ニュースリリース

第235回マーケティングサロンレポート「文系マーケターのためのマーケティングリサーチ」

第235回マーケティングサロン:東京
 
テーマ:文系マーケターのためのマーケティングリサーチ
 
日 程:2026年9月30日(水)19:00-20:30
場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー 25階
ゲスト:西川 英彦 氏(法政大学 経営学部 兼 大学院経営学研究科 教授)
    池辺 順子 氏(花王株式会社 化粧品事業部門プレミアムブランドビジネスグループ ビジネスグループ長)
サロン委員:清原 康毅・海野 浩三・渡邉 裕也・山口 葉月
 
【サロンレポート】
 第235回マーケティングサロンでは、「文系マーケターのためのマーケティングリサーチ」をテーマに、花王株式会社の池辺順子氏と法政大学の西川英彦教授を迎え、実務と学術の両面からマーケティングリサーチについてお話いただきました。
 
池辺順子氏 池辺氏からは、男性化粧品ブランドの事例が紹介されました。当初は、美容への関心が高い若年男性をターゲットに、インフルエンサーとの共創などを通じて商品やコミュニケーションを設計。しかし発売後、計画通りの成果には至りませんでした。そこで実際の購入者に直接会い、話を聞いたところ、想定していた「積極的に美を追求する男性」とは異なる顧客像が浮かび上がりました。「化粧しているとは思われたくない」「周囲に気づかれず自然に印象を良くしたい」といった、より現実的な欲求でした。これを起点に、ターゲットや訴求を見直したことでマーケティング効率が改善されたそうです。「それは本当に顧客が望んでいることなのか」と問い、顧客のリアリティに触れることの重要性が示されました。
 
講演の様子 西川先生からは、マーケティングリサーチにおける「探索」と「検証」の考え方が解説されました。探索的調査で顧客の発言や行動を観察し、マーケター自身の知識や経験と結びつけて、インサイトという「創造的な仮説」を生み出す。そして、その仮説をアンケートやデータ分析、実験などの検証的調査で確かめていく。一方、データには擬似相関やセレクションバイアスなどの落とし穴があり、数字をそのまま因果関係として捉えないことの重要性も紹介されました。
 質疑応答では、参加者から実務に即した質問が相次ぎました。「顧客インタビューは調査会社に依頼するのではなく、自社の社員が行うべきなのか」「当初のブランドコンセプトを大きく変更する判断を、社内でどのように行ったのか」「インサイトを発見する際、自分自身の知識や経験を生かすことと、思い込みやバイアスを避けることをどう両立すればよいのか」といった質問が投げかけられました。また、「データ分析から得られた結果と社内の既存認識が異なる場合、組織の中でどのように合意形成していけばよいのか」という、マーケターの実務に直結する問いもありました。
 これに対し、探索段階ではマーケター自身が顧客に会うことの重要性や、一人ではなく異なる属性・職能の複数人で顧客を見ること、「聞く」と「考える」を分けて思い込みを抑えることなどが語られました。さらに、大規模なデータだけでなく、N=1の顧客の行動や言葉から得られるリアリティを組み合わせることの重要性についても議論が広がりました。
 
【サロンを終えて】
 今回のサロンを通じて、生成AIが急速に進化する時代だからこそ、顧客を深く理解し、そこから新たな発見を生み出すことの重要性を改めて実感しました。西川先生がおっしゃった「インサイトは観察する側の頭の中で生まれるものであり、顧客理解についての「創造的な仮説」であるというお話は、非常に腑に落ちるものでした。データやAIを活用しながらも、自ら顧客に向き合い、考え抜く姿勢を大切にしたいと思いました。実務と学術の両面から貴重な学びをいただいた池辺様、西川先生に心より感謝申し上げます。
 
サロン参加者の皆様
サロン参加者の皆様
 
(文責:清原 康毅)

 
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