錯誤し、今では自動車、住宅や学習塾など多くの領域で使われるツールになっています。
 
三井住友カード様からの事例紹介
 三井住友カード様からは、実際にパーセプションフロー・モデルを活用した事例とその効果の話を頂きました。対象のサービスはstera terminalという決済端末で、様々な決済にオールインワンで対応できるという特徴があります。当初は、競合より有利な価格や機能で訴求しましたが、顧客獲得には繋がらなかったそうです。その時に出会ったのが音部様の著書『マーケティングの技法』でした。顧客訪問を通じて「会計に“ゆとり”をもたらす」というベネフィットを導出し、そこからパーセプションフロー・モデルでプロモーションの全体設計を行なったそうです。その内容は、お店のサービスをより良くしたいと考えている店舗オーナーさんに、課題想起(会計時に満足度を下げてませんか?)、ベネフィット訴求(接客時のゆとり)、興味が出た段階で機能訴求(決済手数料率は業界最安水準)を行うフローとなりました。更にブリーフィングシートを作成し、狙いたいパーセプションの変化を制作会社に伝えたそうです。結果、制作会社との意思疎通が図れWEBサイトではCVRが約3倍まで伸びるなど、多くの効果があったそうです。
 
セッション
 セッションは音部様からの質問「パーセプションフロー・モデルの効果のうち、思い出深く感じられたことは?」から始まりました。増尾様からは、失敗事例のお話がありました。「最初は企業目線のフローになってしまい、従来と変わらない機能訴求のプロモーション案になった」そうですが、顧客の声をフローに当てはめると「こだわりのサービスを通じてお客様に満足をしてもらいたい」とお店側のパーセプションが見えたそうで、顧客目線で実際の店舗オーナーの声を聴く事が大事だと気づかれたそうです。
 また濵野様からは、「カスタマージャーニーマップでは気付けなかった、店舗オーナーやその先のお客様の課題がパーセプションフロー・モデルで捉えられたので、訴求の仕方の幅が広がった」とのお話がありました。他にもブリーフィングシートの活用によって制作会社から、「自分たちの意図するアウトプットが出て来た」や「社内での議論が顧客目線になった」など多くの効果に関する話で盛り上がりました。
 
質疑応答
 質問では、「外部コンサルなど使わず内部だけで対応されたのですか?」や「三井住友カード様の社内への浸透する上での障壁は?」など多くの質問を頂きました。
 
【サロンを終えて】
 音部様の話の中で、「機能とベネフィットの違いへの解」が印象的でした。機能はブランドが主語でベネフィットは消費者が主語になると。企業にいると「どうやって売るか?」の議論が多くなり、お客様の気持ちが置き去りなる事が多々あるように感じます。今回の三井住友カード様の事例のように、「お客様目線でベネフィットを突き詰め、伝える努力が必要だな」と改めてマーケターとしてのあるべき姿を学びました。
 お忙しい中ご講演頂いた音部様、三井住友カードの増尾様、濵野様、会場を提供して頂いた宣伝会議様、そしてご参加頂いた皆様に感謝申し上げます、有難うございました。
 
(文責:清原 康毅)

 
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