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第217回マーケティングサロンレポート「Artificial Intelligence and the Reconfiguration of Marketing: Theory, Practice, and Emerging Research Frontiers」 |
第217回マーケティングサロン:東京
テーマ:Artificial Intelligence and the Reconfiguration of Marketing: Theory, Practice, and Emerging Research Frontiers
日 程:2025年11月18日(火)19:00-20:30
場 所:一橋大学 千代田キャンパス 5F第5講義室
ゲスト:Vijay Viswanathan,
Hamad Bin Khalifa Al-Thani Professor of Integrated Marketing Communications and Associate Dean of IMC, Northwestern University
サロン委員:嶋尾 かの子、深澤 了、今井 紀夫
【ゲストプロフィール】
Professor Vijay Viswanathan
Professor Vijay Viswanathan studies customer experience and marketing effectiveness in B2C and B2B using surveys, text analytics and machine learning. His current work is on online communities, virtual influencers, loyalty programs and governance. He has given numerous talks to industry on customer centricity, embedding AI in analytics and enabling a data culture.
【サロンレポート】
今回は米ノースウェスタン大学メディルスクールのViswanathan先生をお招きして、「AIによるマーケティングの変革」についてお話いただきました。まず、様々な戦略的視点での影響からのマーケターによるAI理解の必要性を確認した後、AIによるマーケティング変革のポイントとして、コンピューターのアルゴリズムにより自動で進める方向に進み、人間とコンピューターのハイブリッドモデルが必要とされることによる能力の再構築や、AIがマーケティング活動をスケーラブルに実践することを可能にする点が指摘されました。
次に現在のマーケティングを実践する上での理論的な基盤であるダイナミック・ケイパビリティ、サービス・ドミナント・ロジック、そして市場システム・ダイナミクスのAIによる影響が取り上げられました。まずダイナミック・ケイパビリティにおいて、AIは人間より早くリアルタイムで様々なシグナルを察知し、機会の捕捉面では継続的な最適化が行われ、変革においてはAIが組織変革を加速します。次にサービス・ドミナント・ロジックでは、AIは人間が対応できない大規模なデータ駆動型のリソースを統合し、企業と顧客に加えてAIが第3の価値創造の主体としての役割を果たすと考えられます。市場システム・ダイナミクスでは、市場を社会的プロセスとして捉え、AIが文化的カテゴリーや権力関係、競争ルールを再編する可能性が示され、有機食品市場の形成過程が例示されました。
また、AIアルゴリズムやAIエージェンシーに関する倫理面での問題として、バイアス、改ざん、説明責任などの懸念や、ガバナンスの必要性、AI時代のマーケティングにおいて評価指標の再定義が求められている点に言及された後、会場の出席者からの質疑応答に移り、活発な議論が交わされました。
理論とユースケースなどの実務の両面からAIのマーケティングに対する影響を扱った今回のお話は、今後のマーケティングの変化を考える上で、大変参考になる機会となりました。日本滞在中の貴重な時間を割いて頂きましたViswanathan先生、そしてご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。

(文責:今井 紀夫)

