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研究報告会レポート

第2回ユーザー・コミュニティとオープン・メディア研究報告会レポート「企業の顧客コミュニティが生み出すユーザー創発のパワーとそのマネジメント」

第2回 ユーザー・コミュニティとオープン・メディア研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:企業の顧客コミュニティが生み出すユーザー創発のパワーとそのマネジメント
日 程:2018年3月14日(水)19:00-20:30
場 所:東洋大学白山キャンパス

 
【報告会レポート】
 本研究会では、製品、サービス、コンテンツのユーザー(消費者)・コミュニティの仕組みとユーザー行動の観察を通じて、売り手と買い手が共創して付加価値を生み出すダイナミクスとその理論化を目指している。
 
第1部 ソーシャル・メディアによるユーザーとの価値共創へのパワーシフト
明星大学 経営学部 准教授 伊藤 智久

 ソーシャル・メディアの普及により、企業と顧客とのつながりが加速している。顧客とのつながりの加速による経営環境や企業活動の変化は、マーケティングの理論にも影響を及ぼしている。伊藤氏の講演では、つながっている顧客を前提としたマーケティングの実態を理解しマネジメントするための理論について、事例を参照しながら概説した。具体的には、フィリップ・コトラーらのマーケティングの進化の考え方と、サービス・ドミナント・ロジックにおける価値共創の考え方について概説した。

 
第2部 企業コミュニティから生まれるビジネスチャンスとリスク
株式会社野村総合研究所 プリンシパル 安岡 寛道

 安岡氏の講演では、企業コミュニティのサービスの実態や作り方・直し方、リスクについて解説した。
 ニーズが多様化した市場では、個客ニーズを把握するために企業は企業コミュニティを構築している。企業コミュニティは企業の機能戦略におけるマーケティング・CRMの一つであり、コスト削減や売上貢献、経営の検証に活用できる。企業コミュニティの構築と運営においては、ポイントプログラムを始めとした会員サービスを、自社の経営戦略に基いて戦略的に取り組むべきである。
 企業コミュニティの作り方・直し方では、特に企業コミュニティの初期要件定義の重要性を指摘した。企業コミュニティの投資対効果、サービス内容、業務とシステムの要件定義の方法について概説された。また、ロイヤルティの高い会員像を明確化したり、ロイヤルティを向上させるための手法も紹介した。
 企業コミュニティのリスクでは、個人情報の取得や提供のリスク、情報取得や提供における企業と生活者の認識のずれについて指摘し、予防策と事後対策について解説した。

 
 両氏の講演後には、参加者と活発な質疑応答が行われた。「企業コミュニティを活用した施策実行における組織的な課題」、「企業コミュニティ間連携のマネジメント」、「企業コミュニティを活用した決済サービスの可能性」、「B2Bの企業コミュニティの可能性」など、多様な論点があげられた。

 
(文責:伊藤 智久)

 
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