第22回マーケティングサロンレポート 「大阪では初テーマ!? 希望をつくる仕事 ソーシャルデザイン ~世の中を良くするマーケティング~」 |
第22回 マーケティングサロン:大阪
「大阪では初テーマ!? 希望をつくる仕事 ソーシャルデザイン ~世の中を良くするマーケティング~」
日程:2014年9月17日(水)19:00~20:30
場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス 1405教室
ゲスト:株式会社電通 ソーシャル・デザイン・エンジン代表 クリエーティブディレクター 福井 崇人 氏
サロン委員:和田久志、本下真次
【サロンレポート】
日本においても、震災後、社会問題に取り組む企業が増えています。そんな中、生活者が企業を量る視点として、これまで以上に、社会貢献やCSRといった活動に目を向けるようになってきました。
このような流れを受け、企業のこれからの取り組みとしては、単に社会貢献やCSRに留まらず、如何に企業の特性を活かした貢献を“ビジネス化”していくか、という「ソーシャルデザイン」の視点を持つことが重要になってきています。
今回は、株式会社電通ソーシャル・デザイン・エンジン代表の福井崇人さんに、ソーシャルデザインが台頭してきた背景とともに、国内外の事例を取り上げながら、ビジネスとしてソーシャルデザインを如何に実践していくかについて講演いただきました。
写真左から、ゲストの福井崇人氏、会場の様子
【概要】
震災以降、日本でも活発化してきていますが、世界の潮流は、「ソーシャルグッド(社会をよくすること)」に向かっています。ブランディングにおいても、従来はブランドが私(生活者)に何を提供してくれるのか、ということが重要でしたが、これからのブランディングでは、ブランドが私たち(社会)に対して何を提供していくのか、という視点が重要となっています。つまり、企業の社会貢献活動は、従来のようなCSR的な活動ではなく、企業の競争力としてビジネスに結びつけていき、戦略的に行っていくことが重要と言えます。
「ソーシャルデザイン」は、このような背景を受け社会貢献を実現する、いわば“企画メソッド”です。「気づき」や「疑問」を「社会をよくすること」に結びつけ、そのためのアイデアや仕組みをデザインすること、社会課題をクリエーティブに解決していくこととして、ますます重要となっています。
「ソーシャルデザイン」を実践する7つのアイデア
「ソーシャルデザイン」を実践する上で、発想の切り口としては、以下の7つが挙げられます。
① ワン・ビジュアルにする。
② ○○の力を活用する。
③ スポットを当てる。
④ コンテンツをつくる。
⑤ 新しい価値をつくる。
⑥ 仕組みをデザインする。
⑦ 発想をジャンプする。
①~⑦に関して、1つでも、もしくは、掛け合わせることによって、「ソーシャルデザイン」のコアアイデアをつくりだす手がかりとなります。
これからの「ソーシャルデザイン」
「ソーシャルデザイン」は、誰の人生の中にもあり、自分の「気づき」や「疑問」とそれを解決するアイデアがあり、それらが「社会をよくすること」に結びついてビジネス化していければ、プロでなくても、子供から大人、シニア、学生、主婦、それぞれ誰でもソーシャルクリエーターになることができます。
イギリスでは、「ソーシャルグッド」の意識が高く、生活者が商品を選ぶ基準として、当たり前のように浸透しているとともに、契約社会の中で企業が「ソーシャルデザイン」にいち早く取り組むことは、競合への差別化として競争力強化に繋がるだけでなく、社員が「ソーシャルデザイン」に取り組む企業に対してロイヤリティを持ち、有能な社員を長期雇用することにも繋がります。
一方で、日本においては、まだまだこれからであるものの、近江商人の言葉に「売り手よし、買い手よし、世間よし」といったことがあるように、「ソーシャルデザイン」と親和性の高いDNAを受け継ぎ、「ソーシャルデザイン」に向いていると考えます。コモディティ化の進行が速い昨今において、「ソーシャルデザイン」は、企業の新たな差別化や競争力の獲得のメソッドとして、今後ますます広がっていくと考えます。
集合写真(前列中央 ゲストの福井崇人氏)
【サロンを終えて】
福井さんが実践してこられた「ソーシャルデザイン」の事例のお話や映像を見て、感動した方も数多くいらっしゃいました。事例の内容はもちろん、その映像のクリエイティビティの高さが、聞き手にとっての価値を何倍にも高めていたように感じます。
数々のプロジェクトを実践していく上で、内部、外部含め、様々な方々と横断的にプロジェクトを進めていく姿は、クリエーティブディレクターに留まらない、プロデューサーであると感じました。人それぞれの社会貢献があり、「誰もがソーシャルクリエーターになれる」時代。日頃の「気づき」や「疑問」を大切に、クリエイティビティを発揮していくことの大切さに改めて、気づかされました。
(サロン委員:和田久志、本下真次)