ポスターセッションの報告要旨の |
日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.12 |
ダイナミック・ケイパビリティに基づくビジネスモデルの構築:ホンダエアクラフト社の事例研究 |
厚東 佐代子 多摩大大学院経営情報学研究科博士後期課程 |
河野 龍太 多摩大学大学院 経営情報学研究科 教授 |
発行 : 2023年11月20日 |
分類:一般報告 |
報告要旨 : 近年、急速な環境変化に対応する為、日本のビジネス界ではダイナミックケイパビリティ(DC)論が注目され、企業は持続的な競争優位を築く為に戦略を練り直している。本研究では、ホンダエアクラフト社のホンダジェット事業について独自にインタビューとデータ収集を行った結果、同社が従来の航空機メーカーと異なり、自動車販売で培った独自のディーラー制を採用したビジネスモデルに工夫があることに着目した。この特徴はPorter(1985)のバリューチェーンマップを用いて解析することで従来の航空機メーカーとの違いがより明確となった。更に、同社は自社の機体とディーラーという内外の資産を共特化し、従来の航空機業界の枠を超えた独自のビジネスエコシステムとビジネスモデルを構築した。この成果により、不確実性の高い新市場にも関わらず、ビジネスジェット機市場で5年連続の世界首位を獲得した。この事例は、後発参入者でも顧客価値の高い商品・サービスを提供し、DCを活かして内外の資産を共特化し、優れたビジネスエコシステムとビジネスモデルを構築することで、持続可能な競争優位を築くことが出来ることを示している(Teece, 2007)。 |
キーワード : ビジネスエコシステム ビジネスモデル 共特化 知識資産 |
>一覧