第33回マーケティングサロンレポート 「成熟産業に挑んだリクルート 『受験サプリ』の商品開発ストーリー」 |
第33回 マーケティングサロン
「成熟産業に挑んだリクルート『受験サプリ』の商品開発ストーリー」
日程:2015年7月29日(水)19:00~21:00
場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)(神谷町オランダヒルズ森タワー)
ゲスト:(株)リクルートマーケティングパートナーズ 受験サプリ プロデューサー 松尾 慎治 氏
サロン委員:高橋千枝子・東口晃子・新井田剛・横山斉理
【サロンレポート】
今回のサロンでは、月額980円で講義動画が見放題の新サービス「受験サプリ」を立ち上げたリクルートの松尾慎治氏をスピーカーにお迎えして、なぜ成熟市場である受験産業にあえて挑戦したのか?そしてどうやって会員数30万人(受験生の2人に1人)にまで浸透させることができたのか?について、これまでの取り組みをお話しして頂きました。
少子化の影響を受ける受験産業になぜ進出したかの問いかけについて、松尾氏は大学進学者は約60万人と横這いで、大学進学率が先進諸国より高いとは言えないこと(まだ進学率が向上する可能性がある)を考慮すると、少子化といえども一定の市場があることを挙げました。また様々な調査を重ねるうちに、親の所得や地方ゆえに予備校に通えない学生の存在に気付き、学習環境格差という世の中の「不」を解決したいという思いから、「受験サプリ」の立上げに至りました。
立ち上げてすぐに軌道に乗ったわけではなく、広告課金がうまくいかなかったり、プライシングがうまくいかなかったり、失敗の連続の中で、現在の「月額980円で講義動画が見放題」に行きつきました。そして従来の予備校と異なる「いつでもどこでも(講義が見れる)」ブルーオーシャン戦略、競合が質向上で価格を上げているなか「980円という格安なプライシング」は破壊的イノベーションが成功要因であると指摘しました。また放課後自習用に「受験サプリ」を導入する高校が増えてきており、学習環境格差の解決に貢献しています。
しかし今後の大学受験改革により、知識詰め込みによる大学入試一発勝負から、普段から学力を身につけておく必要が出てきており、「受験サプリ」をはじめとした受験産業の有り方も大きく変わります。未来の教育を見据えた取り組みを紹介して頂きました。
サロン後半ではスピーカーの希望で、「もしあなたが教育産業トップ企業の経営者・経営企画室長ならば、リクルートにどんな戦略を仕掛けてきますか?」という御題を出し、グループディスカッションの後、発表していただきました。
会場の様子
【サロンを終えて】
今回は参加表明が早く、あっという間に定員が埋まりました。それだけ成熟市場への「受験サプリ」の参入意図と成功要因に非常に関心が強かったのだと思います。大学入試改革で教育業界も大変革が起きそうで、まさにホットな産業だと思いました。またサロン後半で「コンペティターの戦略を皆で考える」という双方向の取り組みは参画意識も高まり良かったです。
集合写真
(サロン委員:高橋千枝子・東口晃子・新井田剛・横山斉理)