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第1回コラボ委員会レポート「アルゴリズム時代のブランド創造」 |
第1回コラボ委員会:東京
テーマ:アルゴリズム時代のブランド創造
日 程:2026年1月27日(火)18:30-20:30
場 所:赤坂Bizタワー23階 UNIVERSITY of CREATIVITY
ゲスト:明石 ガクト 氏(ワンメディア株式会社 代表取締役CEO)
久保田 進彦 氏(青山学院大学 経営学部 教授)
解 題:深澤 勝義 氏(元日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CMO)
司 会:八塩 圭子 氏(東洋学園大学 現代経営学部 教授)
コラボ担当:深澤 勝義・石井 裕明・八塩 圭子・池辺 順子・古市 丈二
【コラボ委員会レポート】
本イベントでは、「アルゴリズム時代のブランド創造」と題し、TikTok Ad Awards 2025でグランプリを受賞するなど縦型動画時代のブランドコミュニケーションを切り拓いてきたワンメディア創業者の明石ガクト氏と、書籍『ブランド・リレーションシップ』(有斐閣, 2024年)により2025年度日本マーケティング学会マーケティング本大賞準大賞を受賞するなど、長年にわたりブランド研究を牽引してきた青山学院大学経営学部教授の久保田進彦氏をお迎えし、近年の市場や消費者を捉える視点についてご講演をいただきました。
イベントは、博報堂が運営するUNIVERSITY of CREATIVITYという、まさに創発を生み出すために設計された素晴らしい空間において、日本マーケティング学会副会長でありコラボレーション委員会副委員長の八塩圭子氏の司会のもと、期待感に満ちた雰囲気の中で幕を開けました。冒頭では、同じく日本マーケティング学会副会長でありコラボレーション委員会委員長の深澤勝義氏より、本イベントの企画意図とゲストのお二人の紹介がありました。深澤氏からは、近年、SNSをはじめとする多様な接点の増加により、アルゴリズムが消費者とブランドの関係性に大きな影響を及ぼすようになっていることが指摘されました。そして、そのような時代だからこそ、マーケティングに関わる私たちが、改めて「人間としての消費者」をどのように捉えるべきかを問い直す必要があるという問題意識が提示され、会場全体がこれから始まる議論への期待に包まれました。
深澤氏の解題を受け、まず明石氏より、縦型動画やショート動画を取り巻く環境の変化についてお話しいただきました。モバイルによる動画視聴がインターネットトラフィックの中心となったことで、2000年代の検索を起点とする「検索時代」、2010年代のフォローを軸とする「SNS時代」を経て、ユーザー一人ひとりの興味・関心に応じてAIが情報を最適化する「アルゴリズム時代」が到来していることが指摘されました。軽快でありながら本質を突く語り口と、豊富な具体例やエピソードの数々に、参加者が次第に引き込まれていく様子が強く印象に残りました。アルゴリズムが単なる技術ではなく、ブランドと消費者の関係そのものを再構築する存在になっていることを、実感を伴って理解することができました。
続いて久保田氏からは、現代の消費者行動の特徴として注目されるリキッド消費について整理がなされたうえで、「嗜好のアルゴリズム化」という視点が提示されました。アルゴリズムによって、自分と似た人々の選択や多数派の行動が可視化されることで、消費者がその基準に自らの嗜好を合わせていく可能性があることが、理論と現実を往復しながら説得力をもって語られました。一見すると抽象的で難解になりがちな学術的議論が、具体的な事例とともに平易に語られることで、参加者の理解は大きく深まり、会場の熱気は一層高まっていきました。アルゴリズムが「嗜好そのものを形づくる」という視点は、非常に示唆に富むものでした。
その後は、お二人による対談セッションへと移りました。議論の中では、アルゴリズムによってもたらされる最初の情報接触が極めて重要であることが強調されました。アルゴリズムが提示する情報は、少なくとも嫌悪感を抱くものではないため、それを見続けるうちに、消費者の関心や嗜好そのものが徐々に形成されていくというプロセスが、実務と研究の双方の視点から浮き彫りにされました。軽食を交えながら行われたQ&Aセッションでは、学生からも積極的に質問や意見が寄せられました。それに対し、実務の最前線に立つ明石氏と、理論研究を牽引する久保田氏がそれぞれの立場から応答される様子は、まさに本委員会の掲げる「コラボレーション」を体現するものであり、実務と学術が交差する貴重な場となっていました。
最後に、深澤氏による議論の総括と、日本マーケティング学会会長の西川英彦氏によるご挨拶をもって、本イベントは盛況のうちに幕を閉じました。
第1回となるコラボレーション委員会主催イベントは、ゲストのお二人による刺激的で示唆に富む講演と、創造性を喚起する会場の力も相まって、参加者が一体となって議論が展開する、非常に印象深い機会となりました。アルゴリズム時代におけるブランドと消費者の関係性について、多くの参加者が新たな視点や問題意識を感じることができたのではないかと思います。
ご登壇いただきました明石氏と久保田氏、貴重な会場をご提供いただきました株式会社博報堂様、そしてご参加いただいたすべての皆様に、改めて心より御礼申し上げます。

(文責:石井 裕明)

