|
第223回マーケティングサロンレポート「『推し活』はなぜ人を動かすのか? ― ファンデータから読み解く推し活マーケティングの実装論 ―」 |
第223回マーケティングサロン:東京
テーマ:「推し活」はなぜ人を動かすのか? ― ファンデータから読み解く推し活マーケティングの実装論 ―
日 程:2026年2月13日(金)19:00-21:00
場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階 研究所会議室5
ゲスト:株式会社Oshicoco 代表取締役 多田 夏帆 氏
サロン委員:石川 惠美・那須 優樹・山本 凌太・竹見 まどか
【サロンレポート】
今回のサロンでは、「推し活」をテーマに、推し活人口の増加や推し活インサイト、価値観の変化を踏まえ、従来のマーケティングとは異なるファンダム形成を軸としたアプローチの重要性が示されました。当日は30名弱集まり、参加者による質疑応答・活発な議論が行われました。
冒頭では、推し活市場の現状について共有がありました。市場規模は3.5兆円以上、推し活人口は1,400万人を超え、6人に1人が何らかの推し活を行っている状況にあります。「推し活」という言葉の浸透により、消費市場としても無視できない存在となっています。
続いて、推し活における消費者インサイトとして、主に3つのタイプが紹介されました。
①成長を見守ることに価値を見出す「母性タイプ」
②ときめきや疑似恋愛を重視する「恋愛タイプ」
③対象を崇拝する「宗教タイプ」
これらの違いを理解することが、適切なコミュニケーション設計につながると説明されました。
講義の中では、ファンダム形成の構造についても整理されました。ファンコミュニティは、象徴となる信念や世界観、共通言語、そして定期的な儀式的行動によって形成され、それがやがて「界隈」と呼ばれる共同体や文化へと発展していきます。
また、UGCの創出プロセスについても説明がありました。ユーザー体験から感情が生まれ、それを共有したいという欲求を起点に、ブランドが用意したフォーマットに沿って投稿が行われます。その後、共感者が集まり、最終的には語る文化として定着していくとされました。ブランド側はうまくファンが使う言葉と行動を規定したフォーマットを作成してあげることで、UGC創出に繋がりやすくなるとのことです。
また、具体事例としては、旅行保険を「推し活キャンセル保険」として再定義した取り組みが紹介され、マスマーケティングではなく口コミを起点に話題化し、最終的にメディア露出へとつながった点は、推し活の熱量を活用したマーケティングの有効性を示すものといえます。
多田様の講演ののち、グループディスカッションを行い、参加者同士でもそれぞれの推し活実体験をもとに熱く語り合う時間となりました。日常での自身の推し活とマーケティングを紐付けて考えるとてもよい機会でした。
今回のサロンを通じて、現代のマーケティングにおいては、「推し活」はエンターテインメント領域にとどまらず、さまざまな業界に応用可能なマーケティング手法であることが明らかとなりました。人々の「好き」という感情に寄り添い、その熱量をコミュニティや文化へと昇華させることが、これからのビジネス戦略において重要な視点となるといえます。

(文責:竹見 まどか)

