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第163回マーケティングサロンレポート「生産から消費まで・カレーでできるSDGs! ハウス食品グループの取り組み」

#いまマーケティングができること

第163回マーケティングサロン:リアル
テーマ:生産から消費まで・カレーでできるSDGs! ハウス食品グループの取り組み
 
日 程:2022年10月18日(火)19:00-21:00
ゲスト:ハウス食品グループ本社株式会社 広報・IR部 参事役 堀井 志郎 氏
会 場:目白大学 新宿キャンパス
サロン委員:京ヶ島 弥生、長崎 秀俊、森口 美由紀、佐々木 竜介
 
【サロンレポート】
ハウス食品グループ本社株式会社 会社概要
 同社の創業は1913年。薬種化学原料店としてスタートし、その後、創業者の浦上靖介氏が得意先からカレー粉の販売を委託され、これを機にカレー粉の研究に没頭。そして1926年に縁あって、「ホームカレー」の製造販売をスタートしました。
 それ以降、カレーは少しずつ売上を伸ばし同社の主力商品となりました。
 社名については、1960年に「ハウス食品工業」に、1993年に「ハウス食品」に変更したのち、2013年に持ち株会社に移行、ハウス食品グループ本社に称号が変更されました(ハウス食品はその傘下の事業会社に)。
 グループ理念は「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」です。
 
ハウス食品グループとSDGs
 ハウス食品グループがSDGsに積極的に取り組む理由は、主に二つあるそうです。一つはSDGsの関心層と同社のターゲット層が重なること、そしてもう一つは同社のCSRの理念とSDGsの理念が重なることです。CSRの方針として、バリューチェーンの構築や強化を通じてさまざまな社会課題の解決とグループの持続的な成長の実現をめざしており、それはすなわちSDGsの目標達成にも貢献すると考えているそうです。
 具体的な活動として、例えば環境の面で、生活者に様々な提案をしています。「エコおいしい」は、レトルトカレーを湯煎ではなくレンジで温めて食べよう、という提案です。そのために家庭用レトルト製品のほとんどをレンジ対応パウチに変更しました。レンジ調理は加熱時に蒸気口からスパイスの香りが飛びやすいため、香りのスパイスを増やすなど配合を変えることで、それまでの製品と味覚に違いが出ないよう研究を重ねたそうです。
 さらにレトルトにもかかわらず「温めずにおいしいカレー」も販売。加熱不要なので調理時のCo2排出削減に寄与しています。
 またルーを使ったカレーでは、時短調理の提案も行っています。フライパン調理で具材をカットしてから10~15分で出来るとのことで、調理の手間を減らす「お客様価値」とともに、Co2排出を抑える「環境価値」を提供しています。
 
「もっとカレーだからできることプロジェクト」
 いま世界的に、食品ロスが大きな問題となっており、日本においては令和2年は522万トン、このうち事業系が275万トン、家庭系が247万トンもの食品廃棄物が発生しました。全体の半分近くになる家庭系のロスを減らそうと、ハウス食品グループがSDGs活動の一つとして開始したのが、「もっとカレーだからできることプロジェクト」です。
 この活動では、ロスになりがちな食材を使ったカレーのレシピ提案や、カレーに使うときの食材活用のコツの紹介、また消費期限と賞味期限の違いの啓発などを行っています。
 また自治体との共同の取り組みも盛んに行っており、例えば愛知県豊田市との共同企画では、家庭で余りがちな食材に関する豊田市でのアンケート結果を参考にオリジナルカレーレシピを提案し、市役所でそれらの食材を使ったカレーライスが提供されました。
 
2021ニッポンフードシフトへの取り組み
 「ニッポンフードシフト」という運動があります。日本の食料自給率向上や食の安全などを目的に、農林水産省が2008年から開始した「フード アクション ニッポン」から、2021年に移行したものです。この運動においてカレーというメニューは、使われる食材の食料自給率の高さ(カロリー当たりの自給率はカレー56%、ラーメン16%)、使われる食材の種類の多さ、また食卓に登場する頻度の高さといった特性から、注目をされています。
 ハウス食品グループはこの運動の推進パートナーとして参画し、積極的な地産地消への取り組みを行っています。例えばカレーのTVCMにおいては、地方ごとに特色のある素材を使った32パターンのカレーのレシピを制作し、それぞれの地方で放映しました。
 鹿児島県では茶葉の生産量が2位であることを意識し、茶飯で食べるカレーを提案しました。この他、例えば野菜の摂取量が全国と比較して少なく、知事が先頭になって「1日350gの野菜を食べよう」と呼びかける青森県では、野菜カレーを提案するなど、各地域で抱えている問題に対して、それにこたえる提案をしているとのことです。
 活動を続けていくうえで、地域のことをよく知った上での提案が有効であると気が付いたそうです。
 
【サロンを終えて】
 今回のサロンは、久々にリアルでの開催になりました。参加人数は少なくなったものの、その分一体感があり、また質疑応答も活発に行われ、活気のあるサロンとなりました。
 その質疑応答のやり取りの中で出た発言ですが、バーモントカレーは「大人が食べるものだったカレーを子供も食べられるものにした」そうです。甘いカレーを開発しようという当時の副社長の発案で誕生したこの商品が、カレーを国民食とした、と言えます。そして、国民食になったからこそ、現在のSDGsの取り込みが力を発揮しているわけです。
 SDGsなど社会的な課題に企業が対峙する場合は、わざわざ特別な取り組みを行うのではなく、社の事業の中で、強みやDNAなどを生かすことが、「持続可能な」活動につながるのだと思いました。
 
集合写真
 
(文責:佐々木 竜介)

 
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