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第171回マーケティングサロンレポート「日本マーケティング本大賞2022」準大賞受賞記念マーケティングサロン『ブランド戦略ケースブック2.0』

#いまマーケティングができること

第171回マーケティングサロン:リアル・オンライン併用開催
テーマ:「日本マーケティング本大賞2022」準大賞受賞記念マーケティングサロン『ブランド戦略ケースブック2.0』
 
日 程:2023年3月9日(木)19:00-20:30
場 所:東洋学園大学フェニックスホールおよびZoom使用によるオンライン開催
ゲスト:田中 洋 氏(中央大学 名誉教授)
    八塩 圭子 氏(東洋学園大学 現代経営学部 教授)
    安成 蓉子 氏(MarkeZine編集部 編集長)
サロン委員:京ヶ島 弥生・長崎 秀俊・山口 夕妃子
共催:東洋学園大学
 
【ゲストプロフィール】
田中洋氏田中 洋(たなか ひろし) 氏
中央大学 名誉教授
京都大学博士(経済学)。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長などを歴任。株式会社電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。前・ソウルドアウト株式会社社外役員。著書『ブランド戦略論』、『現代広告全書』、『ブランド戦略ケースブック2.0』、『現代広告論[第3版]』など多数。日本マーケティング学会マーケティング本大賞/準大賞/ベストペーパー賞、日本広告学会賞(4回)、東京広告協会白川忍賞、中央大学学術研究奨励賞などを受賞。ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GE)、マイクロソフト、株式会社星野リゾート、株式会社資生堂など多くのグローバル企業で戦略アドバイザー・研修・講演などを行う。
 
八塩圭子氏八塩 圭子(やしお けいこ) 氏
東洋学園大学 現代経営学部 教授
上智大学法学部卒業。テレビ東京で10年務めた後フリーアナウンサーに。法政大学大学院社会科学研究科経営学専攻マーケティングコース修士課程修了。関西学院大学商学部准教授、学習院大学経済学部経営学科特別客員教授を経て、2016年4月から東洋学園大学現代経営学部准教授、2021年4月から現職。報道番組司会、コメンテーターなど多数。

 

安成蓉子氏安成 蓉子(やすなり ようこ) 氏
MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。
編集担当書籍・雑誌:『ザ・アドテクノロジー』 / 雑誌『MarkeZine』
 
【サロンレポート】
 今回のサロンは、「ブランド戦略ケースブック2.0」の準大賞受賞を記念して行われましたが、本書の紹介だけでなく、実際に私たちが日ごろ扱うケース・事例について、様々な角度から議論する場となりました。
 
『ブランド戦略ケースブック2.0』
 本書の特徴は、「ブランド戦略」というタイトルではありますが、そこに提示されたケースは、決していわゆるブランド戦略のみではなく、経営戦略全般にわたり論じられている点です。またケースに取り上げられた商品のジャンルも多岐に渡っていますが、そのケースを模倣するだけでは成功を導けず、いかにそのケースの中から再現性高い点を抽出し、市場のコンテクストの中で検討する必要があるかについても繰り返し説明されています。
 このサロンでは、本書のケースの中から、ケース07エアウィーブについて、執筆された八塩圭子氏から概要をご紹介頂き、そこでも、再現性を重視して読み解く視点を共有しました。
 
ケース3つの種類とそこから学ぶ2つのポイント
田中洋氏 田中洋氏からは、いわゆるケースにも、大きく分けて3つの種類があり、①詳細に実際にあった企業の事象を分析・記述し、マネージャーの意思決定力を向上させるために資する教育教材としてのビジネスケース ②理論的定石に反して成功した事例を分析することにより、理論を再検討・再構築する、研究方法としてのケーススタディ(事例分析) ③理論を説明するための事例、ビジネスにヒントを得るための事例、典型的事象を表現する事例など、現実に生起している企業の成功と失敗などのマーケティング事象という現実を理解するためのケースがある、ということが整理され、提示されました。
 
ケースの活用と市場のコンテクスト
 安成蓉子氏からは、編集部全体で年間数百本のケースを取材、公開されている立場から、それらケースを実務家が読む場合、同業だけでなく、他業種の事例にも目を通すべきで、また自社であっても、成功事例より失敗事例にも目を向ける必要という問題提起がありました。また、事例を読み解くとき、例えば、企業側からすべての情報が提供されるわけではないことを踏まえると、「欠けている要素」をどう補足して読んでいくかも重要であるということも指摘されました。
 
安成蓉子氏
 
 八塩圭子氏は、教員として学生に提示するケース、そして研究者として研究対象になるケース、マスコミ人として生活者や消費者に知らせるべきケース、など、ご自身が様々な役割を担う中でケースを扱う立場としての視点から、読む側、使う側に立ってのケースの取り上げ方、捉え方、そして理解の仕方がある点を実地に即して提示いただきました。教育現場では、理論を学んでもらう上で、それを表現したケースをまず提示し、さらにまた別のケースの中で理論やフレームワークを見出していく方法で、理論と実践を交互に見て理解を深めること。また実務的には理論から外れたものや再現性が難しいと思われるものの中にもマーケティングの成功例が数多くあること。そして、テレビなど映像でのケースは「画になる」もので作られていくので、見る側もある程度の知識や判断力を要することを理解しておくべき、という指摘をいただきました。
 
安成蓉子氏
 
 ケースは、ビジネスの実践そのものであるけれど、ケースを作るために実務が動くことはありません。再現性を読み解いていくことでビジネスの参考にする、映像素材から将来的な事業のヒントを得る、自社のケースを研究者や記事・番組の制作者に取材してもらい、自社のケースを客観的に再構築して、次世代の事業の参考にしていく、などもケースを扱う目的となります。
 提供側は常に良質な興味深いケースを求め、受け取り手側は世の中にあふれるケースの中から有効なケースを見出していく、このように両者が動くところに、また次のビジネスの成功が積み重ねられることでしょう。
 
【サロンを終えて】
 田中先生がまとめの中で、ケースの扱い方や再現性の抽出なども大事ではあるが、そのビジネスの成否に関わった”人”に焦点を当てたケースももっと増えてよいし、研究されていくべきではないかとの問題提起をされました。
ビジネスを動かすのに必要なのは、結果としてのケース以上に、それを動かす人の頭脳や力であることを考えた時、そうした点にも注目しながら、今後もケースを読み、使い、検討していきたいと思いました。
 ご参加の方からも、主にビジネスの現場で、自社はもちろん、他社のケースの活用について改めて考える良い機会となった、とのご意見を多くいただきました。
 ケースの活用、という一見地味なテーマと思っていましたが、様々な立場の方たちに向けての有効なヒントをお示しできたサロンとなったと思います。
 ご参加の皆様、ご登壇の先生方、そして、サロン開催に多大なご協力をいただきました東洋学園大学様に、改めてお礼申し上げます。
 
 なお、このサロンの模様は、マーケティング専門メディア『MarkeZine』にも記事が掲載されていますので、お読みください。
https://markezine.jp/article/detail/41786
 
集合写真
 
(文責:京ヶ島 弥生)

 
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