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研究報告会レポート

第4回サービス・マネジメント研究報告会レポート ケーススタディ「インターナル・コミュニケーションによる価値の可視化」

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テーマ:ケーススタディ「インターナル・コミュニケーションによる価値の可視化」
日 程:2019年11月20日(水)18:30-21:00
場 所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス
 

【報告会レポート】
 先週の第3回報告会ケーススタディ「コネクション・コミュニケーションによる価値の可視化」に続き、今回もコミュニケーションをキーファクターとし、実践システムとしてナツメアタリ株式会社が開発したシステム“HAPPY COIN”のケースタディとディスカッションを行いました。
 

プレゼンター 山中知幸氏(ナツメアタリ株式会社 上田利博コアメンバー写真 最左)
 

 山中氏からはまず、社員(もしくは団体やコミュニティのメンバー)間の「ありがとう」をコインの受け渡しで可視化するシステム“HAPPY COIN”の概要を紹介され、この研究会らしくプレゼンテーションのスタート間もなく、細かなスペックや使い方に関する質問が多発し、インタラクティブなコミュニケーションが生まれました。“HAPPY COIN”は、渡すコインの保有期間は一定期限があり、受け取ったコインは継続して保有する仕組みで、そのコインの保有枚数に応じた評価をすることができます。また、コインのロジスティクス(送受信コインの流通量や履歴)もマネジメントできるので、企業や団体またはコミュニティそれぞれがロジスティクスの活用方法を設定することができます。これによって、人事考課や福利厚生にも生かせるポイントが強みです。
 
 山中氏は、システムによるネガティヴファクターのブロックについても説明されました。評価のためのコイン稼ぎアクションやポイント欲しさのコイン送信など、素朴な内発的動機ではないシステムの打算的活用です。この点については、コインのロジスティクスをダイレクトに報酬や褒賞に反映させないこと、流通したコイン数を場全体(企業、団体、コミュニティ)に還元するようなシェアを工夫することなど、クリーンネスの確保を示唆されました。
 
 続いて、というよりそれと並行したディスカッションでは、このシステムを利用するモチベーションや課題についてのコメントが多く生まれました。経営層に理解や推進の後押しをもらうために、効果や必要性をアピールすることが不可欠なシステムなので、運用や操作にストレスを感じないジェネレーションが、活用によるサクセスイメージを積極的にアピールすること、コインの流通量を会社全体評価につなげること、コインを積極的に送った人と量のマネジメントすること、囲い込みではない新しいエンゲージメントモデルの定義、「主観と客観による価値の捉え方」「経営者の意志が重要」など多くの気づきがあったことなど、研究会コアメンバーの本下氏と上田氏が積極リードされ、ディスカッションは止まらず、予定を30分越えて次回に続編を実施することとしました。
 

ディスカッションで本下真次コアメンバーが積極コメント(上田メンバー写真 手前)
 
 本プロジェクトに前回報告会でオブザーバーとして参加され、日本マーケティング学会に入会された社会人3年の村上亮太氏(いやぁ、爽やか)が本プロジェクトのslackのワークスペースに挙げられたコメントを以下に紹介します。
 

  • 「ありがとう」という感情から生まれるものを、どのように組織に普遍的に広げ、それが「組織作り」いわゆる「組織論」に落としこめるかを考えることが必要だ。
  • そもそも、我々若者世代は他人に興味のない人が多い(SNSやスマホゲームなど、自分1人の空間で、コミュニティやある意味のコミュニケーションができてしまう)。「ありがとう」とは、人の為になって初めて言ってもらえる言葉。従って、ありがとうを生むには、まず、組織内でそれぞれが、メンバーに興味を持つことから始めることが重要なのではないかと感じた。
  • 最後の方に出た案にもあったが、今のスキームだと「受け取った側(言い方を変えると見返りのためにやってしまいがち…)」がキーになっているが、コミュニケーションの基本はまず「発信」からだと思うので、この「ありがとうコイン」は、発信側にも与えられる制度にすれば、能動的な行動で、組織の雰囲気アップに繋がるのでは、と思った。長々と申し訳ございませんが、若者なりの意見、記載させて頂きました…。色々考える、とてもいい時間でした。

 
 次に、プレゼンター山中氏(ナツメアタリHAPPY COIN)のコメントです。
 

  • 参加メンバー皆さまのおかげで、多くのコメントをいただき気楽に話せました。
  • 何かしらの結果が必要というのが、一番必要な事項であると認識致しました。経営者であれ、従業員であれ、何かしらの結果を求めるのは当然であり、そこが明確に設定されていなければ、行動は発生しないと思います。
  • 営業課題として、経営者、企業風土、従業員の3つがありますが、どこかに特化した営業は 他の離散を招きます。うまく全体につながるように、その企業の特性を把握する必要があると改めて、考えさせられました。
  • 若い層に対して、上手くアピールしつつ、若い人から自発的に導入に向けた働きかけは出来ないかを考えてみようと思います。社内からの吸い上げ、底上げを望む企業も多く、ここに賛同してもらえる企業も多くなってきていると思います。
  • 企業の特性をしっかり把握することが重要であり、企業風土、業態、業種などにより、営業戦略を工夫するべきだと認識致しました。
  • 村上さんが書かれているように、発信する側が重要だという点も非常に重要な部分だと認識しました。早速取り入れてまいります。

 

参加メンバーと共に(写真協力 村上亮太さん、ありがとう!コイン5枚)
 
向井 光太郎(相愛大学 人文学部 / サービス・マネジメント研究会 リーダー)

 
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