ニュースリリース

第211回マーケティングサロンレポート「リテールDXを加速するAIエージェントによるOMOの実践」

第211回マーケティングサロン:東京
 
テーマ:リテールDXを加速するAIエージェントによるOMOの実践
 
日 程:2025年7月9日(水)19:00-21:00
場 所:東海大学 品川キャンパス 4号館1階 4102教室
ゲスト:株式会社Standing Ovation 代表取締役CEO 荻田 芳宏 氏
サロン委員:福田 徹、渡邊 力、島貫 亮輔、小谷 恵子
 
【ゲストプロフィール】
荻田 芳宏 氏荻田 芳宏(おぎた よしひろ)氏
株式会社Standing Ovation 代表取締役CEO
ファッションの街「原宿」生まれ / 育ち

  • 早稲田大学 卒業
  • 博報堂
    プロモーション企画や「モーターショー」「愛知万博」等のイベントプロデュースを経てタレントやモデル・アーティストの広告キャスティング、CM音楽タイアップ等を担当。
  • フューチャースコープ 取締役COO
    ネットベンチャー立ち上げに参画。モバイルコンテンツのプロデューサー、ブランド戦略部長を経て、グループ最年少で取締役COO就任。
    新規事業管掌の役員として、スマホアプリ事業(累計500万DL)やソーシャルゲーム事業等を立ち上げ、売上30億円(年商)150名組織へと牽引。
  • Standing Ovationを創業
    ファッションのコミュニティSNS事業からスタートし、現在のAIスタイリグ事業へと進化。クローゼットデータ・プラットフォームを構築し、「クローゼットを持ち歩く買い物体験」の社会実装を目指している。
    ファッション&ビューティーのライフスタイルWebマガジン(記事 メディア)「lamire(ラミレ)※旧 XZ days(クローゼットデイズ)」を月間訪問数300万ユーザーに急成長させ、約1億円で事業譲渡。

 
【サロンレポート】
 幼少期を原宿で過ごした荻田氏。ファッションが本来持つ「ときめき」や「自己表現」の価値を再評価し、それをテクノロジーによって再定義することを目指して起業に至ったそうです。サロンでは、同社が取り組むファッション分野におけるリテールDXと、AIエージェントおよびOMO(Online Merges with Offline)の実装に関する実践的事例について報告がなされました。
 
講演の様子 同社のサービス「XZ(クローゼット)」は、ユーザーが所有する衣服をアプリに登録することで、天候や予定に応じたコーディネートをAIスタイリストが提案するというもので、コーディネートの記録やリユース提案、着用履歴の可視化などの機能を備えています。同社のサービスは83%が女性、20代~30代が中心ユーザーですが、課金利用者は毎月10%増加していて、日常的な洋服選びにおいて「なくてはならない存在」となっているユーザーも少なくないとのことです。登録されているクローゼットデータは4,600万着にのぼります。着用していない衣服に関しては、トレジャーファクトリーとの連携による買取提案を行うことで、衣服の循環利用にも貢献しています。
 
 企業向けには、「XZ-biz(クローゼットビズ)」というSaaS型サービスを展開し、複数のアパレルECサイトに導入されています。これにより、ユーザーがEC上で閲覧する商品が、自身のクローゼットにある衣服との相性を可視化した上で購入判断ができるようになっており、購入率の向上や滞在時間の増加、再訪率の上昇といった具体的な成果が得られています。パイロット導入先にはPALやNICE CLAUPといったブランドが含まれ、今後は他ブランドへの展開やECだけでなく実店舗における展開も進めていくことになっています。
 
 AIエージェントに関しては、店舗スタッフのスナップ画像を教師データとする深層学習によって、リアルな着こなしに基づいた提案が可能となっており、今後は生成AIによる着せ替え機能の実装も視野に入れています。これにより、ユーザー自身の写真やアバターに、保有する衣服や気になる商品の組み合わせをリアルに反映させたコーディネート提案が可能となるそうです。さらに、OMOの観点からは、ECと実店舗を横断したデータ活用により、ユーザーの購買体験を一貫性のあるものとし、ブランド横断的な買い物支援を実現するプラットフォームの構築を目指しています。
 
 最後に、今後の展望としては、ビューティー、ライフスタイル、インテリア領域への拡張、および海外市場への進出を挙げ、ファッションにとどまらない「クローゼット起点の生活最適化」という長期的なビジョンを提示して講演は締めくくられました。
 
【サロンを終えて】
 一度も着ていない洋服や、数回着て忘れられている洋服・・・身に覚えがあります。参加した大学生からは、コーディネートに毎回時間がかかってしまう、自分に似合うかどうかわかるのは嬉しい、との発言もありました。このサービスは、出張先の天候を把握してコーディネートを考えることができるのもとても便利。タンスの中を可視化し、クローゼットを持ち歩く買い物体験やサステイナブルな取り組みは、若者や社会からのニーズに合致しており、今後さらなるビジネス展開に期待が持てると感じました。
 何歳になってもファッションを楽しみたいものです。お忙しい中お時間を作っていただき、ありがとうございました。
 
(文責:小谷 恵子)

 
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