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研究報告会レポート

第5回ユーザー・コミュニティとオープン・メディア研究報告会(春のリサプロ祭り)レポート 「地域コミュニティの社会関係資本とソーシャル・メディアの融合効果」

第5回 ユーザー・コミュニティとオープン・メディア研究報告会(春のリサプロ祭り) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:地域コミュニティの社会関係資本とソーシャル・メディアの融合効果
日 程:2019年3月16日(土)13:00-14:30
場 所:青山学院大学 青山キャンパス

 
【報告会レポート】
 地域共創と社会関係資本との関係性に関する枠組みを紹介するとともに、賑わいをみせる徳島県三好市の地域特性と市内外の人々を結びつける取組みの事例について報告した。
 
第1部 地域コミュニティの共創と社会関係資本
大森 寛文(明星大学 経営学部 教授)
 人的なつながりの価値を資本(capital)として捉える社会関係資本(互酬性規範、信頼、ネットワークの要素から規定)は、制度(institutions)とともに地域コミュニティ
を捉える分析の視点になりえる。停滞する地方都市は、この社会関係資本と制度から効果的な相互作用が生まれず有益な価値が共創されていない。一方で限界都市といわれるの中には移住や関係人口を増やす取組みから、この成果を生み出している地域もある。
 
第2部 徳島県三好市の地域特性と市内外の人々を結びつける活動事例
横山 喜一郎(三好市政策監、元(株)野村総合研究所上級コンサルタント)
 徳島県三好市は,自然、歴史、文化、伝統に育まれた知られざる「秘境」として知られるが、消滅可能性都市や限界集落といわれ、地域コミュニティの崩壊危機に直面してきた。しかし、今日では国内外の人々を惹きつけ、多くの人々の訪問や移住が進み、賑わいを取り戻しつつある。この背景には地域特有の社会関係資本の存在を元にした様々な活動があり、具体的に紹介した。人口減少を抑制するには、交流人口(観光客)から関係人口(移住希望者)を増やして定住人口につなげる施策が有効である。三好市では、特に関係人口に着目して、シニア層をプロフェッショナル人材とみなして地方移住促進事業を進めてきた。高い専門性と広い人脈をもつシニア層の移住促進から新しい商品やサービスなどの価値が創出され、雇用の創出につながり、空き家や空き店舗など既存ストックを再生、再活性化させる好循環が生まれた。その取り組みは、池田エリア、山城・吉野川エリア、大歩危・祖谷エリアの3つに分け、観光も3つの切り口(まちなか、アウトドア、秘境)から推進した。その中で、ソーシャルメディアであるFacebookが有効に機能し、情報伝播と共有、そして関係人口の増加に寄与した。(https://344report.hatenablog.jp/
 
 横山氏の報告後に大森氏より、事例分析の総括として、実務面ではソーシャルメディアで魅力的なコンテンツを継続的に発信する必要性と、学術面から社会関係資本と制度の組み合わせからサービス・エコシステムが機能する方向性が見えてくることが示された。
 来場者からは横山氏が果たした役割や観光の3つの切り口に関する質問などが出された。
 
 2018年度もご参加いただき、ありがとうございました。2019年度も魅力的な研究報告テーマを企画してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
 
(文責:片野 浩一)

 
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