第197回マーケティングサロンレポート「【九州・北海道コラボ開催】お土産菓子から見る地域ブランディングの新展開」 |
第197回マーケティングサロン:リアル・オンライン併用開催
テーマ:【九州・北海道コラボ開催】お土産菓子から見る地域ブランディングの新展開
日 程:2024年9月3日(火)19:00-20:30
場 所:小樽商科大学サテライト(北海道会場)
株式会社 九州博報堂 QHub(九州会場)
およびZoom使用によるオンライン開催
ゲスト:小樽商科大学大学院 商学研究科 アントレプレナーシップ専攻(専門職大学院) 教授 近藤 公彦 氏
特定非営利活動法人灯す屋 事務局長 上野 菜穂子 氏
北海道サロン委員:近藤 公彦、須田 美貴、山田 政樹
九州サロン委員:山口 夕妃子、小野 和美、副田 治
【概要】
北海道と九州で合同マーケティングサロンを開催しました。北海道からは「ブランドの発展 ─『白い恋人』の事例から─」をテーマとして近藤公彦氏が、九州からは「ちゃわん最中~余白が生み出すあたらしい価値~」をテーマとして上野菜穂子氏が報告され、それを基に活発にディスカッションがされました。
【ゲストプロフィール】
近藤 公彦 氏
1984年同志社大学商学部卒業、1990年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。現在、小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻(専門職大学院)教授。専門は、マーケティング論および流通システム論。
上野 菜穂子 氏
特定非営利活動法人灯す屋 事務局長
札幌市出身。イラン国営放送に15年勤務、ラジオ番組の制作に携わる。2017年、帰国と同時に地域おこし協力隊として佐賀県有田町に移住。空き店舗活用イベント「うちやま百貨店」の企画・運営、地元の土産品「ちゃわん最中」の商品化を手掛ける。退任後は空き家活用や移住・定住支援を行うNPO法人灯す屋で活動を継続。
【サロンレポート】
(1)「ブランドの発展 ─『白い恋人』の事例から─」
ゲストスピーカー:近藤 公彦 氏
「白い恋人」と聞いて知らない人はほぼいないかもしれません。「白い恋人」は、北海道を代表するお土産菓子であり、石屋製菓株式会社が製造しています。「白い恋人」はその高い製品ブランド認知度と「北海道」という地域ブランドとの密接な関係性が特徴的です。このブランドは、ISHIYAという企業ブランドのもと、東京や中東ドバイにも展開されています。今回の報告では、「白い恋人」の成功が製品ブランド、企業ブランド、そして地域ブランドの相互作用にどのように影響しているかについて知ることができました。
(2)「ちゃわん最中~余白が生み出すあたらしい価値~」
ゲストスピーカー:上野 菜穂子 氏
佐賀県有田町の伝統産業である有田焼を背景に、かつてこの町で親しまれていたお菓子「ちゃわん最中」が、まちづくりNPO「灯す屋」によって二十数年ぶりにリニューアルされました。このプロジェクトは、単なるお菓子の復活を超えて、地域の文化と産業を結びつける新しい価値を生み出しています。「ちゃわん最中」を通じた地域づくりの取り組みは、地域資源の活用と地域活性化の新たなモデルとして注目されています。伝統と革新が交差し、新たなコラボレーションを生むユニークな事例として、今後の地域活性化と新たな製品開発のヒントを学ぶことができました。
【サロンを終えて】
今回のマーケティングサロンでは、北海道と九州のコラボレーションを通じて、地域ブランディングの新たな展開について議論されました。近藤公彦氏による「白い恋人」の事例では、製品ブランド、企業ブランド、地域ブランドの相互作用がいかに強力なブランド戦略を生み出すかが示されました。また、上野菜穂子氏の「ちゃわん最中」プロジェクトでは、地域の伝統と現代の価値が融合し、新しい地域活性化と製品開発のモデルが紹介されました。両者の発表を通じて、地域を活かしたブランド戦略の可能性が深く探求されました。
今回のサロンは、参加者にとって地域とブランディングの重要性と、その多様なアプローチを学ぶ貴重な機会となりました。今後もこのようなコラボレーションを通じて、新たな知見とネットワークの構築が期待されます。
(文責:山田 政樹)