第192回マーケティングサロンレポート「新しい飲み方のスタイルであるスマートドリンキング(スマドリ)の推進 ~飲めない人の視点から新文化創造に挑戦するスマドリ株式会社の取り組み~」 |
第192回マーケティングサロン:東京 https://www.asahibeer.co.jp/smartdrinking/company/
テーマ:新しい飲み方のスタイルであるスマートドリンキング(スマドリ)の推進
~飲めない人の視点から新文化創造に挑戦するスマドリ株式会社の取り組み~
日 程:2024年7月10日(水)19:00-21:00
場 所:SUMADORI BAR SHIBUYA(スマドリバー渋谷)
ゲスト:スマドリ株式会社 取締役CMO 元田 済 氏
サロン委員:佐藤 圭一、芦田 裕、八尾 あすか、尾崎 文則
【概要】
第15回 日本マーケティング大賞で、最高賞グランプリを受賞した『スマドリバー渋谷』は、“お酒を「飲める」人と一緒に安心して楽しみたい”という、お酒を「飲まない / 飲めない」人の声から生まれたバーです。2022年6月のオープン以降、20代以上のZ世代を中心としたお客さまが来店し、「ドリンクの選択肢が圧倒的に少ない」という飲めない人が抱える不満を解決するだけでなく、お酒を飲む人が、お酒を飲めない人を連れてくるなど、お酒を「飲める」人と「飲まない / 飲めない」人が一緒に楽しめる場を創出しています。
今回、「スマートドリンキング®」を推進するために、2022年にアサヒビールと電通デジタルの合弁会社として設立したスマドリ株式会社の取締役CMO元田済様をゲスト講師に迎え、『スマドリバー渋谷』にて、お話を伺いました。その後、第2部として、『スマドリバー渋谷』の店舗ツアー、及び5階にある「THE 5th by SUMADORI-BAR」で、ゲスト講師とともに飲みながら懇親会を行いました。
【ゲストプロフィール】
元田 済(げんだ ただし)氏
スマドリ株式会社取締役CMO。「飲める人も、飲めない人も共に楽しい空間や時間を共有できる社会」の実現を目指し、スマートドリンキング事業に携わる。
〔スマドリ株式会社について〕
2022年1月に設立された、アサヒビールと電通デジタルの合弁会社。「スマートドリンキング」の理解浸透及び関連商品のコミュニケーション支援などを行っている。
【サロンレポート】
第1部
スマドリ=スマートドリンキングとは、お酒を飲みたい時、飲めない時、あえて飲まない時、飲む人も、飲まない人も、ひとりひとりが自分の体質や気分、シーンに合わせて、適切なお酒やノンアルコールドリンクを選ぶことを指します。コロナ禍や世界的なアルコールをめぐる潮流を背景に、アサヒビールが始めた取り組みです。
Alc.0~3.5%の販売容量は世界的にも伸長しており、今やお酒を飲まない人(飲めるけど飲まない+飲めない人)の人数が飲む人を上回っています。しかし、これまでは飲めない人は周りに気を遣ったり、種類の少ない「ノンアルコール」から飲み物を消極的に選択せざるを得ない状況でした。
こうした状況を元に、アサヒビールはお酒を飲めないために十分に楽しい生活文化を創造できていなかった、「お酒を飲まない・飲めない」層へ特化したマーケティング会社として電通デジタルと共同で合弁会社「スマドリ株式会社」を2022年1月に設立。スマートドリンキングな社会の実現と、新たな生活文化の創造を目指し、飲めない・飲まない、ミレニアル世代・Z世代に特化した各種マーケティング施策を展開しています。
なかでも2022年6月にオープンしたSUMADORI BAR SHIBUYA(スマドリバー渋谷)は、“お酒を「飲める」人と一緒に安心して楽しみたい”という、お酒を「飲まない / 飲めない」人の声から生まれたバーで、外から見えて安心する全面ガラス張り、暗すぎない証明、バーとカフェの間のような雰囲気、SNSで映えるドリンクビジュアルなど、飲める人と飲めない人が一緒に楽しめる様々な工夫がなされ、SNSを中心に大きな話題となり、各種メディアにも大きく取り上げられました。
また、このスマドリバーは、渋谷区公認の一般社団法人渋谷未来デザインとスマドリ社が共催し、スマドリの考えに共感する渋谷区や賛同企業・大学・団体とコラボレーションした、「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」の拠点でもあり、スマドリと適正飲酒の啓発を目的としたスマドリセミナーを中心に各種活動を展開しています。
こういった取り組みがSDGs時代の新たなマーケティング活動として「社会価値」と「経済価値」の両立を目指し、「飲めない人+飲まない人」=約5000万人を新市場と捉えつつ、“新しい飲酒文化を共創”することが評価され、第15回日本マーケティング大賞グランプリ(2023年)や日経MJ賞(2022年)の受賞など高く評価されています。
受賞後も、スマドリに共感する企業、例えば自動車ディーラーやゲーム会社とスマドリをコンセプトにしたオリジナルドリンクが楽しめるカフェバーのプロデュースし、スマドリを体験できる拠点の拡大や、スマドリセミナーの全国の大学への展開など、この取り組みは拡大しており、今後もより大きなムーブメントとなっていきそうです。
第2部
講演の次には、元田様自ら案内役となり、店舗ツアーがスタート。1階、2階のバースペースの案内をはじめ、販売している様々な種類のドリンクをご紹介いただきました。その後、5階にある「THE 5th by SUMADORI-BAR」に移動し、懇親会が始まりました。今回のサロンでは第1部参加者のほぼ全員が第2部(懇親会)まで参加していただき、スマートドリンキングを体験。お好みのドリンクとアルコール度数(0%、0.5%、3%)を掛け合わせた、様々なカクテルをみんなで飲みながら、元田様に質問したり、参加者同士で交流したりと、とても盛り上がりました。
【サロンを終えて】
ノンアルコール・低アルコール市場の拡大という会社の脅威に対して、アサヒビールが合弁会社をつくり、ビル一棟を使って実験的な取り組みをされていることに、非常な危機感とプレッシャーを背負ったプロジェクトであると感じました。合弁会社や自治体・企業とのコラボといった座組やその運営の様子など、参加者の興味は尽きることがなく、質疑応答も大盛況でした。
また、今回は大変有難いことに、SUMADORI BAR SHIBUYAの現地でサロン開催させていただくことができました。4階のセミナースペースでのご講演のあとは、1階、2階のバーの見学、5階のラウンジでスマドリを体験しながらの懇親会(なんとほぼ全員が懇親会まで参加!)と、座学に留まらない学びの機会となりました。
そしてミレニアル世代・Z世代に特化した各種マーケティング施策を展開しているスマドリ社の狙い通り(?)、今回のサロン参加者も20代が3分の1以上で、いつものサロンよりも若い人が多かったことも印象的でした。
集合写真(前列中央 元田済 氏)
(文責:八尾 あすか、佐藤 圭一)