ポスターセッションの報告要旨の |
日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.12 |
医療経営におけるエフェクチュエーションの可能性に関する研究 |
廃院の危機に瀕していた病院が約83倍の成長を遂げた事例を深堀し,その要因をエフェクチュエーションの視点で分析 |
谷口 千鶴 スナックレモネードお手紙係り |
内藤 嘉之 関西学院大学専門職大学院 客員教授 |
佐藤 善信 関西学院大学 名誉教授 |
発行 : 2023年11月20日 |
分類:一般報告 |
報告要旨 : 医療機関の経営には,不確実性に基づく多くの課題がある。主要な収益源である診療報酬制度は2年ごとに見直され,突如として発生する減額リスクもある。医療の経営には,不確実性に常に柔軟に対応できる能力を求められる。患者やその家族,職員の意識の変化に適応すること,ブランディングを行うことなど,マーケティングの役割も増加している。しかしながら,制度上の制約から,経営的に大きな拡大を望むのは困難なのが現状である。21世紀の医療機関経営は,過去にない厳しい状況に置かれている。それにもかかわらず,この厳しい状況の中で顕著な経営成果を上げている病院が存在する。兵庫県にある明石医療センターである。この病院は,2000年の1億9000万円から2017年の157億3300万円へと,83倍の成長を達成した。我々は,この事例を分析し,澤井繁明名誉院長の特徴的な意思決定や経営戦略が成功の要因であることを明らかにした。澤井名誉院長の経営のかじ取りはまさにエフェクチュエーションのロジックに基づいていたのである。今後の研究課題は,エフェクチュエーション理論が医療経営にも有効に適用できることをさらに確証してゆくことである。 |
キーワード : エフェクチュエーション 医療マーケティング 医療機関経営 |
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