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第11回サービス・マーケティング研究報告会レポート「データで行動を変えるマーケティング ― 住友生命『Vitality』×ブランド健康茶に学ぶ異業種共創による顧客価値創造 ―」 |
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テーマ:データで行動を変えるマーケティング ― 住友生命「Vitality」×ブランド健康茶に学ぶ異業種共創による顧客価値創造 ―
日 程:2026年1月20日(火)19:00-21:00
場 所:Zoomによるオンライン開催

岸 和良 氏
- 解題
小野 譲司(青山学院大学 経営学部 教授) - ゲスト講演
データで行動を変えるマーケティング ― 住友生命「Vitality」×ブランド健康茶に学ぶ異業種共創による顧客価値創造 ―
岸 和良 氏(住友生命保険相互会社 エグゼクティブ・フェロー) - 質疑応答
「ウェルビーイングとマーケティング」を研究会テーマとしているサービスマーケティング研究会は、2026年1月20日にオンライン研究会を開催し、住友生命保険の取り組みについて、エグゼクティブ・フェローの岸和良氏にご講演いただいた。
【報告会レポート】
従来の生命保険は、加入後の顧客接点が限られることがあり、顧客満足度を高めることが充分できない場合があるという課題があった。住友生命では、顧客のウェルビーイング(Well-being)に貢献するため、リスクに備えるだけの保険から、リスクを減らす「健康増進型保険」が必要と考えた。その中核となるのが、健康プログラム「住友生命Vitality」である。
本講演では、行動経済学に基づいた「行動変容」を促す仕組みと、デジタル・データを活用した異業種共創(エコシステム)による新たな顧客価値創造について、具体的な事例とともに語られた。また、伝統的な大企業(Japanese Traditional Company)においてイノベーションを推進するための人材育成や、生成AI(AIエージェント)の活用といった組織変革の知見についても、3部構成で共有された。
Part1:行動経済学とデータに基づく「行動変容」の仕組み
2018年に同社が導入した「住友生命Vitality」は、運動や健康診断など会員の取り組みを行動履歴などからポイント化し、ステータス(ブルー、ブロンズ、シルバー、ゴールド)に応じて保険料が変動する年一回変動するプライシング方式を採用している。加入段階で保険料を割り引くことで加入を促し、その後は運動しないと保険料が上がる(割引率が下がる)という「行動経済学」の考え方を利用して、会員の行動継続を動機づけている。
また、週間目標の達成でスターバックスのチケット等が当たる「アクティブチャレンジ」など、短期的な報酬(リワード)を組み合わせることで、日常的な行動変容を促進している。データ分析の結果、ステータスが高い(ゴールド)会員ほど死亡率はマイナス40%以上、入院率はマイナス10%以上と顕著にリスクが低下しており、運動と健康の関係を数値を使って表現するなど、会員の行動変容とその成果がデータによって確認できる取り組みが行われている。
Part2:異業種共創(エコシステム)による顧客価値の拡張
自社単独(垂直統合)での価値提供には限界があるため、他社と連携する「共創(エコシステム)」が重要である。この点について、Vitality会員に「伊右衛門 特茶」を提供するキャンペーンの事例が紹介された。
この事例に関してもデータ分析の結果、よく運動する会員は「特茶」を好む傾向が見られ、健康意識の高い顧客層が推定できた。この取り組みにより、顧客は健康増進と商品特典を享受し、メーカーはロイヤルティの高い顧客へアプローチでき、保険会社は顧客の健康リスク低減というメリットを得る「三方よし」の関係が構築された。キャンペーン後のアンケートでは、参加者が運動意識の向上を実感しており、飲料×保険という異業種連携が顧客のウェルビーイングに寄与する可能性が示された。
今後は、運動や食だけでなく、睡眠、教育、資産形成などを含む「WaaS(Well-being as a Service)」として、非保険領域も含めたプラットフォーム化を推進していく。
Part3:JTCにおけるDX人材育成とAIエージェントの実装
デジタル時代において顧客価値を創造するためには、ツールを使うだけでなく「ビジネスを発想できる人材」の育成が不可欠である。岸氏は、社内で「デジタル企画人材」を育成するため、1日集中型の研修プログラムを開発・実施している。ここでは、自らの購買体験(UX)を深掘りし、なぜその商品を選んだのか、どのようなストーリーに共感したのかを研修参加者に徹底的に考えさせることで、顧客視点のマーケティング感覚を養っている。
また、人材の流動性が高まる中、業務効率化と創造性の維持のために「生成AI(AIエージェント)」の活用を積極的に進めている。資料作成や記事執筆などのタスクにおいて、AIを部下のように扱い(オーケストレーション)、人間は最終的な判断や微修正に注力することで、圧倒的な生産性向上を実現している事例が紹介された。
(文責:神田 晴彦)

