第48回マーケティングサロンレポート「起業経緯、クラウドファンディングの仕組み、プロジェクトを成功する秘訣について」 |
第48回 マーケティングサロン
「起業経緯、クラウドファンディングの仕組み、プロジェクトを成功する秘訣について」
日程:2016年6月10日(金)19:00-21:00
場所:日本マーケティング協会 東京本部
ゲスト:READYFOR株式会社 代表取締役 米良 はるか 氏
サロン委員:清原康毅・原仁史
【サロンレポート】
今回のサロンでは、日本におけるクラウドファンディングの草分け的存在である、READYFORの米良はるか様に、起業の経緯、事業紹介、事業に対する熱い想いについて語って頂きました。
1. 起業経緯
- 起業の原点は、パラリンピックスキー代表の新井監督と出会いでした。
- パラリンピックは資金難で厳しい状況にも関わらず、「世界一になる」との監督の話に感銘を受け、大学4年生の時に、スキーチームのワックス代100万円を募るサイトを立ち上げられました。
- 実際に、100人位がお金を出してくれ、更にチームも金メダルを獲得できたそうです。
- この際、「行動する事によって人とつながる」、「インターネットを通じ個人が情報発信すれば共感できる」事を実感されたとの事です。
- 進学した大学院時代にシリコンバレーへ見学旅行に行った際、思いを人生につなげているシリコンバレーの人達と出会い、インターネットで個々人が活躍する時代を実感されたとの事です。起業家や新しい産業を起こしている人達への憧れもあり、自分もそうありたいと思われたそうです。
- その後、スタンフォード大学への半年間留学。その際、米国で広まりつつあったクラウドファンディングを知り、楽しく応援できる環境についてヒントを得られました。
- アメリカでは、当時200ほどのクラウドファンディングのサイトが立ち上がっていましたが、日本では「クラウドファンディング」で検索してもヒットしなかったそうです。これはビジネスチャンスと思い、帰国後「READYFOR」を立ち上げられました。
2. 事業内容と想い
① READYFORの思想
「誰もがやりたいことを実現できる世の中に」
一歩目を踏み出そうとしている人に想起されるサービスになりたい。
② クラウドファンディングとは
- 金融機関が出資できない収益性がないような地域のお祭りを開催する費用だったり、創業間もない事業のアイディアをインターネット上に掲載し、個人からお金を集め支援する仕組みです。寄付型、購入型、投資型の3種類あり、READYFORでは購入型※と寄付型の支援を行っています。
※プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う仕組み - 支援者がプロジェクトを支援する理由は、「お金を出せば商品化して貰える」、「応援したい、仲間になりたい」などのモチベーションがあるそうです。
- 一方、実行者がプロジェクトを公開する理由は、資金調達は勿論のこと、PRや、初期顧客を捕まえるなどの目的もあるそうです。この「お金を集めること」のコンテンツについては、プロジェクトに共感が生まれれば、twitterやfacebookでシェアされ易いとのことです。
③ READYFORについて
- 設立から5年経過し、現在までに、プロジェクト数4,900件程度の案件を手掛け、累計支援額 25億円 月額2億円を支援するまで成長されています。支援者は中学生から80代まで。自治体や大手企業にも支援を行っているとのことです。
- 掲載プロジェクトの特徴としては、マスではないニーズへの対応です。例えば、「離島に急病患者を運ぶための飛行機」のプロジェクトでは、離島医療という、行政の代替機能を担ったと考えられるとのことです。
④ READYFORの特徴
ⅰ.1対1の手厚いサポート体制(キュレーターがプロジェクトをサポート)
- 「何の為にやるのか、共感を得られるのか」、キュレーターがプロジェクトの骨格を作る為のサポートを行います。プロジェクト公開後の広報サポート(メディア掲載、SNSなど)も行うとのことです。
ⅱ.All or Nothing制度
- 期間中にお金が集まった場合にのみ、プロジェクトは成立します。成立しなければ手数料は発生しないとのことです。
- 目標金額は届くかどうかギリギリの金額にすることが多いです。必死にお金を集めている姿が、facebook等でバズり易く、出資者が巻き込まれていく形になります。SNSと相性が良いコンテンツだと言えるそうです。
- 目標金額達成時に17%の成功報酬を頂きます。掲載は無料ですので、プロジェクト実行者についてはノーリスクだと言えます。
ⅲ.プロジェクトの進め方
- 目標金額は10万円以上、掲載期間は10日間~90日間、プロジェクト内容やリターンを明記し、申請して貰います(Webで可能)。
- 受付後、法務審査を経て、ページ公開までは2~3週間程度かかるとのことです。
3. 質疑応答
質疑応答では、「プロジェクトに複数回申込む人はいますか?」、「購入型の顧客層はどのような人ですか?」、「プロジェクトの成功確率は?」、「日本ならではの工夫はありますか?」、「キュレーターの役割分担はありますか?」他多数の質問を頂きました。今回の質疑応答では、質問者全員に対応できない程、多くの方に挙手頂き、改めて、米良様及びクラウドファンディングに対する関心の高さを感じました。
4. 所感
今回のサロンでは、READYFOR様のクラウドファンディングは「資金集めだけではなく、プロモーションとしても有効である」とのお話が非常に印象的でした。確かに人が頑張っている姿には心動かされ易く(もちろん頑張る理由に共感する事が前提ですが)、facebookなどで思わずシェアしたくなる気持ちも良く分かります。思わずシェアしたくなる程、共感を呼べるストーリー作りができるキュレーターこそREADYFOR様にとってのビジネスの肝である事が理解できました。
最後になりましたが、ゲストをお引き受けいただきました米良様、そしてご参加いただきました皆様に、あらためて感謝申し上げます。
写真左より、会場の様子、集合写真(前列左から4人目が米良様)
(サロン委員:清原康毅・原仁史)