リサーチプロジェクト
研究報告会レポート

第4回マーケティング・ツールとしての知的財産研究会(春のリサプロ祭り)レポート「最新のマーケティングリサーチ手法?注目を集める「IPランドスケープ」とは何か。」

第4回 マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会(春のリサプロ祭り) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「最新のマーケティングリサーチ手法?注目を集める「IPランドスケープ」とは何か。」
日 程:2018年3月17日(土) 14:45-16:15
場 所:中央大学後楽園キャンパス

 

【報告会レポート】
 第4回の研究報告会では、前半、本プロジェクトリーダーの杉光一成からは「IPランドスケープ”とは何か。概念が登場した背景、定義と今後の方向性」というテーマを発表し、後半、野崎篤志氏からは、「IPランドスケープによる新規事業創出の考え方と事例研究」というテーマでご発表頂きました。
 
 前半は、まず、日経新聞2017年7月17日朝刊に掲載された「IPランドスケープ」に関する大きな記事の概要について紹介し、IP landscapeという用語が、経済産業省が発表した「知財人材スキル標準ver2.0」に由来する点を説明しました。
 また、IPランドスケープという用語に確定的な定義がないものの、欧米企業のヒアリング結果や各種先行資料からの共通点として、まず、(1)業務の「目的」が経営戦略・事業戦略を支援するためであり、そのため報告先が、経営陣・事業責任者になっている点、次に(2)業務の「内容」が、知財情報のみならず、マーケットの情報を含む点について説明しました。IPランドスケープの具体例として、知財情報とマーケットの情報を統合して自社の特許技術の新用途を発見する形で新規事業のアイデアを創出できる仮想事例を紹介しました。具体的には、水処理装置専業メーカーAの「ろ過技術」の特許出願が人工透析装置専業メーカーの血液ろ過に関する技術の特許出願の審査の過程で審査官に引用されて拒絶されている事実を発見した場合、水処理装置専業メーカーAは、自社保有の特許技術を使って人工透析という自社が想定していなかった新規事業の可能性を検討することができるというものです(サイテーション法と呼ばれています)。その他、特許情報とその他のマーケット情報を用いて、アライアンス先候補企業を分析することができる点を説明しました。さらに、日経記事に紹介されていたナブテスコ社の「IPランドスケープ」の考え方についてナブテスコ社から許諾を得た資料を用いてご紹介しました。
 そのうえで、結局、IPランドスケープとは「経営戦略・事業戦略を積極的に成功させるために客観的・定量的な知財情報にマーケット情報等を統合して分析した事業環境及び将来の見通しあるいは戦略オプションを経営陣・事業責任者に対して提示する業務」といえるのではないか、という点を説明し、最後に、IPランドスケープ実施企業の例として旭化成、キヤノン、富士フイルム等、多数の企業をご紹介しました。
 後半の野崎氏からは、まず、さまざまある情報源の中から特許情報についての基礎事項について解説いただきました。具体的には、市場情報他と比べた場合の特許情報の特徴、公開特許公報や登録公報などの特許情報から何が分かるか、そして特許情報の持つ3つの側面である権利的側面・技術的側面・経営的側面のうち、新規事業開発に生かすための技術的側面・経営的側面としての特許情報の活用方法などについて説明いただきました。
 次にIPランドスケープによる新規事業開発では、最初に新規事業開発への特許情報の活用という点で、以下の2つについて説明いただきました。
 
① 新規事業開発のタイプと特許情報の使い分け
 新規事業開発といっても、a)自社にとって新規でありかつ他社にとっても新規か、b)自社にとって新規であるが他社にとっては既存か、で特許情報の使い方が異なります。a)では特許情報はあくまでも現状把握するためのツールとなり、新規事業案についてはアイデア創出ワークショップ(発想起点)を通して創出していく一方、b)では同業種または異業種の特許情報ベンチマーク分析(情報分析起点)によって、自社にとっての新規事業案を検討することになる点について解説いただきました。
 
② 情報分析起点による新規事業開発と仮想事例
 上記b)の情報分析起点においては、b-1)統計解析アプローチ、b-2)引用・被引用分析アプローチ、b-3)機能面からのアプローチ(テキストマイニングを利用)の3つがあることを説明いただき、市場情報・特許情報を融合した「新規事業開発の仮想事例」として、花王のヘルシア緑茶を題材に解説いただきました。花王がヘルシア緑茶開発に着手した2000年前の特許情報をベースに、カテキンを緑茶をはじめとした各種用途へ展開することを予測できたのか?b-1)統計解析アプローチ、b-2)引用・被引用分析アプローチ、b-3)機能面からのアプローの3つの分析アプローチをもとに説明いただきました。
 
【報告会を終えて】
 知的財産(特に特許)の基本知識がないと理解が難しいテーマであったにも関わらず想定以上の方々にお集まり頂き、多数の質疑応答がありました。
 引き続き、本リサーチプロジェクトを続けて行きたいと考えております。
 
(報告者:プロジェクトリーダー 杉光 一成)

 
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