第5回ソーシャル・ビジネス研究 報告会レポート 「スマホが、発展途上国の物流を 改善する!」 |
第5回 ソーシャル・ビジネス研究会
テーマ:「スマホが、発展途上国の物流を改善する!」
報告者:作家 / ジャーナリスト / tranSMS代表 瀬戸 義章 氏
日 程:2013年10月8日(火)17:30-19:30
場 所:流通科学大学 東京オフィス
瀬戸氏は、物流企業に勤務の後、ライターとして独立。See-Dコンテストに応募することを思い立ち、エンジニア、会計士など多様なスキルを持った他の応募者とプロボノチームtranSMSを結成する。
コンテストに向けてテーマを探すうちに東ティモールの物流問題に出会い、その改善が自分の業務経験から簡単に解決できそうだと感じて、すぐに現地に赴く。現地で物流を取り巻く状況を調査して提案した解決方法はアプリを使って物流改善するというもの。具体的には、トラックの運転手にSMSの一斉配信をするアプリをいれたスマホを貸与し、現状、空荷で戻っているトラックを往復活用できるようにしようという簡単な仕掛けであった。このアプリを利用することで、トラック運転手は輸送効率があがり、チャーターの費用が工面できない農家にとっても現金収入のアップに繋がる。現地の携帯SMSは世帯普及率43%に達しており既にインフラとして機能しているとのこと。
このプランにより2012年のSee-Dコンテストで優勝。プランを実現すべくクラウドファンディングReadyfor?で100万円を資金調達してアプリを開発し、現地のトラック運転手2名と実験を開始している。日本人にはない東ティモールの商人の発想に驚きながらも、当初想定していたのとは異なる利用方法を現地の人々がはじめたり、自分たちで説明会を開いて新たなビジネスを創り出したり、自律的な発展に繋がりそうな感触はつかんでいるという。
本業を続けながら週末だけソーシャルな活動をするという、イントレプレナー(当日の参加者、オルタナ森編集長の命名)とも呼ぶべき軽いスタンスの瀬戸氏たちの取り組みは、今後のソーシャルビジネスの一つの方向性を示すものと感じた。さらにディスカッションでは、このような意識を持った人々が今後増加することが予想されることから、解決すべき社会的課題をプールし、マッチングする機能が必要ではないかとの意見が出された。
写真左から、ゲストの瀬戸義章氏、会場の様子
オルタナ編集長 森摂氏