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研究報告会レポート

第3回AI研究報告会レポート「将棋AIにみるAIの可能性 ~将棋プログラムPonanza~」

第3回 AI研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「将棋AIにみるAIの可能性 ~将棋プログラムPonanza~」
報告者:山本 一成 氏(将棋プログラム「Ponanza (ポナンザ)」の開発者、愛知学院大学特任准教授、東京大学先端研客員研究員、HEROZ(株)リードエンジニア)

日 程:2017年9月22日(金)19:00-20:30
場 所:首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス

 

【報告会レポート】
 第3回AI研究会では、人工知能を活用した将棋プログラムPonanzaの開発者である山本一成氏をお招きし、将棋の世界におけるAIの発展と、AIを取り巻く環境の変化についてお話しいただいた。Ponanzaは、2013年の将棋電王戦にて現役のプロ棋士に公の場で勝った史上初の将棋AIとなり、2017年の将棋電王戦にて、現役の名人に初めて勝利した。
 AIについては、マーケティング領域においてもしばしば期待と脅威が語られてきたが、これらはいずれもすでに将棋の世界で起きている出来事であり、われわれはそこから学ぶことができる。特に講演で報告されたとおり、AI将棋がプロ棋士を破った2013年の大きな驚きと悲壮感に対し、2014年にはAI将棋の実力を素直に認め、むしろ逆にAI将棋から学ぼうとする棋士が増えたとともに、今日においても人の将棋を期待し楽しむ人々の存在が増えているという。こうした変化は、これからのマーケティング領域でも起こりうるといえる。現在は期待と脅威が混在している状況だが、すぐに人々は対応していくことになるだろう。
 同時に、AI将棋のこれまでの発展については、探索と評価を分けて考えることの重要性や、今日のAI将棋がただ手数をたくさん読めるということだけに強みがあるわけではないということも確認された。特に評価について重要になるのは、繰り返し学び、現状の局面と結果の結びつきから局面の評価を修正していくという経験であり、この経験の蓄積こそが、AI将棋の強みとなる。もちろん、それは手数をたくさん読めるということを元にして学習されることになるが、実際の対戦に際して重要になるのは、今、手数がたくさん読めるということだけではなく、これまでに多くの経験を積んでいるということなのである。その経験において、人はAIに敵わない。
 AIが人よりも経験を積んでいるということを理解し、そのAIとどのように向きあい、どのように利用すれば良いのかを考えることが重要である。いわゆるシンギュラリティは、将棋の世界ではすでに起きた出来事とであるとともに、その結果はただ脅威なわけではなく、社会のありようそのものを変えているという点に注意する必要がある。
 
(文責:水越 康介)

 
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