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第229回マーケティングサロンレポート「日本マーケティング本 大賞2025」準大賞受賞記念マーケティングサロン『ブランド・リレーションシップ』ができあがるまで

第229回マーケティングサロン:東京
 
テーマ:「日本マーケティング本 大賞2025」準大賞受賞記念マーケティングサロン
    『ブランド・リレーションシップ』ができあがるまで

 
日 程:2026年3月2日(月)19:00-20:30
場 所:青山学院大学 青山キャンパス 15号館 3F
ゲスト:青山学院大学 経営学部長/経営学研究科長 教授 久保田 進彦 氏
サロン委員:小谷 恵子・渡邊 力・福田 徹・島貫 亮輔
 
【サロンレポート】
ブランド・リレーションシップ『ブランド・リレーションシップ』誕生までの軌跡と、研究を続けるための「3つの要諦」
 今回のサロンでは、「日本マーケティング本 大賞2025」で準大賞を受賞した『ブランド・リレーションシップ』(有斐閣、2024年刊)の著者・久保田進彦氏を迎え、書籍そのものの解説ではなく、同書が生まれるまでの“メイキング”に焦点を当てたご講演をいただきました。
 
1. ブランド・リレーションシップ研究の原点
 久保田氏の研究の出発点は、サンリオでの勤務時代に経験した「ブランドへの熱狂」から、当時、Macintosh新製品発表会で観客が熱狂する姿に強い違和感を覚え、「なぜ、人はブランドにここまで心を動かされるのか」という疑問が芽生えたとのこと。
 その後の長い研究キャリアの中で、ブランドと個人との“絆”や、ブランドを自分と強く結びついた大切な存在として感じる状態を説明する概念として、ブランド・リレーションシップが確立されていきました。
 
2. 大学院での苦悩と研究テーマの発見
・28歳で早稲田大学大学院へ進学
・博士課程試験では一度不合格
・経済的にも精神的にも厳しい環境…
 そんな中、転機となったのがスーザン・フルニエの論文「Consumer and Brand Relationship」との出会い。
 「世界には同じことを考えている人がいるんだ」と確信した瞬間だったと語ります。
 
3. 学術キャリアの変遷と研究の深化
 中京大学 → 東洋大学 → 青山学院大学 と歩む中で、
・年間364日大学で研究に没頭した名古屋時代
・博士号取得まで14年かかった研究の長い道のり
・それでも続けられたのは「驚き」「集中」「諦めない心」
 こうした経験が、現在の研究スタイルの核となっていらっしゃるようです。
 
4. 研究のブレークスルー:心理学の「並ぶ関係」
 青山学院大学着任後、心理学者・やまだようこ教授が提唱する「ならぶ関係」(近接性、並列性、共同注視、同等性、共感、共同行為)に出会い、ブランド研究へ応用できる可能性を直感。
 これにより、長年の課題だった「ブランド・リレーションシップ」を測定できる枠組み(プロパティー・パートナー・モデル)が完成。
 久保田氏は「ものすごく大きなブレークスルーだった」とお話されていました。
 
5. 研究・ビジネスに通じる“3つの要諦”
 久保田先生は、研究を継続し成果につなげるうえで重要なポイントとして、次の3つを挙げました。
1. 驚きを感じること
 当たり前に見える現象に、違和感・不思議さを感じること。
2. 集中すること
 周囲に左右されず、集中できる時間や場所を確保すること。
3. あきらめないこと
 うまくいかなくても、深刻になりすぎずに続けること。
 
【参加者へのメッセージ】
・AI時代においても、「自分の言葉」で考えることの重要性は揺るがない
・異分野(心理学・政治学など)からの知的刺激を取り入れることが発想の源泉になる
・1つ1つの研究を星座のようにつなげるための「グランドテーマ」を持つとよい
 研究者だけでなく、マーケター・ビジネスパーソンにも強く響く内容となりました。
 
久保田先生と参加者で集合写真を撮影しました
久保田先生と参加者で集合写真を撮影しました
 
【講演を聴講して】
 本サロンは、ブランド研究の第一人者による知的興奮に満ちた講演でした。参加者は、ブランドを“売り手の資産”としてではなく、「人と並び歩くパートナー」として捉える視点の重要性を改めて実感できた内容でした。
 温かくも鋭い学術的知見に触れる、貴重な機会となりました。
 
(文責:島貫 亮輔)

 
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