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研究報告会レポート

第2回マーケティング・ツールとしての知的財産研究会レポート「特許情報を使ったSTP分析 ~BtoB マーケティングとしての活用法~」

第2回 マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「特許情報を使ったSTP分析 ~BtoB マーケティングとしての活用法~」
日 程:2016年10月19日(水)19:00-20:30
場 所:金沢工業大学大学院 虎ノ門キャンパス
 

【報告会レポート】
 第2回の研究報告会では、イノベーションリサーチ株式会社・取締役副社長でAIPE認定シニア知的財産アナリスト(特許)の武藤謙次郎氏に「特許情報を使ったSTP分析 ~BtoB マーケティングとしての活用法~」というテーマで発表頂きました。
 
 まず最初に、特許情報の活用における全体像からご説明頂きました。旧来は、これから特許出願しようとするものが、本当に権利化できるかどうか、先行文献を調べる場面や、実施しようとしているサービスが既存の特許を侵害していないか調べる場面などが中心でした。しかし、近年は、特許情報が世界で1億件に迫るビッグデータとなり、マーケティングの観点で注目されてきているとのことです。
 特に、製造業のBtoBマーケティングにおいて大きな効果が期待できるようです。なぜなら、特許情報には、BtoB製造業の作り手だけでなく、買い手企業の、例えば組み立て工程における特許情報等も存在しています。それらを分析することで、該当技術の市場動向や売り込み先の抽出・絞込に役立つのだそうです。
 今回は、そのBtoBマーケティングにおける、特許情報を用いたSTP分析を中心にお話して頂きました。
 特許情報の中には、特許分類と呼ばれる技術分類が存在しています。これは、特許審査の効率化の観点から、特許審査の過程で全ての特許出願に付与されているそうですが、この情報を活用することで、複雑な技術分野をセグメント分けすることが可能になります。事例として、バイオセンシング分野を基に説明頂きました。
 ただ、特許分類は特許審査の効率化を目的としている分類のため、すべての場面でセグメントとして活用できるわけではないそうです。そこで、特許情報における文章をテキストマイニング分析したキーワード群も併せて活用されるそうです。例えば、ある技術の技術課題セグメントを知りたい場合は、特許明細書中の「発明が解決しようとする課題」、用途セグメントを知りたい場合は、「産業上の利用分野」からキーワードを抽出して分析するといいそうです。事例として、ハイブリッド自動車分野、リチウムイオン電池正極材分野を基に説明頂きました。
 これらのセグメントのうち、どこが技術開発が盛んなのか、それを特許出願件数や発明者数、特許審査官の引用数などを基に、ターゲット候補が絞り込まれていきます。特に、近年における件数の伸びという観点が重要だそうです。
 そして、競合企業とのポジション分析においては、各社のパートナー戦略がわかる共同出願情報により、既存取引先の可能性が高い企業が明らかになりました。この情報は、ニュースリリースでも公開されていない情報が含まれており、特許情報ならではの情報だそうです。競合企業が既に長年付き合っている企業に入り込むのは容易ではなく、この情報を把握しているのとしていないのでは、その後の結果が大きく違うと考えられ、その意味ではBtoBにとっては必須の情報といえるとのことです。
 さらに、各社の出願国を知ることで、どの国を市場または生産国としてとらえているかが分かります。これにより、後発であれば、手薄な地域に注力してみるなどの戦略が採れるかもしれないなど、具体的な判断に役立つことが分かりました。また、課題を分析することにより、どの企業の技術開発が進んでいるか、その推測にも役立つことが分かりました。もちろん、企業ごとの技術内容を整理することにより、各社の強み弱みも見えてくるそうです。ポジショニングは、これらの情報から総合的に落とし込みます。特許情報という客観情報を利用してSTP分析する、あるいは、特許情報という客観情報によりSTP分析する、こういった取り組みにより、BtoBマーケティングは大きく進化・深化していくとの示唆がありました。
 今回発表頂いたBtoBマーケティングにおけるSTP分析により、自社の研究開発を加速化はもちろん、最適なM&A候補をあぶり出すなどの場面でも活用できるとのことです。
 
【報告会を終えて】
 知的財産(特に特許)の基本知識がないと理解が難しいテーマであったにも関わらず想定以上の方々にお集まり頂き、多数の質疑応答がありました。
 引き続き、本リサーチプロジェクトを続けて行きたいと考えております。
 
(報告者:プロジェクトリーダー 杉光 一成)

 
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