ニュースリリース

第201回マーケティングサロンレポート「中部企業による共創のあり方」

第201回マーケティングサロン:名古屋
 
テーマ:中部企業による共創のあり方
 
日 程:2025年1月10日(木)18:30-20:00
場 所:中部生産性本部セミナールーム
ゲスト:佐久間特殊鋼株式会社 取締役専務執行役員 スタートアップデザイン室 室長 杉山 英彦 氏
    敷島製パン株式会社 / マーケティング・R&D本部 副本部長 執行役員 樫平 丈一 氏
    Growth Planning(フリーランス広報) 神谷 敦子 氏
コーディネーター:中京大学 総合政策学部 教授 坂田 隆文 氏
サロン委員:坂田 隆文、須賀 友嗣、古池 政裕、上野 篤志、山本 奈央
 
【サロンレポート】
各社における産学連携を通じた共創
 はじめに、佐久間特殊鋼株式会社の杉山氏よりお話を頂きました。佐久間特殊鋼株式会社では、社内スタートアップから始まったプロジェクトであるインドネシアで流通している生分解性100%のポリ袋(=キャッサバ袋)の日本展開について、商品開発のゼミ対抗インターカレッジ「Student Innovation College(通称Sカレ)2021」への参加を通じて、開発した小動物用供養(埋葬)キット「小動物だって弔ってあげたい」を共同開発(神戸大学宮尾学ゼミとの連携)についてご紹介を頂きました。
 この経験を通じて感じた点として、プロジェクトの目的を産学ともに共有することにあり、そうした活動を通じてビジネスパーソンと学生がともに成長できる場となっていることが紹介されました。特に佐久間特殊鋼株式会社では本プロジェクトに参加した社員が現在、本業である特殊鋼流通においても5つの新規開拓プロジェクトを進めており、社員にとっても新規事業開拓について改めて学ぶ機会になっていることです。
 
 次に、敷島製パン株式会社の樫平氏よりお話を頂きました。敷島製パン株式会社では、「学習院大学経営学部学生との共同商品開発(以下大学との共同商品開発)」「新たな製法・生産技術研究のための帯広畜産大学への社員の国内留学(以下大学への社員国内留学)」「全国の中学生・高校生との国産小麦ゆめちからの栽培研究プログラム(株式会社リバネスと共同)(以下ゆめちから栽培研究プログラム)」の3つの産学連携の事例が紹介されました。
 「大学の共同商品開発」では、トレンドに敏感な大学生ならでは商品コンセプトを通じた新たな発見や、発表に至るまでの喫食調査を通じた若年層のリアルな意見を取り入れられることが大きな価値である一方、実際の商品化にあたっては製造にかかわる設備の問題などで学生の思いやアイデアをそのままか価値にできるわけではない難しさも感じることがある、とのことでした。
 「大学への社員の国内留学」については、「ゆめちから乳酸菌」をはじめとして、この10年で10件を超える共同出願特許等、新しい技術・研究の発展に大きく役立っていることがあげられました。一方で、社員の国内留学はその期間が定められており、一定の期間で論文としての成果を上げることができつつ、新規性のあるテーマを選択して研究する難しさをもあるとのことでした。
 「ゆめちから栽培研究プログラム」では、生育状況の観察、データの分析、実験を通じた最適な栽培方法の研究という経験を通じ、原材料への理解や食への理解を深める機会となることが参加する中学生・高校生にとって大きな学びの機会となっていることがあげられました。一方、地域ごと・学校ごとに生育環境が異なる中で、多種多氏な課題が生じるため、それをどう解決していくかが課題であることも紹介されました。
 
 最後に、Growth Planningの神谷氏よりお話を頂きました。広報担当者としてかかわった、伊藤手帳株式会社における産学連携(中学校・高校・大学)での手帳の開発事例をご紹介いただきました。
 各プロジェクトにおいては、工場見学の機会や企業による課題説明・ディスカッションを設け、取り組む学生がより深い課題理解のもとで産学連携に取り組めるような場を設けることの重要性についてお話を頂いた後、これまで発売されてきた複数の商品についてご紹介を頂きました。また「Sカレ」にも2023年、2024年と参加し、特に2023年は3つのアイテムを商品化発売につなげたこともご紹介いただきました。
 この経験を通じて感じた点として、想定外のアイデアの創出や学生の成長だけでなく、社員のモチベーションの向上や働く喜びにつながっていることが紹介されました、また産学連携においては立場の異なる参加者の間を調整しながら価値共創をいかに勧めていくかが重要であるとお話を頂きました。
 
産学連携を通じた価値共創の重要性
 これらの議論を受け司会の坂田隆文先生より、これまでの中京大学における産学連携の紹介がありました。特に大学から見た産学連携の意義と、企業から見た産学連携の意義をいかに一致させるかについて難しさと、一致できた場合の創出できる価値の大きさについてご紹介いただいた後、ゲストとの議論を深めました。
 企業規模や業種の違いによる影響や、立場の異なる複数のプレーヤーがいかに価値共創に取り組んでいくかについて熱心な議論が交わされました。
 
【サロンを終えて】
 サロンの最後には、質疑応答ならびにディスカッションタイムが設けられました。
 参加者の皆さんとゲストとの活発な意見交換がなされ、各社における取組について、価値共創の重要性を改めて認識する機会となりました。
 また、講師と参加者、参加者同士によるネットワーキングタイムにおいては、大変熱気あふれる会場となり、サロンならではの自由で闊達なディスカッションがなされていることが印象的でした。
 
集合写真
 
(文責:名古屋市立大学 山本 奈央)

 
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