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研究報告会レポート

第2回質的リサーチ研究報告会レポート「消費者ペルソナ」

第2回質的リサーチ研究報告会
テーマ:消費者ペルソナ
コーディネータ:田村 直樹(関西外国語大学 准教授)・本研究会プロジェクトリーダー
日 程:2014年7月6日(日)10:30-17:30
場 所:国立情報学研究所
    〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2
 
 
 

1.はじめに
 企業のマーケティング戦略において、消費者像を明確にすることが重要であるという認識は広く浸透しているであろう。もし、各部門の消費者像が一致していなければ、ターゲット像がぼやけてしまい、一番伝えたいメッセージが伝わらないことになる。
 この消費者ペルソナというテーマは戦略策定上、最重要課題であるといっても過言ではない。なぜなら、代表的な顧客プロフィールを企業内で共有することで、マーケティング方針を統一できることにつながるからである。
 従来の顧客プロフィールは、性別、年齢、職業といった属性のグループとして捉えられてきた。しかし、ペルソナはそれらに加えて趣味や価値観、行動特性といった質的データも必要とする。そして、「誰が買うのか」から「その人はなぜ買うのか」という点にアプローチすることで意義が生まれる。

 

2.思考・行動・感情のパターン
 今回のワークショップでは、消費者の人格を6つのパターンに整理して分析する。これは「交流分析(Transactional Analysis )」という心理学をバックセオリーとした「人格適応論」に依拠している。その6つの人格は以下の通りである。

Aタイプ 熱狂的過剰反応者 ・・・・・・ドラマチック、大げさな表現
Bタイプ 責任感ある仕事中毒者 ・・・・おひとより、嫌だと断れない
Cタイプ 才気ある懐疑者 ・・・・・・・クール、警戒心
Dタイプ 創造的夢想家 ・・・・・・・・芸術性、感受性が豊か、人間関係が苦手
Eタイプ おどけた反抗者 ・・・・・・・依存的、怒りのエネルギー、自己中心的
Fタイプ 魅力的操作者 ・・・・・・・・負けず嫌い、カリスマ性

 
6つの適応タイプ
 

 これらのうち、Aタイプは感情に左右されやすい、BとCタイプは思考派人間、Dタイプは引きこもりタイプ、EとFタイプは行動派人間に分類される。ということは、それぞれのタイプに応じて、コミュニケーションのきっかけになるキーワードが異なる。
 感情派には「楽しさ」をアピールすると乗ってきやすい。思考派には疑問を投げかける。引きこもりタイプには一緒に誘いをかける。行動派には「すぐやろう!」というメッセージとなる。こうした分類は、定量的なデモグラフィックデータからは導きにくい。したがって、デプスインタビューといった質的データが不可欠になるのである。

 

3.まとめ
 人はやはり、幸せになりたいと思うものである。ところが幼い時期から自分の描いてきた人生脚本にとらわれ、一定の思考パターンや行動パターンに陥っていることがほとんどである。そのパターンが幸福になるパターンならよいが、不幸になるようなパターンであれば、それは手放すことが望ましいであろう。
 もし、マーケティングが消費者のニーズを満たすことが前提にあるならば、彼らの幸せになりたいという願いをかなえるのがマーケティングの目的ではないか。それであるなら、消費者が幸福になるようなストーリーを提案できるものである必要がある。
 消費者一人ひとりが、幸福な人生の主人公として歩む人生ストーリーである。そのストーリーのペルソナはいかなるものか、企業はその点に注目する時代になったといえるだろう。今回のワークショップではそういった点を考える機会になった。
 
会場の様子 会場の様子
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