ニュースリリース

第185回マーケティングサロンレポート「三菱商事、ローソン、インドネシア、中国でのマーケティング事例 ~国内MBA(早稲田)修了からのキャリアステップ~」

第185回マーケティングサロン:リアル・オンライン併用開催
テーマ:三菱商事、ローソン、インドネシア、中国でのマーケティング事例
    ~国内MBA(早稲田)修了からのキャリアステップ~

 
日 程:2024年2月9日(金)19:00-21:00
場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス
ゲスト:三菱商事株式会社 リテイル本部 眞田 悠太郎 氏
サロン委員:白井 明子、清原 康毅、岡田 庄生、海野 浩三、渡邉 裕也、山口 葉月
 
【ゲストプロフィール】
眞田 悠太郎 氏眞田 悠太郎 氏
三菱商事株式会社 リテイル本部
三菱商事株式会社に入社し、企画業務部門からキャリアをスタート。インドネシアへ語学研修生として派遣後、自動車事業部門に在籍し、インドネシア担当として貿易実務・企画営業・商品企画を担当。社内公募制度を活用しコンビニ事業へ社内転職、海外新規進出検討・食品工場立ち上げ業務や既存投資先の株式売却などを担当。2021年3月に早稲田大学経営管理研究科を修了し、2021年7月よりローソン中国(上海)に駐在、M&Aを担当後、現在は業務改革・消費者調査・会員アプリ購買分析/実行・越境EC新規事業などを担当。
 
【サロンレポート】
 誰もが一度は通ったことのある「ローソン」。ですが中国のローソンに足を運んだことのある人は、日本人だと少ないのではないでしょうか。
 2020年に新型コロナウィルスが全世界で蔓延し、世の中の物流や消費行動に大きな変化をもたらしている中、日本のコンビニ業界は大きな打撃を受け、売り上げ・店舗数ともに減少しました。一方で新型コロナウィルスを皮切りにオンラインビジネスが全世界で発達します。中国のローソンはこのオンラインビジネスの潮流を逃さず、デリバリー・ライブコマース等の拡充により多くの人からの支持を得ることに成功し、着実に店舗数を増やしていきました。しかし店舗数拡大に伴い、課題も生まれました。消費者からローソンは認知され、また利用したいと思って頂けているのかなど課題を見つけ、マーケティングリサーチを行い、実行し、現在につなげています。
 今回は試行錯誤された体験談をもとに、中国のローソン市場についてお話しいただきました。
 
モニターの定性調査
 店舗数を増やしても、消費行動に繋がっていないと店舗増加も無意味なものになってしまいます。そこで中国のローソンはモニターの定性web調査を実施しました。
①第一想起・再利用意向の年齢・性別別の確認
②新型コロナウィルス・ロックダウンを経ての消費傾向の変化
③顧客セグメント別による競合との差異などを分析
④新型コロナウィルス前後での年代別・地域別他者推奨意向(NPS)の確認
 上記4つをモニターに調査した結果、地域で共通する部分と地域で異なる部分を見つけることに成功しました。しかし、データ・数字からは読み解けない顧客心理、POSデータと調査結果の差異、定性調査の頻度とコストのバランスに課題を感じるようになったそうです。
 そこで顧客心理のなぜを深堀りながら、実際のお客様とPOSデータの比較ができるN1調査を始めて実施しました。
 
1on1インタビュープロジェクト
講演の様子 1on1インタビューを実施するうえで目的を設定する必要がありました。そこで課題感のあった朝食シーンに絞り、なぜ朝食で中国ローソンの売上が落ちているのか、これまで来ていたが来なくなったお客様の理由はなぜか。など朝食シーンでどの様な解決ができるかを調査する事にしました。
 インタビューでわかったことをワークショップを開催しアイデアに落とし込み、現在はプロトタイプ構築に向けて準備を行っている段階です。、アイデアの1つとして「健康棚」と呼ばれる棚を店舗とアプリ上で作成する案も出てきました。無糖、低脂肪など複数カテゴリーの食品・飲料を配置し、様々なニーズに対応することが可能な棚とのことです。
 最終的に調査~プロトタイプ構築まで行った結果、朝食の切り口は面白いが、本取組で行ったペルソナ・カスタマージャーニーの作成については、コンビニという業態でどこまで作成する意味があるのかという課題が新たに生まれました。例えば自動車であれば、だれに向けてどのように売り出すべきか明確に設定する必要がありますが、コンビニという誰もが利用する場所でのペルソナ設計は難しいとのことです。またインタビューを実施してからペルソナを設定するハードルも高いことがわかったそうで、最新のデリバリーや口コミサイトのような消費者プラットフォームから、情報・トレンドを掛け合わせるともっとよくなるのでは。と振り返りをされていました。
 
優良会員をどうやって増やすか
 先ほどまでは、消費行動を促すためのマーケティングリサーチについてご説明していただきましたが、最後に「アプリ内の会員数をどう増やすか」という違う観点での消費者行動についてもお話ししていただきました。
 中国ローソンでは来店客の7割前後が非会員とのことですが、会員の方が非会員に比べて客単価・来店頻度が高いという傾向がみられるそうです。そこで会員の特徴を見ていくと、会員になったタイミングは消費が刺激されていることがわかりました。一方で、その後緩やかに消費量が落ちていくこともわかり、この問題をどうしていくかが課題となりました。
 そこで実店舗、オンライン共に様々な施策を実施しました。例えば会員日の設定や、クーポン発行、ポイント消化など、会員が定期的にローソンを利用する環境づくりを行ったところ、優良会員の人数と売り上げ増加に貢献できたとのことでした。
 
【サロンを終えて】
 日本の店舗をマーケティングの力で変えていくことでさえ大変なことなのに、中国という異国の国で、消費者と真摯に向き合い実行されている姿にとても感激しました。質疑応答の際にも、住んでいたら異文化の理解は容易にできるのか。という質問が投げかけられていましたが、中国のトレンドに追いついていくことはやはり大変だそうで、現地の方との垣根を低くマーケティングを行うことが大切であるとお話しされていました。異国の地で、課題を見つけ、そこからマーケティングリサーチを行い、アイデアを出すことの難しさは容易に想像できるものではありませんが、実行することの大切さを強く感じることができました。
 
集合写真
 
(文責:山口 葉月)

 
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