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第95回マーケティングサロンレポート
「フラッグシップショップでの顧客体験とものづくり・ブランディングへのフィードバック」

第95回 マーケティングサロン:東京
「フラッグシップショップでの顧客体験とものづくり・ブランディングへのフィードバック」
日程:2019年7月5日(金)18:45-20:30
場所:エスポートミズノ(千代田区神田小川)
ゲスト:ミズノ株式会社 コーポレートコミュニケーション部課長 小山 弘之 氏
サロン委員:佐々木 竜介・京ヶ島 弥生・長崎 秀俊・森口 美由紀
 
【ゲストプロフィール】
ミズノ株式会社 コーポレートコミュニケーション部課長 小山 弘之 氏
1989年ミズノ株式会社入社
広報宣伝部宣伝室、eマーケティング室等を経て、2017年4月より現職

 
【サロンレポート】
 今回は、ミズノのフラッグシップショップである神保町のエスポートミズノを会場としました。オンライン上での商品購入が年々増加する中で、メーカーが直営店を運営する意義と、その役割は何か?がテーマでした。
 
ミズノについて
 日本の総合スポーツメーカーのパイオニアであるミズノは、もともとは小売店から出発しました。1906年に大阪北区で誕生した「水野兄弟商会」は、洋品雑貨のほかに野球ボールなどのスポーツ用品も販売しました。野球グラブ、ボールの製造を開始した後にも、顧客との重要な接点として、直営店の数を増やしてきました。
 
 ミズノはもともと競技種目ごとにブランドロゴを設定していましたが、総合メーカーゆえ種目が多く、種目ではなくメーカー間の競争を重視して「ミズノのランバードマーク」に集約しました。「ランバードライン」は当初シューズのマークに採用されましたが、他のメーカー同様、シューズのマークをメーカーのロゴに採用しています。第2代社長の水野健次郎氏が天文学に造詣が深く、宇宙の惑星軌道をモチーフにしてスポーツの躍動感や広がりを表現したものが「ランバードライン」です。
 
 スポーツそのものの振興に取り組まれています。1911年(明治44年)にトーナメント方式の大阪実業団の野球大会を開催、その2年後の1913年には学生による野球大会を開催しました。前者は都市対抗野球、後者は全国高校野球選手権へと繋がりました。
 
直営店の位置付けと役割
 「エスポートミズノ」はリテール営業部の管轄ですが、このリテール営業部は直営店 (情報発信基地としてミズノの商品を好きになってもらう)と、オンライン販売の両方を担っています。そのため、店舗で必ずしも購入しなくても、その体験を生かしてオンラインで購入していただければよいという位置付けになっているそうです。
 
 今回は、店舗で実際の体験をしました。エスポートミズノにはゴルフと野球それぞれのフロアにスイングトレーサーがあり、スイングスピードや軌道を計測することができます。顧客は、自分のスイングにあった道具を選ぶことができます。
 
 特に強いこだわりを感じたのが野球のフロアです。プロ野球の選手にはオーダーメイドのグラブを作っていますが、ここに来店されるお客様もグラブへのこだわりが強いそうで、セミオーダーのオリジナルのグラブが用意されています。野球フロアはとても賑わっていて、店舗スタッフとお客様が熱心に話し込んでいる光景をたくさん目にしました。このような会話から、店舗のスタッフはお客様のニーズを掴んで商品開発部門にフィードバックしているそうです。
 
 ミズノが、全競技種目で力を入れられているのがシューフィット計測(足裏測定)。エスポートミズノのどのフロアでも計測ができます。今回は、お話を伺うホールで特別に計測させていただきましたが、参加者の皆さんの計測に対する関心が非常に高く、順番待ちの長い行列ができてしまったほどで、希望者が少なかったらどうしようと心配していた我々も驚きました。サイズ・足型とともに、足裏のどの部分にどれぐらいの圧がかかっているかを計測し、お店のスタッフが計測をもとにその人の歩き方の癖を見抜き、それに合った靴を選ぶというプロセスです。計測結果を一目見るなり足のトラブルや癖を的確に言い当てるシューフィッターさんに、計測されたご本人はもちろん周りで見ていた人たちも驚愕してしまいました。実は多くの人が足のトラブルを抱えていて、靴選びには苦労しているようです。
 
 1989年に開店したエスポートミズノも30年経過したことで、来店客層も変化してきました。現在の客層は40代以上の男性が中心で、学生など若年層や女性にいかに来店してもらうかが課題とのことです。現在エスポートミズノはリニューアル準備中で、新しい店舗では2階にカフェを設置する予定とのこと、お客様の層を増やすとともに、滞在時間を伸ばすことを狙っています。また、健康寿命が伸びている現在、高齢のお客様にも足を運んでいただけるようにしたいとのことです。
 
 スポーツの道具においては「体験」が果たす役割が非常に大きいと納得した上で、質疑応答では、オーダーメイドがフィットするのは中級以上であり、ビギナーにはハードルが高いのでは?という指摘がありました。また、お店に入っても実際に足の計測をするのはハードルが高いのでは、という指摘もありました。エスポートミズノで心がけているのは、店舗スタッフによる100%のお声がけ。お客様からスタッフに話しかけられなくても、スタッフからお声がけすることで、お客様のニーズを把握してそれに沿ったアドバイスをされるそうです。品揃えも大きな強みで、例えば野球の道具がこれほど揃っているのはエスポートミズノの他には無いとのこと。まずは来店いただけるお店作りをして、スタッフが丁寧に要望を聞き取って、店舗でもオンラインでもいいので購買に繋げる。その体験をベースにリピートに繋げる、ということを狙っています。
 
【サロンを終えて】
 終了後、ミズノの小山さんを囲んで懇親会を行いました。リアル店舗の役割がメインテーマの今回、オンライン販売やメディアを利用した通信販売など様々なチャネルがある中で、それぞれの立場で現在のチャネルを越えようとしていたことが面白かったです。ミズノはリアル店舗の経験からオンラインでの購入に繋げることを課題としており、一方で通信販売に携わる方はリアル店舗での体験の必要性を感じていました。シューフィッティング体験で参加者が感じた店舗スタッフの「熱量」を、カタログ、テレビ、オンラインなど他のチャネルで伝えることはできるのか、どのようにしたら伝わるのかというディスカッションも生まれました。
 
 ミズノの商品はスポーツ用具であり、自分で触って体験して自分に合ったものを選ぶことが競技の結果に直結します。オンラインが盛んなこの時代において、リアル店舗を重視し、明確な役割を担わせているお話はとても印象に残りました。営業時間中の店舗で貴重な顧客体験をさせていただき、エスポートミズノの皆様にはあらためてお礼申し上げます。
 

集合写真
 
(文責:森口 美由紀)

 
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