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第58回マーケティングサロンレポート「『選ばれ続ける必然』を作り出す企業ブランディングの進め方」

第58回 マーケティングサロン
「『選ばれ続ける必然』を作り出す企業ブランディングの進め方」

日程:2017年3月2日(木)19:00-21:00
場所:日本マーケティング協会 東京本部
ゲスト:凸版印刷株式会社 ブランディング・ディレクター 佐藤 圭一 氏
サロン委員:尾崎文則・山谷あすか・金泰元

 
【サロンレポート】
選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方 超成熟市場のいま、ビジネスにおける差別化はますます困難になっています。そして、かつてない情報洪水のなか、企業が伝えたいことはなかなか伝わりづらい時代です。価値観が多様化し社員のつながりも薄くなった現代では、組織の一体感も求められます。そんななか、企業らしさや自社の魅力などアイデンティティを見直して、長きにわたって選ばれ続ける存在をめざす「企業ブランディング」に、あらためて注目が集まっています。
 今回のマーケティングサロンでは、2016年8月に発売された書籍『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』の著者である佐藤圭一氏をゲストスピーカーに迎え、社員を巻き込みながら自社のあるべき姿をカタチにして共有していく企業ブランディングの実践的な方法について、具体的な事例をまじえてわかりやすく解説していただきました。
 
『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』(講談社+α新書)
 
<ゲストプロフィール>
佐藤圭一氏佐藤 圭一 氏
ブランディング・ディレクター/コンサルタント
1973年千葉県生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。WHU経営大学院(Otto Beisheim School of Management)国際単位交換プログラム修了。広告会社の営業職を経て、2006年に凸版印刷株式会社入社。以来、ブランドコンサルティング部門にて、企業理念・ビジョン策定、企業及びグループブランド戦略の立案、CI・VI開発、組織風土改革や広告・広報の支援など、ブランドを起点に企業経営とコミュニケーションの両サイドからコンサルティングサービスを提供。これまで、製造、金融、情報通信、サービスなど、多岐にわたる業種の企業のほか、地方公共団体や大学なども含めて、数多くのコーポレートブランディングプロジェクトに携わる。
 
【概要】
ブランディングの実務について
 最初に、ブランディングの実務について紐解くところから話がはじまりました。ブランドというと、いろいろと諸説、見解はあるものの、佐藤氏は「頭や心の中に存在する価値やイメージのかたまり(集合体)」がブランドであると示したうえで、名前やロゴを目にしたときにその価値が明確に想起されるからこそ、選ばれやすくなり、選ばれ続けることができるのだと解説されました。そして、そのようなブランドを人々の頭のなかにつくっていくことこそがブランディングであり、その実務の内容を「BRAND」と「ING」に分けて説明しました。すなわち、「BRAND」は「あるべき姿を規定してカタチにする」、つまり自分たちの会社や商品はどのような価値を提供できるのかをしっかり固めて、言葉や視覚でカタチにしていく活動。そして、「ING」では、「あるべき姿をあらゆる活動を通じて、伝え、浸透させる」活動と分けられます。
 一般的には、送り手(企業)が目指すありたい姿と、受け手(顧客・社会)が捉えている企業像にはギャップがあるものです。そこで、企業として「あるべき姿」をしっかりと規定して(「BRAND」)、社内で共有した上で、顧客や社会が持っているイメージとのギャップを埋めていく活動(「ING」)が、ブランディング(「BRAND」+「ING」)といえます。なかでも「BRAND」の部分をしっかりと規定すること大切で、あるべき姿が明確であるからこそ、その後の様々な活動にも一貫性が生まれ、人々の認識のズレを無くすことができるのだそうです。
 
あるべき姿を規定してカタチにする
 次に、企業ブランドを作っていくには、実際にどのような順序で何をしていくのかを、これまで手掛けられた具体的なプロジェクトの事例を踏まえてわかりやすく紹介していただきました。
 まずは、「あるべき姿を見つける」ことから始めます。そのために、「過去の歴史を振り返り、創業者の想いやエピソードを集めること」、「社員の想いを引き出すこと」、また「顧客や関係者の声を収集すること」などを通して、アイデンティティの基礎になるキーワードを大量に集め、それらを整理・分類していくそうです。
その後、「あるべき姿を定義する」段階に進みます。ここでは、①どんな人たちに愛されたいか(理想的な顧客像)、②どんな価値を提供できるか(提供価値)、③どんな人格(らしさ/イメージ)を感じさせたいか(ブランドパーソナリティ)の3つのカテゴリーで定義し、それをブランドステイトメントやブランドスローガンという形で明文化します。
 さらに、「あるべき姿を見える化」します。それはロゴをはじめ、カラーや書体、レイアウト、写真選定方法など、デザインを構成する様々な要素を規定したり、ルール化したりすることでブランドとして一貫性のある見え方を作り出す作業をしていくそうです。
 
あるべき姿を伝え、浸透させる
 あるべき姿を規定してカタチにした後は、それを伝える段階に入ります。その時に最も注力するのは社員だそうです。社員が自社ブランドをきちんと理解し、さらに共感して、みんなで同じ方向を向けば、自然とその企業らしさが醸し出されていくものです。そのためにも、社員をファンにするためのコミュニケーションが大切になり、具体的に「社内メディアの活用方法」、「伝道師の育成」、「社内制度や仕組みの作り方」などを紹介していただきました。
 
会場の様子 会場の様子
会場の様子
 
質疑応答とディスカッション
 最後の質疑応答では、制限時間ギリギリまで、多くの参加者から積極的な質問をいただきました。質疑応答は時間内に終わらず、サロン終了後もゲストスピーカーへ直接質問にくる参加者が多く、参加者の関心の高さが窺えました。
 
集合写真(前列中央が佐藤圭一氏)
集合写真(前列中央が佐藤圭一氏)
 
【サロンを終えて】
 今回のサロンは雨が降り足元の悪い中開催されましたが、多くの方にご参加いただき会場は満員となりました。顧客や一般生活者に対するブランディングにばかり目が行きがちですが、「土台となる『アイデンティティ』やそれに伴う『社員の行動』、『企業活動』が伴わなければ、強いブランドは形成されない」という佐藤氏のメッセージに、はっとさせられた参加者が多かったのではないでしょうか。佐藤氏からは企業ブランドの開発手法を非常に具体的に示していただき、多くの参加者が明日から実践しようと感じたに違いありません。ご参加いただきました皆様に、あらためて感謝申し上げます。
 
(サロン委員:山谷あすか)

 
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