ポスターセッションの報告要旨の |
日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.14 |
顧客文脈に沿ったプロトタイプ提示が生み出す自分ごと化 ― 生成AI商材提案の事例分析 |
大塚 愛子 株式会社リコー |
北野 祐子 同上 |
川口 敦生 同上 |
榮 純平 同上 |
発行 : |
分類:一般報告 |
報告要旨 : B2B提案活動では従来から,顧客業界や課題に寄せたデモが行われてきた。しかし多くは資料や汎用システムを顧客仕様に見せる程度の表層的カスタマイズにとどまり,顧客が「自社の業務にどう役立つのか」を具体的に思い描くには限界があった。本研究はその課題に対し,顧客固有の業務文脈に深く根ざして設計されたプロトタイプに着目し,その効果を検討する。生成AI商材を対象とした事例分析では,日常業務に即したプロトタイプを提示することで,顧客が①「まだ分からないが興味がある」という不一致段階から,②「そうそうこれだ」という一致の瞬間を経て,③自社業務を自ら語り始める文脈化,④情報提供やNDA締結といった行動化,⑤独自導入や教育プラン検討といった自律化へと進む5段階の自分ごと化プロセスが見出された。このプロセスは,心理学やマーケティング研究における自己参照効果や文脈化認知,またユーザーイノベーション研究における情報の粘着性やリードユーザー理論など既存の知見を提案段階のプロセスに対応づけて整理できることを示す。今後は事例の蓄積と定量的測定を通じ,このプロセスの妥当性を検証する。 |
キーワード : 生成AI プロトタイプ ユーザーイノベーション |
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