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日本マーケティング学会 ワーキングペーパーVol.7 No.10 |
規範科学としてのマーケティング論 |
需要創造を標榜する実学 |
上原 征彦 公益財団法人流通経済研究所 理事・名誉会長 |
発行:2021年05月17日 更新:2021年05月17日 |
分類 : 論文 |
要約 : 自然科学で採用される経験主義、すなわち客観理論を見出し、それを「実験や観察」で験証する方法を、社会科学でも援用し、想定した客観理論を「現実を反映したデータによる統計的処理」で験証する動きが広がり、マーケティング研究においても、こうした援用が学術的に高く評価される傾向が現在でも根強い。本稿では、これを批判的に検討しつつ、マーケティング論を含む社会科学では、自律的に展開される人間行動を、こうした経験主義の援用で捉えることが困難であることを明らかにする。次に、この困難を回避するためには、規範主義、すなわち価値や目的を実現するための手段の理論化を積極的に推進しつつ、「経験主義の援用」から生じてきた幾つかの制約からの解放、たとえば「現状分析に基づく理論化に対する低評価」などを改革していくべきである、という提案を行なう。そして、この提案に基づいて、マーケティングという社会的人間活動は、需要開拓を目的として、歴史的に生成されてきたことに配慮するならば、その研究は、需要開拓なかでも需要創造を主たる目的とする規範主義を採用することによって、実学としての新たな展望が開けることを示唆していく。 |
キーワード : 実験や観察(つくられた現実) 概念拡張された経験主義(調査主義) 人為(自律的な人間行動:閉鎖システム) 理論開発と現状分析との相互交流 需要開拓(需要創造と需要奪取) |
ページ数 : 表紙1 + 本文20 |
ファイルサイズ : 559KB |
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