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第224回マーケティングサロンレポート「ビジョンを描くだけで終わらせない ── 新規事業を前に進める『戦略』と『実行力』」 |
第224回マーケティングサロン:東京
テーマ:ビジョンを描くだけで終わらせない ── 新規事業を前に進める「戦略」と「実行力」
日 程:2026年2月25日(水)19:00-20:30
場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階 研究所会議室5
ゲスト:アンター株式会社 代表取締役 中山 俊 氏
サロン委員:香川 勇介、石躍 有美、田中 智子
【サロンレポート】
今回のサロンは、マーケティングサロンにてアンター株式会社 代表取締役・中山俊氏をお迎えし開催されました。医師として現場に立ちながら「Antaa Slide」を立ち上げ、医療業界における新たな学びのあり方を模索してきた実践の歩みが語られ、会場は終始熱気に包まれました。
中山氏は、医療現場での経験を原点に、「医師が本当に知りたい情報に、よりスムーズに出会える場」を目指した背景を紹介。コンテンツ発信から始まり、医師同士の実名でのやり取り、そしてスライド共有へと発展していったプロセスが語られました。現在では多くのスライドが蓄積され、会員規模も大きく広がるサービスへと成長しています。日々の地道なコミュニケーションの積み重ねが、信頼基盤を築いてきたことが印象的でした。
初期のブランディングでは、広く拡大するのではなく、「熱量の高い層」にフォーカスする戦略を採用。数多くいる医師の中から、特定の領域や世代に着目し、あえて参加ハードルを設けることで、単なる参加者ではなく「共に場をつくる」存在を育てていったといいます。
その象徴的な取り組みのひとつがアパレルです。ノベルティとして配布するのではなく、コミュニティの一体感を可視化する“ユニフォーム”的な位置づけで展開。学会などオフラインの場でも自然とブランドが認知される設計がなされていました。また、入手機会を限定したアイテムなども工夫し、単なるグッズではなく体験価値の一部として機能させていた点も紹介されました。
会場では、こうした取り組みの裏側にある細やかな検証や改善プロセスについても触れられ、ブランド施策を感覚ではなく、丁寧に検証しながら積み上げてきた姿勢に多くの参加者が関心を寄せていました。
中山氏ご本人は「振り返れば整理できるが、当時は現場を観察しながら試行錯誤を重ねていた」と語ります。講演を通して伝わってきたのは、その行動量と意思決定の速さ。うまくいかなければすぐに別の打ち手を試し、違いを見極めながら前進していく。その積み重ねが、現在の形をつくってきたことが感じられました。
質疑応答では、コミュニティ運営における難しさやカルチャーの育て方、事業としての持続性とのバランスなどについても議論が交わされました。「どのような姿勢で向き合うか」という視点が多く共有され、参加者にとって考えるきっかけとなる時間となりました。
ビジョンを掲げるだけでなく、小さな実装と検証を重ね続けること。その積み重ねこそが現在の取り組みにつながっているのだと感じられる講演でした。
改めて、ご登壇いただいた中山様、そしてご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。

中山氏より集合写真のコツを伝授いただき、参加者全員で撮影しました。
(文責:田中 智子)

