ニュースリリース

第181回マーケティングサロンレポート「今リーダーがするべきことは。〜個人の能力を最大化し、強い組織を構築するために〜」

第181回マーケティングサロン:リアル・オンライン併用開催
テーマ:今リーダーがするべきことは。〜個人の能力を最大化し、強い組織を構築するために〜
 
日 程:2023年11月28日(火)19:00-21:00
場 所:法政大学 ボアソナードタワー25階 研究所会議室5
    およびZoom使用によるオンライン開催
ゲスト:株式会社ディー・エヌ・エー エグゼクティブビジネスプロデューサー 今西 陽介 氏
 
【ゲストプロフィール】
今西 陽介 氏今西 陽介 氏
株式会社ディー・エヌ・エー
2004年株式会社ディー・エヌ・エーに入社。
Mobage、ポケットアフィリエイト、モバオク、モバコレなど、複数のモバイルサービスの立ち上げに従事。職務はマーケティング領域のマネジメントを中心に、コミュニティマーケティング、デジタルマーケティング、PRなども担当。現在は、スマートシティ事業にて横浜でのまちづくり、DX事業を推進。副業で上場企業からスタートアップまで複数社支援、大学やビジネススクールなど講師にも従事

 

【サロンレポート】
「マーケティングはもちろん、ビジネスは一人ではなく、チームで行うもの」
 これは常にビジネスで言われていますが、今リーダーがすべきことは、強い組織を構築するために、個人の能力を最大化するためのマネジメントが必要であると講演の冒頭に説いて頂きました。現在リーダーをしている方に対しては、事業をグロースするために必要なマネジメント手法に対する考え方を、そして現在リーダーをされていない方に対しては、リーダーが期待していること(リーダーの視点)をこの場で学び、明日からリーダーとのディスカッションに対する心構えを紹介頂きました。リーダーは、「なぜ今この仕事を実施する必要があるのか」丁寧に説明を行い、部下のみんなが納得感を持って仕事をするためには、信頼関係の構築が必須で、対話をきっかけに「気づき」を与え、将来に向けた成長をサポートしていく心構えがないとリーダーは務まらないメッセージが私の心に強く刻まれました。
 
個人の能力を最大化するために、大切にしたい考え
 マネジメントの仕事とは、事業をグロースさせることであり、その上で事業を成功させるための戦略は不可欠です。そして、複数実行しなければならない施策の中から優先順序を踏まえて意思決定を行う必要がある。戦略は目標を達成するための戦い方であり、特にリソースを配分するための選択・意思決定が重要になる。言うまでもなく、リソースの中で重要なひとつが「人」であり、目標達成には良いチームを組成することが必須になる。それでは「良いチーム」とはどういうチームだろうか?強い組織とは何だろうか?これは「メンバーが目標に向かって、チームメンバーが個々に自走できている組織」と今西氏は定義している。これは、チームメンバーが指示を待って動くのではなく、常に自分自身で考えて行動することが重要だと述べる。
 

 
勝つための強い組織作り
 今西氏の印象深いメッセージがあった。強い組織を作るためには、多様な個性を活かすことが必要である。例えば、野球日本代表の「侍ジャパン」のように各球団の優れた選手が集まる組織でのマネジメントを担当することは稀であり、現実はドラマ番組の「ROOKIES」が実際の組織に近い。「ROOKIES」は、監督が不良メンバー一人ひとりの個性を引き出すことで甲子園に導く作品であるが、チームメンバーの中には足の速い人もいれば、ピッチャーですごい球を投げるけどスタミナがない人など、短所もあれば長所もあるようなことだらけです。マネージャーは、メンバーの多様な個性や長所を活かしていくことで、戦略を実行できるメンバーの育成、つまり現有戦力の最大化を目指すことになる。これこそがマネジメントの仕事であり、優秀な人材が最初からいることはごく稀で、基本的には一人ひとりの能力をどのように伸ばしていくか、そして現在のチームの能力を最大化しつつ、勝つための人材戦略を検討することもマネジメントの大事な役割になる。
 
リーダーの人間理解
 今西氏の講演でドキッとするメッセージがあった。「社内のメンバーのことをちゃんと理解していますか?」
 マーケターは「人間理解が重要」ということは皆知っている。社外の顧客に対して自社の商品やサービスを使用してもらう前に、自分の社内のメンバーのことをどれだけ知っているのだろうか?社内の人間理解もできずに、社外の顧客を理解することは無理である。社内のメンバーさえ理解できていないのに、社外の顧客をリサーチすることは難しい。これは、チームメンバーの目標がバラバラとならないように、先述した「自走するメンバー」を育成するためにも、マーケティングの一丁目一番地の仕事である。また、メンバーの個性を把握することも大切である。今西氏はこのメンバーの個性を把握する時に「Will、Can、Must」を使用している。「Will」はメンバーがやりたいこと、「Can」はメンバーができること、そして「Must」はメンバーやらなければならないことである。これらをリーダーがしっかりと整理し、メンバーが力を発揮できる居場所はどこなのかを把握することがマネジメントとして重要である。メンバーが張り切るのは、自分が求められているという実感を創り出すことが非常に大切になる。そして最後に、幸せの機会を提供すること。幸せには「達成」、「快楽」、「没頭」、「良好な人間関係」、「意味合い」の5つの種類があり、これをメンバーに提供することで「強いチーム」へと育成できる考え方である。
 
ブリリアントジャーク
 今西氏の講演で会場もオンライン視聴者も盛り上がったのがこの話題。仕事ができて格別に優秀だけれども嫌な奴にどう向き合っていくか?ブリリアントジャークの特性を紹介頂いた後、大切なのは「リーダーは、感情の戦いから目を背けてはいけない」とのメッセージであった。そしてリーダーに求められるのは、ロジックとパッションのバランスであり、ロジックだけのメンバーは一緒に働きたいと思えない。またパッションだけのメンバーは業績を達成することができないので予算を与えることはできない。
 
マネジメントの役割の定義
 マネージャーになると多忙で、時間もない。決してやってはいけないことは、メンバーの仕事に必要以上に介入すること。目標を達成する手段として、介入することはマネジメントという意味で必要な場面もあるが、メンバーの成長サポートという観点からするとあまり良くない。メンバーに自走してもらうためにも、リーダーは前衛と後衛のバランスを考える必要がある。リーダーの役割の中で、方針説明や意思決定などの「前衛」は、工数全体の1割で、残りの9割は後衛からメンバー士気を把握しながらコミュニケーションを行い、鼓舞し、戦術をUPDATEし、後ろから見守ってあげることが重要になる。メンバーのみんながしっかりと業務が実施できているか、しっかりと結果が出ているかを把握することが大切になる。だからこそ、1 on 1のミーティングで、本音を言ってもらえるかどうかも大変重要になる。メンバーは「うまくいっています!」と報告することが多いですが、後衛で見守っていれば、メンバーが無理をしていることも理解できるため、メンバーの状況に応じてサポートする判断もできる。
 
結局はメンバーへの「愛」
 リーダーがメンバーと会話をする時に、「愛がない」指摘をしても全く意味がない。例えばメンバーと30分間の1 on 1を実施したとしましょう。マネージャー目線では、30分間のミーティングで29分は、メンバーの業務を褒めたり、感謝したり、承認する時間に費やし、最後の1分だけ指摘をしたとしましょう。この時のメンバーの頭の中は、たった1分間の指摘であったとしても「たくさん指摘された」と思っている。最初に、どのように信頼関係を創るのか?リーダーとメンバーの信頼関係ができていれば、このように思われることはない。1 on 1では「感謝しているよ」と伝えることが重要であり、感謝と承認しかない。どのようにメンバーと信頼関係を築いていくかという視点を持つことが大切である。
 
集合写真
 
【サロンを終えて】
 最後に、私はマーケティングマネジメントの仕事をしているが、実務としてマーケティングを習熟するにはそれなりの時間が必要になると考えている。会社という組織を考えた時、マーケティングのメンバーには、マーケティングを専門的なキャリアとして活躍する社員と、人事異動などのジョブローテーションでマーケティングを担当する社員がいる。それぞれのメンバーは状況に応じて、マーケティングの実践的な視点や実務に備えるための知識習得を行いながら経験を積み、そして同時にメンバーの持続的な成長という将来のキャリアを見据えたコミュニケーションが必要になる。その時にマネジメントが為すべきことは何か、強いマーケティング組織構築を目指すためにも、今西氏の講演内容は、再現性のある方法論として非常に考えさせられる内容であった。
 
(文責:香川 勇介)

 
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