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第205回マーケティングサロンレポート「『ウェルビーイング経営』の現状とこれから 〜マーケティングはどう変わるのか」

第205回マーケティングサロン:福岡
 
テーマ:「ウェルビーイング経営」の現状とこれから 〜マーケティングはどう変わるのか
 
日 程:2025年3月6日(木)15:00-16:30
場 所:株式会社九州博報堂 QHub
ゲスト:オフィス ル・スリール 代表 / 一般社団法人ウェルネスマネジメント協会 理事 岡本 直子 氏
コーディネーター:株式会社ハピネスベイス 代表取締役 / 九州大学 客員教授 小野 和美
サロン委員: 山口 夕妃子、副田 治、小野 和美
 
【ゲストプロフィール】
岡本 直子 氏岡本 直子 氏
オフィス ル・スリール代表。広告代理店にて多数のブランドコミュニケーションに携わり、ゼネラルマネジャーとしてチームマネジメントを経験。その後、人材育成・組織開発コンサルタントとして独立し、延べ5,000人以上のマネジメント層への支援実績を持つ。ウェルビーイング、ポジティブ心理学、幸福経営学をベースに、経営者・マネジメント支援や女性活躍促進に取り組む。現在、武蔵野大学しあわせ研究所客員研究員、ウェルネスマネジメント協会理事、日本養生セルフケア協会理事としても活躍中。
 
【サロンレポート】
開催概要
 2025年3月6日、九州博報堂QHubにて、ゲストに岡本直子氏を迎え開催。ウェルビーイング経営の実践とマーケティングへの新たな展開について、対話を交えながら議論を深めました。
 
1. 広告業界から組織開発コンサルタントへの転身
講演の様子 ゲストの岡本直子氏は、広告会社でストラテジック・プランニングの要職を務めた後、組織開発コンサルティングの分野に転身されました。転機となったのは、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司教授(慶應義塾大学大学院SDM研究科・当時)との出会いでした。岡本氏は、「しあわせに働く」ことが個人にも組織にも不可欠であると確信し、ウェルビーイングを軸とした組織づくりに取り組むようになったと語られました。
 
2. ウェルビーイングの現状と組織への実装
 ウェルビーイングの定義としては、WHO(世界保健機関)が1948年に示した「身体的・精神的・社会的に良好な状態」が知られています。日本においても2022年頃から、政府や行政、企業等を中心にウェルビーイング推進の機運が高まっています。帝国データバンクの調査によると、ウェルビーイング経営が黎明期を越え、キャズムを超えつつあることも紹介されました。
講演の様子 職場におけるウェルビーイング向上のポイントとしては、「体」「心」「人間関係(環境)」の三要素を整えることが重要。これが生産性や創造性、利益率の向上につながることが米国等で研究されています。
 また、岡本氏が理事を務めるウェルネスマネジメント®協会では、「ウェルネスマネジメント®」の考え方を提唱しています。これは、心と体の健康、人間関係の質を基礎に、個人が自らの心身を整え、チームで良好なつながりを築くことによって、個人も組織も最高のパフォーマンスを発揮できる状態を目指すものです。
 また、前野隆司教授の「幸せの4つの因子」(やってみよう、なんとかなる、ありのままに、ありがとう)についても触れられました。特に「ありがとう(感謝とつながり)」の因子は、職場全体の活性化につながり、組織内のエンゲージメントを高めるために極めて重要だということです。
 
3. マーケティングへの応用
 サロン後半では、ウェルビーイング経営がマーケティングに与える影響についても考察がなされました。
 具体例として、日本航空(JAL)の取り組みが紹介されました。コロナ禍を経て、JALは「移動によって生まれる人と人とのつながり」の価値を改めて見つめ直し、若手社員中心のプロジェクトで、移動の意義をウェルビーイングの視点から再定義する試みを進めています。
 また、創業70年の老舗、丸安毛糸では、「触れるだけで幸福感を味わえる特別な肌触りのニット」を開発し、自分自身の心が満たされる服を届けることを目指すマーケティングを実践しています。岡本氏は、「しあわせな体験を生み出す」発想や、社会や顧客との「しあわせな関係」を築くことが、これからのマーケティングに求められる視点であると語りました。
 
【サロンを終えて】
 最後に岡本氏は、「ウェルビーイングは“行動”であり、“在り方”である」と締めくくりました。一人ひとりが日々、自らの心と体を整え、感謝とつながりを育んでいくことが、組織や社会全体のウェルビーイング向上につながるのだと参加者は理解しました。参加者同士の対話も活発に展開され、「まず自分自身がウェルビーイングであることが、周囲にポジティブな影響を与える」という点に共感が集まりました。本サロンは、ウェルビーイング経営とマーケティングの未来を考える貴重な機会となりました。
 
(文責:小野 和美)

 
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